「ヨーロッパは傍観」いらだち隠さぬゼレンスキー大統領、ダボス会議で求めたこと
黒いジャケットと黒いシャツに身を包んだゼレンスキー大統領が壇上に現れると、大きな拍手が起きた。ただ、私は2年前のダボス会議でもゼレンスキー大統領の登壇に居合わせたが、その時の方が聴衆の緊迫感はもっと高かったように感じる。
ゼレンスキー大統領は演説のなかで、ウクライナ支援への謝辞を交えつつ、ヨーロッパへの不満を繰り返した。反政府デモで数千人が死亡したと言われるイランや、アメリカが軍事作戦を行ったベネズエラなどを例に挙げ、「ヨーロッパは傍観していた」と批判した。
さらに、「今日の最大の問題の一つはヨーロッパだ。ヨーロッパの指導者たちは、我々は強く立ち続けねばならないと言いながら、その強さをいつまで維持すべきか、つねに他者に指示を求めている。言葉だけでは新世界秩序は構築できない。行動こそが真の秩序を生むのだ」。名指しこそしなかったが、アメリカの指示を待たずに自ら行動するよう求めた。
前日にはトランプ大統領との会談があったが、成果は「我々の利益にかなうものだった」と言うにとどめ、ウクライナ、アメリカ、ロシアの3者協議が23日からアラブ首長国連邦(UAE)で行われることを明らかにした。
ダボスの会場近くには、今年も「ウクライナハウス」がオープンした。ロシアに誘拐された子どもたちを取り戻す活動などが紹介されているが、ウクライナでの様々なビジネスや、投資を呼び込むための場所でもある。
戦争が長期化するなかで、ウクライナは日々戦闘を続けて多くの命を失う一方、戦後復興も同時に行わなければならないという状態が続いている。国土が爆撃を受け、虐殺も起きるなかで、投資の呼びかけに海外に出て行くという、想像すら難しいことを、毎年ダボスでやってきた。
ゼレンスキー大統領は、「小さな企業がウクライナに事務所を開設してくれれば、それは真に私たちを信頼し、平和が訪れると確信している証しだ」と言い、小さな企業でもウクライナに進出してほしいと呼びかけた。そして元コメディアンの大統領は、「今は少しだけリスクがある。ちょっとだけだけれど」と付け加えて笑わせることも忘れなかった。