掃除しないと人は死ぬのか? 生活史研究家・阿古真理さんに聞く
掃除は苦手な人だけでなく、得意な人にもアドバイスが必要です。抱え込みすぎる傾向があるからです。ジェンダーの問題も関係してきます。
例えば、女性でお子さんがいて、夫はあまり家事が得意ではないといった状況で、「だったら私がやらなきゃ」と責任を負いすぎてしまう。家族に指示を出すぐらいなら自分でやった方が早いから、とか。以前は分担していたけれど、お子さん誕生をきっかけに引き受ける家事を増やし、負担が大きくなったまま、とか。
特にキッチンは、聖域を荒らされると困るから、と家族が入りづらくなっている場合もある。「みんながやってくれない」と言っているけれど、気がつけば、実は自分が排除してしまっている。家族の側には甘えもあり、便乗してしまう。
ところで、掃除をしないと人は死にます。食事をしないと人は死ぬというのは明らか。では掃除や洗濯はどうか、が私はずっと気になっていて、「ひとり暮らしの超基本」という本を書くときに各ジャンルの専門家に取材しました。食事ほどダイレクトではないけれど、最終的には命に関わります。不潔な状態で暮らしていると、体が弱ったり疲労が蓄積したりして、身体的にも精神的にもよくありません。
でも、掃除は上を見ればきりがない。どこまでやっても際限がない。なので、あえて手を放す、諦めることが必要なときがあります。人が暮らしている以上、使えば汚れるし、動くだけでほこりは落ちるんです。永久に繰り返されるものを、元に戻すのが掃除の役割。もし、ほこり一つ落ちていないピカピカの状態をキープしたいと思うなら、ずっと掃除ばかりしていなければならなくなる。
疲れているときに無理しないようにするためには、レベルを下げてもOKとする。家族といえども人によってやり方が違うことを許容する。どうしても苦手で、忙しかったら、家事代行サービスを頼む方法もあります。
掃除は機動力が肝心。全部まとめてするより、少しずつマメにやるほうが、清潔さを保てます。お薦めはコードレスのスティック型掃除機。部屋に置いたまま充電できて、いつでも使えるからです。ロボット掃除機は家を選びます。ワンフロアで段差がなく、床に物を置いていない家ならば向いています。
大掃除は家事をシェアするチャンス。普段やらない家族が張り切るからです。来年からは、普段も自分の部屋の掃除は自分で、と子どもを納得させることができれば、楽になる。親御さんの子離れ、お子さんの自立の準備にもなります。家事は技術なので、若いときに覚えた人の方がうまいし、手の抜き方もわかって、要領もいいんです。