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シリコンバレーは完全成果実力主義。出社しなくても仕事はできる

働くママのシリコンバレー通信
イラスト:tanomakiko

「オフィスで働いていないで、どうやってスタッフが仕事しているってわかるのですか?」という質問をいまだに受けることがあります。オフィスにいてもいなくても、仕事をしているか、していないかというのは、その人のパフォーマンスや、仕事の結果をみれば一目瞭然。最近ではかなり状況が変わっているとは思うのですが、日本はオフィスに物理的に出社し、何時間そこで過ごしているか、というのが依然として重要視され、人事評価にも繋がっているのかな、という気がします。

逆に、サンフランシスコ・シリコンバレーでは、成果主義、実力主義なので残業を遅くまでしていても評価されません(むしろ仕事が遅いヒトと認識される傾向があります)。チームへの貢献度数が低かったり、パフォーマンスが悪い場合は、速攻レイオフの対象になるので、そこはなかなかシビアです。

わたしの職場のコワーキングスペースのWerqwise は 4時半からはタップ(樽生)ビールが飲めます。そんなのがあったら仕事の後に毎晩飲んじゃうかも、と思っていましたが心配には及ばず。実際にはそんなに飲む機会はないです=Werqwise 提供

私の職場は、今年からコワーキングスペースに引っ越ししました。フリーランスであったり、違う企業で働くそれぞれが同じオフィススペースをシェアするコワーキングスペースは、日本でも増加傾向にあります。サンフランシスコでは「WeWork」 をはじめとしたコワーキングスペースを提供する企業が急激に拠点を増やしていて、ファイナンシャル・ディストリクトやIT企業がひしめくSoMaエリアをハイジャックしている状態です。

シリコンバレーはネットワーク主導型のビジネスカルチャーです。「誰を知っているか」が、すべて。求人・転職活動にしても、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業との関係構築にしても然りで、多くの人が日々開催されるネットワーキングイベントやパーティに参加し、ビジネス・コネクションを築いていくのにはそういった背景があります。社交性が低い性格だとちょっと辛いですし、貴重な時間を割いて参加するイベントすべてが、「来た価値があった」というわけではないですが、人との交流が重要なのは共通認識です。シリコンバレーで爆発的にコワーキングスペース が増えているのは、人と人を繋ぐ力を促進するコミュニティ型のワークスペースが馴染みやすいためで、テナント同士の交流から人材を紹介してもらったり、新規ビジネスのプロジェクトに繋がったシナジー効果をよく耳にします。コワーキングスペース側も毎日のようにネットワーキングイベントやワインやビールを片手に集まるハッピーアワーを夕方提供しています。

図書館に行くと試験勉強がはかどるように、コワーキングスペースはポジティブなエネルギーがもたらされているので仕事の効率が上がる気がします。ミレニアル世代を中心に、カフェであったり、自宅であったり、コワーキングスペースであったり、オフィス以外でもさまざな場所をフル活用し、仕事をしています=Werqwise 提供

最近では個人や小規模のスタートアップだけでなく、100人や1000人以上の大規模企業もコワーキングスペースをフロア借りする企業が増えてきました。インターネットも含めてインフラが整っている、受付、掃除の人員配置不要、コーヒーなどのリフレッシュメントも完全完備、総務不要、臨機応変に従業員数によってオフィスを大きくしたり、小さくしたりできる、などの理由が挙げられます。

私の所属している北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティ は週に2、3日はスタッフが全員揃いますが、それぞれが企業訪問をしていたり、自宅で働く”Work from home” の日もあるので、全員が毎日出社しているわけではありません。以前の記事でも紹介したSlack を活用し常にお互いコミュニケートしていますし、ビデオ会議アプリの「Zoom」で相手の画面を見たり、自分の画面を見せるスクリーンシェアの機能を利用しながら(私は英語がネイティブでないので複雑な詳細を説明するにはスクリーンシェアは必須です)ディスカッションを重ね、プロジェクトを進めていきます。ですので、働いているかいないかというのは、同じ場所にいなくてもはっきりしています。

遊牧民の移動テント、ユルトがあって、その中でミーティングをしたり、疲れたらごろんと横になって仕事することも。IT企業を中心として、クリエイティブで遊び心のあるデザインのオフィスが増えています=Werqwise 提供

サンフランシスコのスタートアップ企業 Gigsterは、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャを含めたフリーランスのチームを世界中から募り、プロジェクトごとにオンデマンドで構築するという新しいビジネスモデルを展開しています。日本からもソフトウェアのアウトソースを請け負っていて、そうなると世界中どこにいても仕事ができて、こういった単発の仕事をリモートワークスタイルで受注するギグ・エコノミー型の働き方もよく見かけるようになりました。

渋滞が激しいシリコンバレーではリモートワーク、work from home程度のフレキシビリティを提供するのは、優秀な人材を獲得するためにはもはやスタンダードな雇用基本条件となっています。有給は無制限日数などの自由な環境を与えられていても、仕事をする人はしっかりしますし、結果を出せる人だけが残ります。また、好条件を失いたくないと思う従業員はパフォーマンスをさらに上げようと努めるので、会社に対するエンゲージメントが向上します。

フォンブースに入ってヴィデオカンファ レンスツールのZoom で会話。以前だと電話の音声だけで済ましていた会議も、スクリーンのシェアや、チャットなどが即時に送信できるので、ヴィデオツールを使うことが多くなりました=グリーンバーグ美穂撮影

ここまで進化しているシリコンバレー、すごいでしょ、とご紹介したいところですが、Work from home というコンセプトにも課題はあり、各個人の工夫やちょっとしたコツが必要とされます。例えば、家が散らかっていても、洗濯を畳みたいときでも、見てみないふりをする訓練が必要です。仕事中は仕事をする。また、プレッシャーからエンドレスで仕事をしてしまい、オフィスから仕事を持ち帰る場合もそうですが、プライベートと仕事の線引きがなかなか難しくなっているアメリカ人が多くいるのも事実です。

以前の職場では、ほぼ毎日家から仕事をしていました。子供がまだ幼稚園や低学年で小さかったので、ハロウィーンなどの行事のときはちょっと抜けて参加できていましたし、学校で病気になってもすぐに迎えに行くことができました。

そんな有難い環境ではありましたが、雲行きが怪しくなってきたのは、夫も同じく自宅勤務になったあたりから。出張以外のときは二人とも家から仕事をすることになりました。

朝の10時半。

「夫:今晩の夕食は何にするの?」(私:あと10分で資料まとめないといけなくて、朝から夕食のことまでアタマが回らないんだけど)

「夫:さっきかかってきた電話なんだけどさあ」(私:聞いてあげたいけど今忙しいんだけど)

「夫:見て、このチーズカビ生えたよ」(私:今それどうでもいいんだけど)

と、違う部屋にいても常に邪魔される気がして仕事がはかどりません。家庭内でもルールが必要です。

結局、転職したので、完全にwork from home ではなくなりました。ある調査によると週に2、3回くらいオフィスに出勤するのがチームとしても効率が良く、会社に対するロイヤリティも上がるそうです。

東京の企業がこの働き方を導入する大きなきっかけになるのは、来年の東京オリンピック、パラリンピックかもしれません。開催期間の交通機関の混雑緩和のため、多くの企業がリモートワークを導入することになるでしょう。部下がオフィスにいないことに抵抗のある上司にしても、「やってみたら意外と大丈夫だった」ということになるのでは、という気がしています。