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GIGAスクール構想で端末フル活用、今では日本の先進校に

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タブレット端末を使い、手も動かしながら図形について学ぶ児童
タブレット端末を使い、手も動かしながら図形について学ぶ児童(名前を消しています)=2026年2月、東京都葛飾区、宮坂麻子撮影

教育分野のデジタル化では、「後れを取っている」とされてきた日本。だが、小中高校生に1人1台の端末環境を整える「GIGAスクール構想」が2019年末に始まると、コロナ禍のオンライン授業を追い風に、2021年度には全国で端末活用が本格化。今年4月には、デジタル教科書も検定や無償提供の対象の「正式な教科書」とする法案が衆院で可決され、デジタル化が加速している。

東京都の葛飾区立東金町小学校。2年生の教室で2月、自作の詩に添える挿絵をAIで生成する国語の授業があった。

ある子は、担任が配信した端末内のシートに、いつ=春の明け方/どこで=少し雲がかかっている富士山/だれが=70人ぐらいの子ども/何をしている=富士山のまわりで手をつないでいる、と打ち込んだ。AIが生成した絵は「なんか少し違う」。言葉を加えたり、変えたり。イメージ通りの挿絵を求めて、児童は言葉を探す。

算数の復習では、理解できていない単元の問題に各自が様々な教材で取り組む。デジタルドリルは出題レベルが段々上がる。正解できた子は「よしっ」と叫んだ。

古い商店街と団地群に近いこの小学校は、コロナ禍前は各学年1学級しかなく、空き教室が目立っていた。全国学力調査の平均点は区内でも下位の方で、学区外の近隣校を選べる制度を使い、別の学校へ子どもを入学させる家庭もあった。

だが、GIGA構想スタート後、端末のフル活用に転じ、今ではデジタル先進校だ。毎日、端末を自宅に持ち帰って宿題に活用したら、下位層の子の学力が伸びた。塾に通わずスマホも持っていない子が「端末だと、ゲーム感覚でおもしろがって勉強するようになったから」と、河村麻里校長(4月から明治学院大特命教授)はみる。

2023年度以降は毎年、区域外からの入学者を抽選で受け入れる人気校に。再開発でタワーマンションができたこともあって児童数はコロナ禍前の約6倍まで増え、今も校舎を増築中だ。全国学力調査結果は区内上位に。「新住民の影響だけでなく上位層も伸びた」と河村校長は言う。

ただ、続けるうちに課題も見えてきた。端末を使うだけでは、形を整えて文字を書く力が落ちたのだ。このため、漢字練習はノートなども活用することに変更。図形なら、色板などで実際に手を動かしながら、端末を併用するスタイルも取り入れた。学級運営でつまずいた学年は学力が落ち、教員の力がなければデジタル活用が成果につながらないことも痛感した。

「家庭の教育格差が大きいうちの学区は日本の縮図。デジタルを活用すればそれぞれにあった学習ができ、学び方も理解も広がる。子ども自身が適した学び方を選べるように育てることを第一に、デジタルもアナログも、よさを生かして活用を続けたい」と河村校長は言う。

勉強の障害がデジタル化で取り除かれ、救われた子たちもいる。

紙とデジタルのどちらの教科書でも自由に使える都内の小学校。「こうすると見やすいから」。4分の1程度の子が、デジタルの画面の背景色を薄い水色に変えたり、黒白反転させたり、文字を拡大したり。光が反射する紙の教科書よりも、読みやすいというのだ。読み上げ音声を聞きながら文字を目で追う子もいる。

手書きでは字形を整えることが難しい子や筆圧が弱い子も、端末入力に変えることで負担が減ったという。