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アメリカ大統領選:Z世代の参入とソーシャルメディアはどう影響する?

働くママのシリコンバレー通信
イラスト:tanomakiko

世界が注目する2020年11月のアメリカ大統領選挙もいよいよ終盤戦です。今回の選挙から有権者数はミレニアル世代(2020年時点で24-39歳)がベビーブーマ世代(2020年時点で40-55歳)を上回ります。また、アメリカでも18歳から有権者となるため、ジェネレーションZ世代(2020年時点で6歳から23歳)の中でも選挙権を手にする層が出始めました。

学校の授業でも討論会が教材に

有権者年齢に達していないジェネレーションZ世代も、学校での授業で取り上げられたり、ソーシャルメディアなどで常に大統領選挙の話題に触れている印象があります。アメリカは広大なので地域により差がありますが、小学校でも低学年のうちから大統領選の仕組みや、選挙で誰に投票するのか、争点は何か、どのような政策を提案しているかなど、学年のレベルに応じて教えています。4年に一度しかないので、選挙人団のシステムや勝敗が決まるまでのプロセスについて取り上げるよい機会なのだと思います。

私が住む学区では、引き続きディスタンス・ラーニング(オンラインでの授業)が続いています。知り合いの小学校5年生のお子さんの課題では、「今晩のアメリカ大統領選討論会を観る」というのがあったそうです。「あなたがこの討論会にいたとしたら、どのような質問をしたいですか?」または、「どの質問が重要だと思いましたか?」など、観ながら考えさせて、それについて翌日クラスで話し合う、という内容でした。

9月29日に開かれた第1回目の討論会 は、近年で最悪のディベートと言われるほど繰り返しお互いの発言が遮られ、主張が同時に重なり合うなど、同時通訳さん泣かせの内容となってしまいました。

討論会の途中で先生からメールがきたそうです。「選挙の年には、討論会を見せて翌日クラスで話し合うことを毎回実施していましたが、見始めたところ今年はどうもいつもと様子違うことが分かりました。もし、保護者のみなさんがこれはお子さんには不適切と判断されるようでしたら、観なくていい、とおしゃってくださって結構です」

自宅の庭に看板をぶすっと差して支持政党をアピールする「ヤード看板」。サンフランシスコ・シリコンバレーは、リベラルな土地柄なので、バイデン氏支持のものをよく見かけます。ステッカーを貼っている車もよく見かけます。シリコンバレーは裕福層が多いので、税金の点で有利な政策を取っていることや、経済政策に賛同している隠れトランプ氏支持者も存在していますが、周囲の目が気になるのか大々的に庭にサインを掲げて応援しているのはほとんど見かけません(違う州では見たことがあります)。日本の選挙ポスターが顔写真入りなのに対し、アメリカのヤード看板はフォントとカラーのデザイン勝負で目立たせます=グリーンバーグ美穂提供

子どもたちはSNSで政治に触れる

ソーシャルメディア (SNS) から多くの情報を得ているのもジェネレーションZの特徴です。私が子供時代には、冬はこたつの上にみかんと新聞が置いてあって、必然的に紙面の一面トップには何が取り上げられているか見出しが目に入っていたように思います。家族がテレビをつけていれば、観たいニュース番組でなかったとしても耳に入ってくることもありました。アメリカでは「コードカッター」と呼ばれる、高額なケーブルテレビや衛星放送の有料契約をしていない世帯が増えていますが、我が家もご多分にも漏れずコードカッターなので、テレビでニューズを観ることはありません。新聞も全てオンラインで定期購読しているので、紙の新聞がテーブルの上に置いてあることもありません。

私の11歳の子供の場合、政治や世の中の流れを頭にインプットするニュースソースは、インスタグラム、TikTok、Snapchat の三つがすべてのような気がしています。「二つのアメリカ現象」で分断が広がり、二極化が進んでいる要因の一つでもありますが、若い世代は特にソーシャルメディアの影響を大きく受けていて、インフルエンサーや好きなセレブリティの投稿には大きく反応しますし、賛同した投稿を自分のアカウントで再投稿するので、それがまたバイラル化していきます。フォローしていない自分の思想と違うユーザの投稿はそもそもフィードにあがってこないので目に入ることが少なくなり、複眼的にニュースを見ることが難しくなっていると思います。また、若い時は素直なのでフェイクニュースが見抜けないこともあるでしょう。

ジェネレーションZとミレニアル世代、どのソーシャルメディアでニュースをみているか? のグラフ。Z世代の方がミレニアルよりインスタグラム 、YouTube、Snapchat で情報を得ている方が多い傾向があり、TikTokとなると倍近く。若者には不人気と言われるFacebookからミレニアムが71%もニュースを得ているとの結果は意外でした。 YPulse のウェブサイトのスクリーンショット

とは言え、Black Lives Matterムーブメントもそうでしたが、環境問題も含めて、世の中の不条理に声をあげること、政治関与に抵抗がないのもZ世代の特徴で、これまでの上の世代よりある意味ソーシャルメディアのおかげで社会的意識が高いとも言えます。バイデン氏を応援する、またはトランプ大統領をパロディでけなす(逆もあります)といった自分の支持政党を反映したコンテンツを多くの人が投稿するので、否応でも目に入ってくるのでしょう。選挙権がまだない多くの若者たちがせっせと政治案件を投稿し、選挙に行こう、と呼びかけたりしています。

「トランプの選挙集会のチケットに応募しても参加はしないでおこう」とTik Tokを通じてボイコットの呼びかけが6月にありました。それにはK-POPファンも反応し、トランプ大統領のオクラハマ州の集会では大量の定員割れが発生しガラガラの空席が目立ちました。100万人を超える事前予約があったにもかかわらず実際にはわずか6200人しか参加しなかったそうです。ジェネレーションZが持つ影響力とパワーを感じました。

米大統領選の最終討論会に登壇したトランプ大統領と民主党候補のバイデン氏=2020年10月22日、米テネシー州ナッシュビルのベルモント大学、ロイター

最後の討論会が終わったと同時に、それぞれのソーシャルメディアで一斉に瞬く間にさまざまな投稿がなされていて、そのスピードには圧倒されます。長かった大統領選挙もいよいよ最終局面です。さて、結果はいかに。