世界的ヒットのNFTゲームはポケモンもヒント?ベトナム発「ユーザーが稼げるゲーム」
「ポケモン」などから着想を得たとされるゲームが世界に広がる。(宋光祐)
スカイメイビスが開発したゲームの名前は「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」。ゲームの中でペットを育てることができ、そのキャラクターがNFTになっている。
NFT(非代替性トークン)は、「唯一無二で改ざんやコピーができない」と証明された電子データのこと。
画像や音楽といったデジタルアートの分野で成長してきた。そのため、育てた一つ一つのキャラが希少になり、ゲーム内でキャラの売り買いが生じる。取引で稼いだ分を現実でも換金できるため、「稼げるゲーム」として評判を呼び、世界に広がった。
開発したのは、ベトナム人のグエン・タイン・チュンさんだ。
ベトナムメディアによると、チュンはハノイ出身で、飛び抜けた才能を持つ「ギフテッド」だけが通う高校を経てベトナムの大学に進学し、コンピューターサイエンスを学んだ。
20歳だった2012年に食べ物にまつわるブログを共有できるサイトを作って会社を設立。その会社を去った2018年、スカイメイビスを創設した。
「Axie Infinity」は、最初は仲間内で遊ぶために作ったゲームだったが、一般公開したら大ヒットした。
利用者同士のゲーム内のキャラクターの取引は100万ドル(約1億4700万円)を超えるものもある。今年2月までにはキャラクター全体の価値が24億ドル(約3500億円)ともいわれるほどになった。
ところが、今年3月、急成長の代償を支払わされることになった。
米財務省などによると、北朝鮮と結びつきがあるとみられるハッカー集団にゲームのネットワークに侵入され、総額6億2千万ドル(約910億円)を盗み出されたのだ。
利用者は減ったともいわれるが、ハッキング被害を補償する方針を打ち出し、システムを復旧。9月にセキュリティー向上のために米グーグルの関連会社との提携を決め、次の展開を目指している。
「ゲームを作る側が利益を得る既存のしくみとは違う、利用者にとっての経済的な自由を創造すること」。ゲームをする側が遊ぶだけでなく利益を得る。チュンさんがベトナムメディアに語った夢は、新しい発想で今までにないシステムをつくる野望を感じさせる。