今回の「アフリカを旅する」のテーマは選挙。ジンバブエで7月30日に大統領選や議会議員の選挙が実施されたので、その様子を紹介します。一緒に取材したケニア在住のフリーカメラマン、中野智明さんの写真は必見です。
アフリカの選挙を取材していると、日本の選挙風景との違いが多くあります。特に私が驚くのは、選挙集会の盛り上がりと、演説がいつ始まるか分からない「アフリカ時間」。
先月28日にジンバブエの首都ハラレであった与党の選挙集会は、国立競技場を借りきっての開催。参加者は午前9時ごろから到着し、数万人が集まりました。
ただ、多くの人はこの日に選挙集会があることしか聞かされていません。日本なら「いつ始まるんだ!」と怒る人もいると思いますが、現地の人は慣れっこ。我慢強く待ちます。途中で音楽がかかると、陽気に踊って時間を潰していました。
結局、現職候補のムナンガグワ大統領(75)が現れたのは4時間後。自らの写真が入ったカラフルな服を着て登場すると、支持者からの歓声や拍手に加えて、伝統楽器のブブゼラも鳴り響きました。
野党候補の集会に至っては、大統領候補が演説したのは開始から約6時間後。こちらは与党よりもさらに大勢の人が詰めかけ、支持者らは持参したビールを飲んだりして陽気に待っていました。
投票日だった先月30日は、午前3時から列をなす人がいました。投票開始は午前7時なのですが、行列で何時間も待つのを避けるためのようです。私たちはと言うと、37年にわたって権力の座にあったムガベ前大統領(94)が投票するのを取材しようと、国内外の記者と投票所で約6時間待っていました。
ジンバブエの議会選挙は、与党が過半数を獲得。結果に納得のいかない野党支持者が抗議デモを行って治安部隊と衝突し、犠牲者も出てしまいました。大統領選挙は、3日未明に結果が発表され、現職のムナンガグワ大統領が当選を決めました。ただ、野党の候補も事前に「勝利宣言」をしており、今後、抗議デモがひどくなる恐れもあります。選挙で盛り上がるのはいいことですが、これ以上犠牲者が出ないことを祈るばかりです。