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児童労働の解決、私たちにできること ACE代表・岩附由香さんに聞く

World Now 更新日: 公開日:
岩附由香さん=ACE提供

児童労働をなくすためにはどうすればよいか。私たちにできることは何か。NGO「ACE」代表の岩附由香さん(50)に聞いた。

児童労働が国際的に注目を集めるきっかけの一つは、1997年に「ナイキ」の製品を作る過程で子どもたちを働かせていると指摘されたことです。世界で不買運動がおき、児童労働が企業や消費者も関わるグローバルな課題として認識されました。

1999年には新しい条約ができ、途上国政府側も、児童労働の存在を否定するのではなく、国際機関などの支援を受けて問題に取り組む方向にかじを切りました。

世界の児童労働は2000年から2016年までは減少傾向でしたが、2020年に増加に転じました。サハラ以南のアフリカで増加傾向が止まらず、ほかの地域の減少幅を超えたためですが、近年、気候変動や紛争など、ほかの地球規模の課題への対応も迫られるなか、増加に歯止めがかかりそうにありません。

アフリカの児童労働のなかでも、義務教育の年齢にあたる15歳未満の子どもの労働が増えています。背景には紛争、貧困、気候変動などがあります。

世界の児童労働者の1億人以上が農業分野に従事しています。ACEが活動するガーナのカカオ生産地でも、気候変動などの影響で生産量が激減しました。そうした影響で困窮度合いが増し、子どもたち自身の生活にも影響を与えます。

子どもの権利、大人が認識を

日本にも、児童労働は存在します。18歳未満の危険・有害な労働や、特殊詐欺などの犯罪に子どもが使われること、児童ポルノ・性的搾取などが当たります。特にSNSを通じて巻き込まれることも増えています。

子ども自身が「自分のしていることが児童労働に当たる」と認識するのは難しく、「本人の認識がないから児童労働ではない」ということではありません。大人の認識を変える必要があります。

日本では児童労働は「途上国の問題」「必要悪」と言われることもあります。しかし、「ビジネスと人権」の考え方から、サプライチェーンにある児童労働問題にも、企業が人権を尊重する努力を求められる時代です。

日本にいる私たちができることはたくさんあります。こうした課題があることをまず知ること、消費者として、私たちが日々使っているものが実は児童労働とつながっている現実に向き合い、関心を持ち続け、きちんと取り組んでいることがわかる商品を選んだり、企業に懸念を伝えたりできます。

日本でも多くのNGOが児童労働の解決を目指す活動をしていますので、そうした団体の国際協力に寄付などで参加することも、一つではないでしょうか。