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ミレニアルやZ世代は#BlackLivesMatterをどう受け止めた

働くママのシリコンバレー通信
イラスト:tanomakiko

その日は30度近く気温が上がった暑い日で、新型コロナのために自宅待機が続くわたしも近所の人たちも、窓を開けて家で仕事をしていました。最近は異常気象で例外が増えてきましたが、夏でも冷涼なので冷房がない一般家庭がこのあたりでは多いのです。そんな中、自治体からの「二日間の夜間外出禁止命令(curfew)」の通知がスマートフォンに入り、一斉に鳴ったアラートが窓越しからも聞こえてきました。

アメリカ、ミネアポリスで警官から首を膝で押さえられて死亡した黒人のジョージ・フロイドさんの事件で、黒人差別や黒人に対する警官の暴力に抗議するデモが拡大しました。一部で火災が発生し、店舗が攻撃され、略奪や暴動の過激化が続いており、夜間外出禁止命令は、それを受けてのことでした。

何者かによって破壊された店舗の床にはガラスの破片が散らばっていた。少しずつ規制が緩和され、さあこれから少しずつ店舗も開店し始めるというニュースが流れ始めていたときなので、また心が沈み、経済活動再開への不安が募りました。写真:グリーンバーグ美穂提供

これまでも何年かに一度は同じような事件が起こり、その度に大きく報道されたり、デモが実施されたりすることで黒人差別を意識する機会は何度もありましたが、今回大きく異なるのは抗議運動の規模です。

ソーシャルメディアを通じて、一人の黒人男性が8分46秒にわたって白人の警官に膝で押さえつけられて殺されていく様子が動画で拡散されました。広告が画像から動画マーケティングに移行しているように、文字だけよりは画像、画像よりは動画の方が音と動きを通じて多くの情報が脳に到達し、記憶に残ると言われています。人々が怒りと痛みを感じたのは、この強烈な動画の影響が大きいと思います(ニューヨークタイムズがまとめたビデオはこちら。ワシントンポストがまとめたビデオはこちら
暴力シーンや残酷な場面が含まれています)。

アメリカでいま起こっているBlack Lives Matter 黒人の命も大切)ムーブメントを理解する第一歩は、これらの映像を通じて痛みを実際に感じることなのかもしれません。

人々は暴力的映像を通じ、怒り、痛み、恐怖、理不尽さを感じ、黒人差別撤廃に共感しました。そして、多くの人が夜間外出禁止など具体的に影響を受けることで、ぐっと事件が身近になりました。その中でも、強い憤りを感じ、行動を起こしたのは、まっすぐで、正義感がより強い、Generation Z (8-23歳)、そしてMillennials (24-39歳) 世代です。彼らの世代の多くがユーザであるTikTok や Instagramでハッシュタグ#BlackLivesMatter(黒人の命も大切)とともに、ショートビデオや画像がつぎつぎと投稿されました。それらのバイラル化のスピードと投稿数の多さには圧倒されるものがありました。

ネットフリックスの公式ツイッターより

音楽のマーケティング担当者たちが人種差別への抗議と黒人コミュニティーへの連帯を呼びかけた「Blackout Tuesday(ブラックアウト・チューズデイ)」は、事件があった翌週の火曜日に行われ、ハッシュタグ#BlackoutTuesdayを使用したInstagramのポスティングは東海岸時間の午前中の時点で1460万件を超えたそうです。たくさんの人が四角い黒塗りの画像を次々と投稿し、私のフィードは真っ黒の海のようでした。この日は暴動やデモが盛んに行われていた日だったので、黒一色の画像があふれかえったためにもっと有益で伝えられるべき情報が埋もれてしまった、もしくは投稿されなかった、という批判も後になって浮上しました。

ソーシャルメディアでこれだけ爆発的に投稿が繰り返されたのは、コロナで学校もオンラインとなり、自宅から出られない時間が長く、ソーシャルメディアで繋がる生活が続いていた側面はあったと思います。

#BlackoutTuesday のスクリーンショット 四角い黒塗りの画像が次々と投稿されました。

Black Lives Matter ムーブメントについて私の周囲にいる10歳から25歳の黒人も含めた若い世代の人たちに意見を聞いてみました。サンフランシスコ、シリコンバレーはリベラル人口が多いエリアで、広いアメリカでは別のエリアになるとまた違う傾向となるのなのかもしれませんが、全員が何らかのカタチで抗議活動に参加していました。

「沈黙は犯罪」「沈黙は暴力」「沈黙は共犯」といった投稿が多く出回り、それが友達やフォローしているセレブリティからのものであると、プレッシャーを感じて自分も投稿を始めたという人や、手作りのマスクやパンやケーキを作って売ったお金を黒人コミュニティに寄付する活動を始めた高校生もいました。デモには「友達が行くから一緒にいった」と言う人もいましたし、「自宅待機が続いていて退屈だったから参加した。世の中の人が何に怒って、何がどうなっているのか、自分の目で確認したかった」という人もいました。ボストンにいる30歳の白人女性は、黒人が警察に殺される比率が高いことに本気で憤りを感じていて、デモ抗議に2回参加し、そのうち一回は8分46秒の間、地面に片膝を付いて抗議した、とのことでした。

ボストンにいる友人は、膝で抑えられていた間の8分46秒間片膝をつき抗議しました。写真:グリーンバーグ美穂提供

私の住んでいる街の抗議デモは高校生の女の子が企画して実施されました。私の11歳の娘も参加を熱望していましたが、暴動に巻き込まれる可能性があったのと、何よりコロナが完全に収束しているわけではないので、そこでクラスターが発生したらという懸念がありました。娘はプリプリ怒っていましたが、参加を許可しませんでした。参加させて自分の目で見て感じさせることは大事だったのかもしれません。今でも迷うところです。周辺の店は早々に店じまいし、万が一に備えていましたが、結局、警察がエスコートし、デモは平和的に行われたそうです。

今回のBlack Lives Matterムーブメントに関する親の世代と子供の世代の意見の相違と親への不満をTikTokに投稿しているティーンエイジャーもいます。15歳のイザベラ。「ジョージ・フロイドは間違ったことをしたのだから当然の報い、という両親は嫌い。ルイジアナも嫌い。早く出て行きたい。」泣きながら投稿した動画は、現在190万回再生されています。 @izabellamiletello/TikTok

ソーシャルメディアの#BlackLivesMatter の投稿もかなり落ち着いてきました。「これだけの人がデモで動いても状況が一気に変わるわけではないよね。怒ったあとは、建設的で、長期的な取り組みがきっと必要になるよね。Now What? 」と娘も含めて周囲の若者に尋ねると、「差別問題については自分もまだ分かってないし勉強する余地があるから、リサーチを始める」と答える人もいました。私自身もさらに理解を深める必要性を実感しています。