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パリ五輪の競技場は名所ずらり…ナポレオン眠る建物、ヴェルサイユ宮殿、エッフェル塔

World Now 更新日: 公開日:
パリオリンピックの開会式で、レーザー光で彩られたエッフェル塔
パリオリンピックの開会式で、レーザー光で彩られたエッフェル塔=2024年7月26日、VEGARD GRØTT/Bildbyran/Sipa USA via Reuters Connect

まずは、数字で見る2024パリオリンピック・パラリンピックを紹介したい。

オリンピックは7月26日~8月11日の17日間、パラリンピックは8月28日から9月8日までの12日間開催される。

オリンピックは32競技329種目の試合が41会場で行われ、各国・地域から206代表団の約1万人のアスリートが参加する。パラリンピックは22競技549種目でメダル争いが行われ、175カ国・地域の約4400人がフランスに集結する。

26日の開会式は、セーヌ川沿いで夏季オリンピック史上初めて屋外で式典が開催。サッカーはフランス主要都市で行われ、太平洋ポリネシアの仏領タヒチは、サーフィンの競技会場になった。地中海沿いの港町マルセイユでもセーリングが行われる。

エッフェル塔から眺めたセーヌ川。近くにはオリンピックで使う競技会場などがみえる
エッフェル塔から眺めたセーヌ川。近くにはオリンピックで使う競技会場などがみえる=2024年7月24日、パリ、Sina Schuldt/dpa via Reuters Connect

パリ市内や近郊の競技会場は、パリを訪問するなら欠かせない観光スポットばかりだ。

1889年開業、高さ330メートルのエッフェル塔には、近代オリンピックの創設者となった、地元出身のピエール・ド・クーベルタン男爵が考案した巨大オリンピックマークが掲げられている。

1924年大会の2度目のパリオリンピックを見届け、1937年に逝去したクーベルタン男爵が21世紀の3度目の大会でまさかエッフェル塔が会場になっているとは、予想だにしなかったに違いない。周辺では大会期間中、さまざまな関連イベントが行われ、事実上のパリ大会のメーン会場となりそうだ。

塔の前で行われるのは、1996年アトランタ大会から正式競技となったビーチバレーだ。特設スタジアムで現地時間の7月27日から最終日の8月10日まで行われ、終盤になれば夜開催の試合もある。ライトアップされたパリの名物が勝利のアスリートを祝福するだろう。

エッフェル塔はパラリンピックで、日本代表チームのメダル獲得が期待されるブラインドサッカー(5人制サッカー)の会場となる。

ビーチバレーの競技場とエッフェル塔=2024年7月25日、パリ、BILDBYRÅN via Reuters Connect

今大会、万能性を競う複合競技の近代5種と馬術の2競技の会場となるヴェルサイユ宮殿は、パリ南西約20キロに位置するユネスコの世界遺産だ。1682年、ブルボン朝第3代のルイ14世の宮廷となり、以来、フランス王室の政治的中心になった。周囲には広さ800ヘクタールを超える庭園が施され、毎年、数百万人の観光客が訪れる。

ベルサイユ宮殿
ベルサイユ宮殿=2018年9月、パリ郊外

実は、ヴェルサイユ宮殿は1924年大会でも競技会場となった過去がある。当時も近代五種が行われ、他にも射撃競技も実施された。今大会では周囲の景観に配慮した仮設スタジアムが設置され、同様に馬術が行われるパラリンピックの大会後には、仮設施設全てが撤去されることが決まっている。

オリンピック競技で唯一動物が登場する馬術。人間と名馬が織りなす華麗な技の数々は、フランス王室の歴史的建造物の美観に新たな魅力を与えるだろう。

パリ2024大会組織委員会は、前大会の東京大会から正式競技となった、若者に人気のアーバンスポーツについて、従来のスポーツ施設とは違う、パリ都心の憩いの場で開催する計画を練っていた。

選ばれたのは世界遺産のセーヌ川沿いに位置し、フランス革命中には、ルイ16世やマリー・アントワネットへのギロチン刑が行われた場所としても名高いコンコルド広場。「アーバンパーク」と名づけられた広場にはひしめくように各競技の仮設スタジアムが設置され、会場別では最多の自転車BMXフリースタイル、スケートボード、バスケットボール3×3、ブレイキンの4競技が繰り広げられる。

コンコルド広場
スケートボードなどの競技会場となるコンコルド広場=2024年7月24日、パリ、ロイター

スケートボードやパリ大会新種目のブレイキンでは日本人選手のメダルラッシュも期待できるだけに、大会期間中は幾度となく、コンコルド広場の様子が映し出されるだろう。

さらに、1900年に万国博覧会に設置され、以来、数々の美術展覧会やファッションショーが彩ったグラン・パレは、フェンシングとテコンドーの競技会場に。同施設の南方に位置するセーヌ川を渡るアレクサンドル3世橋では自転車・ロード、トライアスロン、オープンウォーターの3競技が開催される。

フェンシングやテコンドーが予定されているグラン・パレの内部
フェンシングやテコンドーが予定されているグラン・パレの内部=2024年7月24日、パリ、Lu Lin/CHINASPORTS/VCG via Reuters Connect

さらに同橋を渡った先にあり、皇帝ナポレオン・ボナパルトの柩(ひつぎ)が置かれている建造物「アンバリッド」(廃兵院)では、アーチェリー競技が開催される。自転車ロードレースでもコース会場となり、陸上競技のマラソン種目はゴール地点にもなる。

アンバリッド
アンバリッド=2023年2月、Riccardo Milani / Hans Lucas via Reuters Connect

大会最終盤となる8月10日に男子、11日に女子がそれぞれ競うマラソン種目は、パリ市庁舎をスタートする。名所であるオペラ座、ルーブル美術館前を通って、市内をかけぬけるコースは市街地を出て、ベルサイユ宮殿あたりの23キロ付近で折り返す。

真夏のレースに高低差156メートルのアップダウンを繰り返す過酷なレース設定で、ランナーは35キロ付近過ぎに再びパリ市内に戻ってきて、エッフェル塔を横手にセーヌ川沿いのコースを激走し、アンバリットを目指すのだ。

42.195キロのコース設定はパリ紀行そのもの。視聴者はマラソン中継を見るだけで、パリを旅行しているような気分を味わえるだろう。

ルーブル美術館
ルーブル美術館=2010年2月、パリ

フランスは各スポーツの世界大会が開かれてきた地でもある。

クレイコートでおなじみのテニス全仏オープンの会場、ローランギャロスは今大会、テニスだけでなくボクシングの競技会場にもなっている。

パリオリンピックでボクシングとテニスの会場となるローラン・ギャロス
ボクシングとテニスの会場となるローラン・ギャロス=2024年7月24日、Wei Zheng/CHINASPORTS/VCG via Reuters Connect

著名なフランスの建築家によって設計され、1972年に落成したフランス国内最大級のスタジアム、パルク・デ・プランスは1998年サッカーワールドカップや2016年サッカー欧州選手権の競技会場ともなった。

今大会は48,000人収容のこのスタジアムで男女の決勝が行われる。

日本選手団の選手数は海外で開催されたオリンピック史上最多の409人。パラリンピックにも160人以上の日本人選手が自分の限界に挑戦する。

試合展開にハラハラドキドキするのは間違いないが、観光名所だらけのパリ大会の会場めぐりをするのも一つの楽しみだろう。

サッカーが行われるスタジアム「パルク・デ・プランス」
サッカーが行われるスタジアム「パルク・デ・プランス」=2024年7月23日、パリ、USA TODAY Sports via Reuters Connect