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シリコンバレーで働くママのロックダウン生活のリアル

働くママのシリコンバレー通信
イラスト:tanomakiko

サンフランシスコ・シリコンバレーではロックダウン(都市閉鎖)となって早くも2カ月になろうとしています。

現地の日本企業から「欧米で実施されている自宅待機命令の緊張感が、日本の本社に伝わらない」と耳にすることがよくありました。全米で一番最初にロックダウンが要請されたサンフランシスコでは、医療、配達、スーパーマーケットなど社会を支える「エッセンシャルワーカー、またはフロントライン・ワーカー」と呼ばれる人々以外は完全に全員自宅待機です。もちろん、会社に行くこともできませんし、病院は例外ですが5マイル(8キロメートル)以上の外出禁止、警察にナンバープレートをチェックされて違反が見つかった場合は罰金400ドル、ときに1000ドル課されることがあり、5マイル以上離れた時にはスマートフォンにプッシュ通知で警告がきました。多くの人が散歩で集まりそうなところは警察がパトロールしています。

規制のあり方は違いますが、自宅待機を強いられているのは日本もアメリカも同じ。日本でも緊急事態宣言で自宅勤務に切り替わった方が大勢いらっしゃると思います。

私は子育て中のワーキングマザーですが、普段からバタバタと忙しくしているのをお見せしているせいか、「在宅勤務でちょっと余裕が出たでしょう」と言われることがあります。が、どうなったら余裕がでるのかわかりません。通勤していたときとはまた違う種類の忙しさで1日があっという間に過ぎていきます。

自転車に乗る親子。今は車が全然走っていないので、車道でゆったり走ってます=写真はすべてグリーンバーグ美穂撮影

シリコンバレーでは、金曜日は在宅勤務で仕事の合間にジムにいく人が多いため「金曜日はジムが混む」と言われるほど、自宅から勤務するWork from Home、Remote work (テレワークというのは実は和製英語です) というのはすでに一般的でした。また、シリコンバレーは渋滞がひどいので、移動時間を節約するためにZoom、WebEx、Teamsなどのビデオ会議は電話感覚で5年くらい前から頻繁に利用されていました。しかし、今回大きく事情が変わったことが二つ。

• 子供も含めて家族全員が家にいる。
• 週に一回などの在宅勤務でなく、毎日、毎日、毎日いる。

シリコンバレーでは共働きがスタンダードですが、子供がいる家庭の働く大人たちは試行錯誤し、さまざまな工夫をしながら仕事をし、子供の世話をしています。そして、こんなにも自分たちは社会やコミュニティに支えてもらいながら子育てをしていたのだなあ、と実感している人が大勢います。

買い出しも一大行事です。店内の人数制限をしているので、20分から40分くらい並んで入店します。小池都知事の「買い物は3日に一回に控えてください」のコメントを聞いて、カルチャーショックを受けました。アメリカでは平常時でも週に一回程度ですし、現在は2週間に一回の買い物の外出がガイドラインとなっています

私のざっくりとした1日の流れはこんな感じです。

まず起きてからメールやSlackのチェック。ささっと返信できるものはそこで返信します。

朝8時、可能な限り子供と外に30分出て自転車、キックボード、ランニングなどして近所を散策します。ここで30分取られるのは痛いですが、ある程度そこでエネルギーを発散させると、その後の子どもによる「外に連れて行け。退屈」攻撃が少し和らぎ、その後の1日の効率が上がる気がします。朝から運動していると言えば聞こえがいいですが、私に関しては「コロナ太り」の予防です。

スケートボードをしていて遊んでいた公園も閉鎖

それから、9時までに簡単な朝ごはんを済ませて、シャワーを浴びます。在宅勤務とは言え、ここで簡単にメイク。眉だけは描くようにします。ここでしておかないと、その後するタイミングがないのと、ひっきりなしにビデオ会議が続くので、まったくのノーメイクだと自分の顔がスクリーンに映ったときに、ぎょっとします。シリコンバレーの知り合いの日本人女性たちはしっかりフルメイクをされている人もいて素晴らしいです。

11歳の子供は前回の記事で紹介したグーグルクラスを利用した授業が始まり、昼過ぎまで結構忙しそうです。アメリカの学年末は6月半ばですが、カリフォルニア州をはじめ、多くの州で学年末までの学校閉鎖が決定しました。授業の遅れが発生しているため、「コロナがある程度収束し、再開できる目処が立つのであれば、8月末ではなく7月から新学年を始めるかもしれない」と州知事がコメントしていますが、どうなるか分かりません。学校のオンラインラーニングが終わったら、長い夏休みの間、1日何をさせたらいいのだろう、とアタマが痛いです。通常は、夫の方の親戚がいる東海岸に一人で行かせたり、民間が経営しているデイキャンプに送り込みますが、今は状況も読めない上、そこまでの思考がまわりません。

スターバックスでは商品の受け渡しは店内ではなく店舗の前。Mobile Order で注文を受付し、決済をします。クレジットカードやApplePayは使えても現金のやりとりはありません

私の夫も同様にビデオ会議が頻繁に入るので、家族全員がビデオで誰かしらと話していることもあります。しかしなぜ、子供というのはこちらがビデオ会議していると、入って映りたがるのでしょう。バーチャル背景などを利用して、家族の存在を見せない努力をしている方々も多いですが、相当かしこまった会議のとき以外は、わたしは家族が背後にうろうろしていても、子供が思いっきりカメラに向かって手を振っていても、膝にのってきたとしても、あえてそのままにしています。そうすることで、周囲のヒトたちにも、この状態は一時的なものではなく長期戦、そして、自宅で働いているということは子供がいるときもあるという事実に目が慣れてくれるといいな、と思っています。私の子供が映っているのをみると、「あ、いいのかな」と思ってくれるみたいで、先方のお子さんが登場してくることもあります。また、シリコンバレーの企業では、子供が入ってくるのをむしろ奨励しているファミリーフレンドリーな企業もあります。

仕方ないので、木登り。選択肢がなくなってくるとだんだん遊びもクリエイティブになります

そうこうしているうちにあっという間にお昼ご飯の時間になり、超簡単に済ませられるものをささっと作って子供に食べさせます。夫はセルフサービスで、自分で用意して食べてもらいます。食べ終わった食器などはそのままほったらかしで、片付けは後回し。コンピュータの前に戻ります。

「おなかすいた、おやつ」の要望に何度か応えているうちに、またしてもあっという間に夕方4時ごろになります。私はその頃には連続ショットのビデオ会議(同僚や取引先の相手とは会えないので、Slackやメールより早いと判断したときは、すぐに画面共有できるビデオ会議に切り替えています)やウェビナーに参加しているので、Zoom疲れでアタマが飽和状態です。子供の方も家にいるのにはもう限界なので、外に1時間半ほど連れて出ます。公園、学校の校庭は閉鎖、人が集まりがちのトレイルなども日を追うごとに次々と閉鎖されていきました。

人とすれ違うときは2メートル程度離れるソーシャルディスタンスに気をつけながら、一緒に住んでいる家族とだけならオッケーのバスケットボールやサッカーなどをして過ごします。また、大人も子供も自転車は人気でサイクリストが一気に増えました。私が行けないときは、夫が外に連れ出します。

人が集まりすぎてしまったために、フープがすべて取り除かれてしまったバスケットボールのコート。一緒に住んでいる家族とだけはバスケットもオッケーだったのに、また一つ行ける場所がなくなってしまい、落胆

自宅に戻って残りの仕事を片付けて、6時半過ぎから夕食の準備をします。シリコンバレーでは平常時より42%アルコールの消費量が増えているそうですが、私もしっかりその数値に貢献しています。飲み過ぎ注意ですが、夕食の料理を作ることとワインやビールを飲むことが、今の生活の楽しみの一つです。

私の子供は5年生で、自分でコンピューターを使って課題をやっているようなので(本当にきちんとやっているのかどうかまではフォローしきれていませんが)ほとんど手がかかりませんが、低学年やさらに小さなお子さんがいる家庭はそうはいきません。

低学年の場合、まだコンピューターの使い方がわからないので、さまざまなセットアップを親がしなければならず、課題によっては隣について手伝う必要もあります。そうすると、親のほうは必然的に仕事ができません。もっと小さなお子さんがいる家はさらに手がかかります。テレビをみせたり、ゲームに頼っている家庭が多いのは事実ですが、一日中デバイス漬けにして過ごさせるわけにはいかないですし、勝手に一人遊びしてくれるわけでもありません。親のスケジュールはずっと複雑になり、企業側の理解が非常に大事になってきます。

父親と母親で午前、午後の「子ども担当」を分担し、グーグルカレンダーなど職場で共有しているスケジュール管理アプリに「子育てタイム」 として一定の時間をブロックし、その間は反応が遅くなることを周囲に知らせて理解を求める人もいます。また、新型コロナウイルス対策法の中には、子供の学校が休校になって世話をしなければいけない従業員を対象にした特別休暇法ができたので、それを毎日数時間づつ利用している家族もいます。

企業によっては、従業員が仕事に集中できるように、子供向けのヨガやメディテーション、お話しタイムなど提供し、子供が参加できるカタチでクラスを実施している企業もあります。

友人のパーソナルトレーナーのコンラッドは、法律事務所に勤務する従業員の子供向けに、ヨガやメディテーションを教えています。仕事に集中できるように、企業はさまざまな手法で子供のいる従業員をサポートしています。ロックダウン になって以来、パーソナルトレーニングの予約はすべてキャンセルになってしまいましたが、企業はこういったカタチでもコンラッドのようなスモールビジネスをサポートしています。

エッセンシャルワーカーと呼ばれる、医療従事者、スーパーやドラッグストアの店員、配達員として働く人たちの子供を対象としたデイケアはオープンしていて、人数を限定し、感染を防ぐ細心の注意を払いながら運営しています。

多くの家族が必死にさまざまな工夫をしながらこの時期を乗り切ろうとしています。カリフォルニア州では段階的な自宅待機命令の緩和が発表され、少し希望の光がみえてきました。このロックダウン 生活もそろそろ後半戦に入っているならいいなー。