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18世紀に誕生した「人種の区分」が今も余波 「共通性」や、調査の先の「政策」も重要

World Now 更新日: 公開日:
セントラルパークでピクニックを楽しむ市民=2020年8月、ニューヨーク
セントラルパークでピクニックを楽しむ市民=2020年8月、ニューヨーク、坂本真理撮影

「人種」の考え方の起点は18世紀のスウェーデン出身の博物学者の著書だそうです。どのように人種を分けていたのでしょうか。
また、筆者は「区分」ばかりにとらわれることに疑問を感じます。国勢調査の先にある「政策」の重要性についても考えます。

現代に連なる「人種」の考え方の起点とされるのは、スウェーデン出身の博物学者、カール・フォン・リンネが18世紀にまとめた「自然の体系」の中の区分だ。リンネは地球上の動物・植物・鉱物を整理することを目標とし、現在も続く「学名」を提唱するなどした。

リンネが提唱した人類の分け方は「白色欧州人」「赤色米州人」「黄褐色アジア人」「黒色アフリカ人」の4区分。さらに、白人は「鋭く、創造性がある」「法律によって支配される」などとする一方、黒人は「鈍く、不注意」「恣意によって支配される」と定義をした。

リンネらを扱った著作「Every Living Thing」を執筆し、2025年にピュリツァー賞の伝記部門を受賞した作家のジェイソン・ロバーツ氏は「リンネが世界を優越な階級と、搾取される階級に分けたのと、欧州による各地の植民地支配との時期が重なったのは偶然ではない」と指摘する。現代科学が誕生したタイミングで「疑似科学」の要素が加えられたことは「人類全体にとっての損失だった」とも話す。

当時から、違う考え方もあった。ロバーツの著作のもう1人の主人公、フランス出身のビュフォンは、リンネの人為的な分類ではなく、自然界を総合的にとらえた上で判断すべきだと提唱し、進化論の形成にも影響を与えたとされる。しかし、少なくとも「人種」についてはリンネの考え方が後世まで響いている。米国の国勢調査で用いられている区分も、おおむねリンネの提唱を踏襲している。

でも、区分ばかりに集中するのがいいのだろうか。取材をしながら何度か、以前の任地のニューヨークの光景が脳裏に浮かんだ。世界中から集まった850万人がひしめく都市では、地下鉄が市民の足だ。列車に乗っていると、様々な人を目の当たりにする。身体的特徴、肌の色、文化、言葉、信仰……いくつもの分け方が可能だ。だが同時に、その地に住む人は全員「ニューヨーカー」という共通性も持つ。地元を愛し、誇りを持ち、困ったことがあれば互いを助け合う。

最近は「多様性が組織の力になる」と言われる。その通りだが、「他者との共通性を見つけること」の重要性も見落としてはならない。特定の国に住む人の実態を知るため、国勢調査などで「分ける」ことは無意味ではないが、集めたデータを使って国を「まとめる」政策につなげることがより大切だ。