――グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(GGGI)でナミビアがアフリカ最高の「世界8位」という評価について、どのように受け止めていますか。
ナミビアでは、大学への進学者や卒業者の多くを女性が占めています。しかし、職場では同じような状況にはなっていません。指導的地位に就く女性も多く出てきていますが、メディアに対して正しい主張ができない場合がよくあるからです。銀行などでは女性をトップリーダーに押し上げる企業も出ています。しかし、多くのケースが共同代表になっていて、女性の影響力がほとんどないことも懸念されています。
ナミビアでは、女性を支援する開発銀行や中小企業のプロジェクトを持つ銀行のトップは男性です。私たちは気候変動、食料安全保障に直面しています。農業分野では、女性が労働力の大半を占めていますが、銀行は男性によって運営されています。男性がビジネスや農業プロジェクトに関与する銀行を運営しているため、女性の関与が非常に難しいのです。
――GGGIの教育分野でナミビアの達成度は100%で、男女平等が完全に達成されています。どうして達成できたのでしょうか。
誰がどの分野で研究をし、なぜ研究が行われているのかにもよります。ナミビアは大学入学者の女性比では1位タイにランクされています。しかし、学校の中退理由を調査した研究によれば、10代の妊娠が問題になっています。10代で妊娠したために学校を中退する女性が大勢います。
もう一つは経済的な要因で、学費を払えなかったり、おなかをすかせて学校に通ったりする女性がいます。制服が買えないという理由でいじめに遭い、学校に行かなくなる女性もいます。学校に通う距離が遠く、最終的には中退してしまう人もいます。 弟妹の面倒や、農地などで働く場合もあります。入学プロセスが成功したため、ナミビアが教育で100%の男女比を達成したと言うのは完全に正確ではありません。
――健康と生存率の分野の達成率は98%です。ただ、過去、ナミビアでは女性に対するドメスティックバイオレンス(DV)の事件が多かったと聞いています。その結果、女性に対する性暴力がHIVの感染拡大を助長しているという指摘もあります。この問題はどのように解決されたのですか。
ナミビアは2日おきにGBD(世界疾病負担調査:世界中の健康の増減を定量化し、包括的に比較できるようにするプロジェクト)の症例を記録しています。それによれば、健康状態はかなり悪く、病院や診療所までの距離も遠く、医療サービスへのアクセスは非常に困難です。
女性のHIV感染率についてですが、女性が定期的にHIV検診を受けているのに対し、男性の検診率は非常に低いままです。女性は妊娠すると、母体から胎児へのHIV感染を防ぐため、HIV検査を受けることを余儀なくされます。女性に関するスクリーニングは成功しています。しかし、男性は検査を嫌がるのです。
――ナミビアでは、女性が閣僚の46.2%、国会議員の79.2%を占めています。比例代表制の選挙の候補者名簿を男女交互にするなどの「ゼブラ方式」の効果でしょうか。ナミビアでは実際、女性の政治的影響力が強いのですか。
確かに、これはゼブラ方式の結果です。しかし、ナミビアでは、若い女性を地位に就かせる意味がありますが、議会での貢献を意味するものではありません。障害のある女性や若い女性を代表するために任命されるケースもありますが、議会では実質的な活動を伴わないので、「ただの飾りだ」とも言われています。
一方、失敗すると「女性だから失敗した」ということになりがちです。男性が失敗しても、いろいろな主張ができますが、ほとんどの女性は自分の中に閉じこもり、何も言いません。それ以上に、現在の女性は政治的な影響力が強くありません。代わりに、男性の政治的な成長のために利用されるのです。
――GGGI報告書は「ナミビアは技術職と専門職の完全男女平等を達成し、上級管理職の男女平等率は77.2%に達した」と指摘しました。あなたが働くメディアの職場では、女性がどのように働いているのですか。
とても悲しいことですが、メディアの世界では、女性としての私たちは真剣に受け止められていません。女性が殺された事件があると、現場取材を担当することもありますが、例えば国の予算演説など具体的で大きな話題では、女性ジャーナリストはまだ信頼されていません。気候変動や農業、金融などを報道できるという信頼感をまだ得られていません。
女性用新製品の取材に派遣されることはありますが、報道すべき重要な記事に関しては、女性がいまだに差別されているのが実態です。
――ナミビアでは1990年の独立の際、南西アフリカ人民機構(SWAPO)を中心に人種差別と戦ったそうですね。ナミビアの憲法が「アファーマティブ・アクション」(積極的差別是正措置)を採用し、ジェンダー問題に大きな影響を与えたと聞いています。この解釈は正しいでしょうか。
ナミビアはアファーマティブ・アクションを採用しています。しかし、結局のところ、このナミビア独立を進めた人々こそ利益を得た人々なのです。それは白人女性と黒人男性なのです。
クレージーに聞こえるかもしれませんが、それが真実です。私はまだ一般的な黒人女性よりも権利を享受していますが、黒人女性は出産するから無能だと見なされています。(ジャーナリズムに身を置く)私たちの文化では、子供を1人産む、あるいは出産する準備もできていません。自分のキャリアに集中する必要があるのです。
結局のところ、私たちは人種差別と戦ってきましたが、まだ部族主義に直面しています。特定の部族が自分たちの利益を考え、他の部族をないがしろにするのです。黒人女性は依然として部族主義に直面しています。
――黒人女性と白人女性では待遇に差があるのですか?
イエスともノーとも言えます。女性のためのエンパワーメント・トレーニングは提供されています。若い女性や黒人女性のためのプログラムもありますが、男性に同じ機会を与えないと、女性に対する別の憎しみを生み出します。女性が立ち上がって声を上げ始めると、男性は劣等感を抱き、怒りを抱き、爆発し、レイプや私たちが避けようとしている他のすべての社会悪を生み出します。
――あなたは過去、女性という理由で差別を受けたことはありましたか。日常生活で不自由を感じることはありますか。
私たちは差別されているのです。例えば、ニュースのスタジオでも、私が女性プロデューサーとして、制作会議のような打ち合わせを招集すると、人々は傲慢だと嫌がるのです。でも、男性プロデューサーがやると、みんなが時間通りに来てくれるんです。差別されるのは日常茶飯事です。
よく、私の今のポジションに誰が興味を持っているかを聞かれます。自分が妊娠して半年も休むことになったとき、本当に打ちのめされました。産むのは間違っているのかとも思いました。このようなことが私たちの足を引っ張っているのです。仕事に対する十分な自信を失わせているのです。
――あなたの会社もGGGIリポートを報道しましたか?
今、私たちはメディア組織ですが、ナミビア国内のジャーナリズム組合には登録されていません。私たちが問題を抱えていることを知っているからです。
私たちの新しい学校教育部門では、インターンと一緒に働いています。インターンの場合、多額の給料を支払う必要がないからです。同じ新聞社で、男性編集者がこの若いインターンの女性を罵倒し、「私と寝ないと、あなたの書いた記事は一面に載らない」と脅すという事件がありました。そして、これは、国内有数の新聞社、信頼されている新聞社で起きたことです。そこで、この若いインターンは声を上げることにしました。
この若い女性こそ、ジャーナリズムの未来であり、この若い女性は守られる必要があります。私たちが立ち上がろうとすると、私たちはトラブルメーカーと見なされ、(会社の)ブランドを崩壊させようとしていると見なされています。
非常に難しい業界です。なぜなら、女性たちを罵倒している(尊重していない)大臣にインタビューするからです。(声を上げる)私たちはトラブルメーカーというレッテルを貼られることになりますが、もう報道局でこのような事件を起こしたくないのです。低賃金で虐待されています。私たちの業界は深刻な問題を抱えているのです。