インターナショナルスクールではどのような教育が行われているのか。そのカリキュラムの一つが、国際バカロレア(IB)だ。認定校で学ぶと海外の一流大学への道が開ける。
アオバジャパン・インターナショナルスクール(東京都)は、1976年に幼稚園児向けの英会話教室として始まり、その後中等部、高等部をつくった。授業は米国の教育カリキュラムに基づいていた。
2000年代に入り、経営が厳しくなった。2008年のリーマンショックの影響で、在日外国人の帰国者が増えて生徒が減った。創業ファミリーは2013年、「未来のグローバルリーダーの育成事業」を検討していた経営教育を実践する企業「ビジネス・ブレークスルー(BBT)」にスクールを売却した。
BBTは真っ先にカリキュラムのIBへの変更に着手。2016年に認定校となった。
BBTの柴田巌社長は「IBは教科書は使わない。生徒一人一人の習熟度に合わせて教える内容を変えないといけない。校長をはじめ教師、保護者、そして生徒の全員が、ものの考え方を根底から変えないといけなかった」と振り返る。
どういう教育なのか。学校の理事長でもある柴田氏は「学んだことが生活のどのような場面で使えるのか、社会の課題解決に役立つのかを考えさせるカリキュラム」と言う。例えば、バスケットボールのスリーポイントシュートはどの角度で、どれくらいの強さで投じれば入るか。ビデオをみて2次関数で表してみよう、といった具合だ。
IBに詳しい日本赤十字看護大の渋谷真樹教授は歴史の授業を例に挙げる。
「フランス革命が起きたのは何年で、その関連人物は?」といった断片的知識だけが問われるのではない。フランスだけでなく複数の地域で起きた革命に関して学んでいることを前提に、革命について比較分析し、考察することが求められるのだという。
渋谷教授は「知識や技術を高度に応用できる、多様な他者とコミュニケーションをとれるようになる教育を受けることはグローバル社会で強みとなる」と評価する。現実的な課題に対応する力を身につけるには、「数学」「社会」といった教科の枠組みを超えた学びが求められる。教師が探究的な学習の意味を理解し、教師同士が連携して授業を進める体制をつくることが必要になる。
BBTの買収後、経営が軌道に乗ったアオバジャパンは2021年1月、東京都文京区に三つ目のキャンパスを開校した。柴田氏は「『国内の大学に加え、米英アジアの有力大学の受験資格を同時に得た方が、子どもの将来の選択肢が増える。それならばIBスクールだ』。そう考える保護者が増えている」と話す。