私の三男、協平は22歳。この世代は、「ジェネレーションZ」(Z世代)とアメリカでは呼ばれています。1995年以降に生まれた若者たちです。
この世代の若者が生まれたときには、すでにインターネットの普及が始まっていました。テクノロジーに対する抵抗はなく、情報や世の中の動きをインターネットから調達することに慣れている世代です。
ジェネレーションZの90%はインターネット上にフットプリント(足跡)があります。つまり、SNSに参加していて、自分のブログ、フェイスブックページ、スナップチャットなどを持っているのです。
ジェネレーションZは2020年になれば、アメリカの人口の30%を占めるようになります。その頃に彼らはアメリカを動かす影響力を持つ、と社会心理学者が指摘しています。
様々な調査から、ジェネレーションZの姿が見えるようになってきました。
この世代はミレニアル世代(1980年~2000年生まれ)と違って、未来にもっと希望を持っていると言われています。
ミレニアル世代はアメリカ経済が不況の時に成人した人が多く、収入や失業に対して大きい関心がある一方、ジェネレーションZの60%は、起業することを一つのチョイスとして考えていると言います。
彼らは前の世代より個人主義的で、就職する時の一番大事な条件は「仕事が自分の考え方にマッチしているかどうか」なのだそうです。
「早く仕事を終えて家に帰りたい」という前の世代に対し、ジェネレーションZは残業しても、プロジェクトを終わらせたいと答えています。
情報が多いこの世代は、今までの世代よりグローバルな考えを思っているとも言います。世界のことに関心を持ち、人の繋がりを大事にしたがっています。
また最近の統計で、ジェネレーションZの若者は未来に対する心配が大きいとの結果が出ました。
70%以上はトランプ大統領に好感を持っておらず、政治を変えたいと思っているそうです。
銃の規制に賛成する人が多く、環境問題にも関心を持っています。
地球の未来を真剣に考えているようです。
今、アメリカ各地で、高校生と大学生による銃規制や環境問題に関するデモや授業のボイコットが行われています。
「指導者たちは年寄りばかりで、未来に対する関心がない」と訴えています。
「環境問題は未来の問題ではなく今の問題。待つことのできない問題だ」と主張しているのです。
私の上の二人の息子はミレニアル世代に属します。
長男が卒業する年は就職難のピークでした。
それでも、いい仕事を見つけて、速いペースで昇進できましたが、その会社を辞めて、起業しCEOになりました。
次男は卒業したらすぐにスカウトされて就職した後、別の会社にスカウトされ、またさらに大きい会社にスカウトされました。次から次へと転職しては、給料と仕事の内容をステップアップさせています。
ジェネレーションZの三男は今年卒業しますが、大学院に合格して、9月から修士課程に通います。夏休みを利用して、インターンとして働くことになったのですが、「とってもいい仕事で給料もいい。でも、夏休みの間に日本に帰りたい。来年就職したら、なかなか日本に帰れないので」と私に相談してきました。そこで、「夏休みの3ヶ月をまるまる働くのではなく、1ヶ月半は里帰りしたいと言ってみたら?」と助言しました。
結局、会社は理解してくれて、8月15日まで働いて、後は日本に帰国。その間は在宅で週20時間働いて欲しいということになりました。
その余裕のある会社の判断に納得して、三男はそこで働くことを決めました。
「自分を大事にする若者の考えにそっていかないと、いい人材は獲得できない。会社の方も若者同様にグローバルに考えないと、生き残れない」と経営者である長男は言います。
実際、長男の会社のスタッフは全員が在宅勤務です。
「シリコンバレーの高い給料を貰いながら、家賃の安い山間部に住むことができる」「子育てをしながら、環境のいいところに住める」と社員の満足度は高いようです。
「社員の生活に合わせて働いてもらうと、一生懸命やってくれるし、辞めない」というのが長男の考えです。
「たとえ社員がインドに帰りたい、イスラエル、中国に帰りたいと言っても、そのまま仕事をしてくれれば、僕は雇うよ」と長男は言います。
スタッフはインターナショナルなのです。
長男とお嫁さんが旅行したときも、お嫁さんは働いていました。
「休みを取って、旅行するのは難しい。休みはなかなか取れないからね。むしろ旅行しながら働く方が、やりやすい」と言います。
それで会社が納得するのなら、ウィンウィンですね。
三男の友達は、大学を卒業するとそれぞれに大学院に行ったり就職したりしてバラバラになります。でも「離れ離れになるが、SNSで繋がっているから、別に寂しくはないよ」と言います。
離れていても、心は一緒。そんな感覚のようです。
グローバル化って何だろう。と、彼らの生き方を見て考えてしまいました。
距離も、空間も、場所も、あまり関係ない、やりたいことをやれる時にやる。
いつでも、すぐにどこかに移動できる身軽さを持つ。
人種に関係なく付き合う。
これが本当のグローバル精神でしょうか?
ママも見習わないとね。
物を貯めたり、安定した条件を要求したりするより、
自分を知り、自分の心に従って、生きていくべきです。
子どもたちはこれから、どこへ行ってしまうのでしょうか?
ついてはいけないけど、とっても楽しそうで、安心しました。
■「アグネスの子育てレシピ」、次回は9月20日(金)に配信予定です。