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「コロッケは心の癒やし」 オランダのレストラン、店主は心理学者

One Meal, One Story 一食一会
「Wilde Kroketten(ヴィルデ クロケッテン)」の通称「おばあちゃんのコロッケ」。特製マヨネーズにつけて食べる。
「Wilde Kroketten(ヴィルデ クロケッテン)」の通称「おばあちゃんのコロッケ」。特製マヨネーズにつけて食べる。

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国際色豊かなオランダ最大の都市アムステルダム。この街に最近、一風変わったコロッケ屋ができたと聞いた。人呼んで、「心理学者のコロッケ」。さて、カウンセリングでもしてくれるのか?

アムステルダム中央駅から車で10分の港湾エリアに、「Wilde Kroketten(ヴィルデ クロケッテン)」はある。落ち着いた雰囲気の店内は、ランチ時とあってほぼ満席だった。

メニューは、エビ、ラム肉、牛肉のほか、香辛料を利かせたアジア風、コーラ風味の変わり種まで約20種類。パンとサラダが付いて15ユーロ(約2000円)前後。ご親切に、それぞれに合う世界各国の地ビールも薦めてくれる。
店一押しの、通称「おばあちゃんのコロッケ」を頼んでみた。こんがりきつね色の俵形コロッケが二つ。特製マヨネーズにつけて口に運ぶ。外はサクサク、濃厚なクリームの中を泳ぐぷりぷりのエビ。ナイフでつぶしてパンに塗るのがオランダ流。たしかに美味、コロッケパンだ!

コロッケ消費、年3億個

店を切り盛りするのは、心理学者のアド・ポペラースさん(63)と息子のステーヴェンさん(35)。「父と子の絆を深めよう」と、役所勤めをしていたステーヴェンさんが6年前に起業を持ちかけ、オランダでも珍しいコロッケ専門レストランとして昨年6月オープンした。

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店を切り盛りするアド・ポペラースさん(右)とステーヴェンさん親子=玉川透撮影

「クロケット」と呼ばれるオランダのコロッケの起源は、19世紀ごろにフランスから伝わったなど諸説ある。地元コロッケ会社の2012年調査では、オランダ人のコロッケ消費は年間3億個。大人1人当たり25個にもなるという。そして、約85%のオランダ人が定期的にコロッケを食べているとされる。愛好家でつくる一般社団法人「日本コロッケ協会」によれば、日本にクリームコロッケが伝わったのは、明治期にフランスからだという。

「コロッケもセラピーも、人の心を癒やしてくれる。フゼラフ(Gezellig)そのものです!」と、アドさん。
フゼラフとは、気の置けない仲間と久しぶりに食事した時などに用いる、オランダ語独特の表現。ちょっと古いけど、日本語なら「超気持ちいい!」かな。
長年連れ添った妻と「熟年離婚」したばかりのアドさん。それでも息子と男2人、エプロン姿でコロッケ談議に花を咲かせる姿は、とってもフゼラフに見えた。