アフリカ各国で、遠く離れた日本の印象を聞いてみると、「高い技術力」と答える人が多い。その代表的な存在が、トヨタなどの自動車だ。壊れにくく、未舗装の道路でも難なく疾走する日本製の車は、どこに行っても目にする。ただ、現地の人に愛されている日本ブランドは他にもある。今回は、8月末に実施されたアフリカ開発会議(TICAD)にブースを設けていた2社を紹介したい。
ヤマハ発動機などが製造する船用外付けエンジン「船外機」は、アフリカ各国の港町でよく見かける日本製品だ。
日本向けにタコを輸出しているモーリタニアのヌアディブでは、タコ漁を手がける多くの漁師が同社製の船外機を使用。漁が終わって港に戻ると、盗まれないように船外機を外し、大事そうに担いで倉庫などに保管していた。
中国製などの類似商品が出てきても、選ばれやすいのは壊れにくい同社の製品だという。現地に進出する日本企業の社員の1人は「現地の人は、見た目を嫌ってタコは食べなくても、ヤマハ製の製品をこよなく愛している」と話していた。
大手化学メーカーのカネカがつくるアクリル系合成繊維「カネカロン」のつけ毛も、各国で人気を得ている。アフリカでの業界シェアは、約50%に上るという。
現地では、髪が縮れて長く伸びにくい人が多いため、美容を気にする女性を中心につけ毛が好まれている。実際、ナイジェリア最大の都市ラゴスなどで取材していると、ウィッグやエクステンションつけて街中をさっそうと歩く若い女性に出くわす。
同社は1980年代からアフリカに進出。品質などをうりに現地の女性の心をつかんだ。TICAD期間中のブースでは、実際に女性につけ毛をつける様子を見せて、訪れた人の注目を集めていた。
アフリカ駐在員事務所の瀬古裕所長は「人口が急増するアフリカ諸国で、多くの女性に品質の高い商品を提供していきたい」と話す。