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子どもの「インフルエンサー」、フランスや韓国は規制 児童ポルノへの悪用など懸念

World Now 更新日: 公開日:
©Satoshi Kambayashi

映画やドラマの子役や、最近では、YouTubeなどに出演する子どもの「インフルエンサー」。彼らの活動は児童労働に当たらないのだろうか。フランスや韓国では、子どもたちの活動を規制する法律や指針を定めた。

フランスでは2020年10月に制定された法律で、16歳未満の子どもによるYouTubeやインスタグラム、TikTokなどでの活動について、規制が始まった。

親が自分の子の日常などを公開する動画が物議を醸してきたことが背景にある。注目を浴びることで、子どもの心理面での発達に影響することや、児童ポルノに悪用される危険があるためだ。親が稼ぐ手段として子どもを搾取しているとの指摘もあった。

視聴回数を稼ぐインフルエンサーの活動は労働とみなされ、子どもの動画を投稿する場合、親を含めた法定代理人が当局に事前に申告することを義務づけた。その際、親は、子どもの権利や、映像が公開されることで生じうる結果について説明を受ける。子どもが受け取る収入の一部は、子どもが成人するか、独立するまでの間、銀行に預けなければならず、親が収入を独占した場合の罰則も設けた。

韓国では、子どもに高級車を運転させたり、巨大なタコの足を食べさせたりする動画が、児童虐待だとの批判を浴びた。

そこで政府は2020年、動画に出演する19歳未満の子どもを守るための指針を策定した。午後10時から午前6時の間の生配信への出演や、性的な動画の制作を禁止したりするなど規制をしている。

日本の子役、「労働者」にならないケースも

日本はどうか。労働基準法は、映画の製作や演劇については、有害でなく軽易ならば、13歳未満でも雇用を認める。それでも午後8時~午前5時は働けず、厚生労働大臣が認めた場合、就業不可の時間帯は午後9時~午前6時になる。

一方で、1988年に旧労働省が出した、いわゆる「芸能タレント通達」では、「歌唱や演技などが他人では代替できない」「雇用契約でない」など、四つの要件を満たすと、その子役は、労基法が規定する労働者とはならないとしている。

実情はどうか。芸術や芸能に従事する人たちの働く環境を整える活動をしている日本芸能従事者協会の代表理事、森崎めぐみさんによると、子役の仕事は午後8時までと配慮する場合が多いが、長時間に及ぶことがある。地方ロケなどで学校を欠席しがちになると、進級や卒業が難しくなる。

森崎さんは旧ジャニーズ事務所の性加害問題を受けて、国際社会は日本の芸能界での児童労働を注視していると指摘。「地方ロケ中に家庭教師をつけるなど学ぶ環境を備え、未成年の権利を保護することが必要だ」と訴える。