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土地から人へ、生産から消費へ 時と共に変化する「中国経済の今」を説み解く

Bestsellers 世界の書店から 更新日: 公開日:
『置身事内』蘭小歓=池永牧子撮影

中国経済の実態に迫るのは難しい。本書『置身事内』は復旦大学経済学部の講義テキストである。経済活動における地方政府のミクロメカニズムと中央政府のマクロコントロールの2部からなる。タイトルは官場(官界)と市場が一体となって実体経済を動かしているということで、とりわけ中央政府の指導を踏まえた地方政府の役割と任務が重要である。ここに中国経済の特質がある。

今の中国経済といって思い浮かぶのは製造業の飛躍的発展と過剰生産、住宅価格高騰と不動産バプル崩壊だろう。本書から類推すれば、発端は1994年に断行された分税制にある。国家財政に占める中央財政収入が地方政府を逆転して大幅に伸びた。その結果、中央政府の経済政策決定力とマクロコントロール能力が向上し、1997年のアジア通貨危機、2008年の世界金融危機を乗り切った。

 地方政府の官僚は、中央政府の監督と審査の下で、税収の乏しい地方財政をやりくりしながら経済振興もしなければならない。さもなければ任命権を握る中央政府の懲罰人事が待っている。

そこで地方政府が手をつけたのが土地である。中国の土地は公有制で、都市の国有地と農村の集団所有地に区分される。農業用地を工場用地や住宅地に自主転売することが許可され、地方政府は土地の売却収益を元手に都市開発建設投資会社を設立し、製造業誘致に投資した。土地の収益が目当てなのではない。土地の上での経済活動(製造業·税収)と政策実現(農民の労働市場への転出)を当てこむのである。

土地の資本化によって地方財政のうち支出の半分近くを経済振興費が占め、収入の大半が土地関連になった。地方財政と民間企業活動の官民連携事業方式は特定の戦略産業への過剰投資や特定品目の過剰生産、債務リスクを生み、国際貿易摩擦につながった。またこうした官民協業は腐敗の温床となって、双方が結託して蓄財に走るモラルハザードを生む。

農村から都市部へ大勢の出稼ぎ農民が押し寄せる人流を生み、2019年には都市常住人口は全人口の6割に達した。住民はマンション購入に奔走し、土地は工業用地から商業用地と宅地開発に供された。地価は高騰し、開発公社の財政資金は不動産ディベロッパーへ流れ、銀行の資金は企業融資から住宅ローン、さらには株式投資へと移ってマネーゲーム化した。

以上の本書の概要から、中国経済の今を読み解こう。中央政府が手掛けているのは、戦略新興産業の業種転換だ。製造業の重心は、世界市場を席巻するに至った太陽光バネルや液晶パネルから、AI関連機器·人型ロボット·無人機などのハイテク製品へとシフトしつつある。次に社会資本の充実。地方政府は土地資本による製造業から、サーピス業重視に転換し、医療·文教など民生事業への財政資源の再分配を目指す。

政府は2020年に国内国際双循環政策を打ち出した。ポイントは輸出依存脱却と国内消費喚起である。そのために個人所得を増やし、国民の「獲得感」を醸成し、高止まりの貯蓄率を減らし個人資産を市場に還流させていく。暮らし重視の社会インフラ事業は喫緊の課題だ。土地から人へ。生産から消費へ。中国経済は次のステージに入っている。

 日本の中国経済評論家は政府の公式見解の裏読みをして失政を批判するが、物差しが古いままになっていないか。西洋の経済理論や事例をそのまま当てはめてはいないか。中国経済のモデルは前例のない唯一無二のもので、時と共に変化している。そもそも評論家の大半は現場に足を運んで実情を視察した形跡はない。生活者の目線とずれているのではないか。

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  2. 富爸爸窮爸爸 ロバート・キヨサキ

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  3. 置身事内:中国政府与経済発展 蘭小歓

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