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白化し死んでいくサンゴに衝撃 タレント田中律子さんが沖縄で保護活動に取り組む思い

World Now 更新日: 公開日:
サンゴの保護活動に取り組む、田中律子さん
サンゴの保護活動に取り組む、田中律子さん=アクアプラネット提供

タレントの田中律子さんは40年近く世界の海に潜り、豊かで美しい海が失われていくことに危機を募らせてきた。次世代に受け継ごうとNPO法人を立ち上げ、サンゴの保護活動に取り組んでいる。思いを語ってもらった。

沖縄・座間味のサンゴが白化 目の当たりにして衝撃

1985年、14歳の時に撮影で沖縄の西表島に行きました。その時初めてダイビングをしたら、足の踏み場もないぐらいサンゴ礁が広がっていて、びっくりするぐらいきれいだった。以来ダイビングにはまり、ずっと潜っています。

1998年に沖縄・座間味で潜った時、緑やピンクだったサンゴが全部真っ白だった。

船に上がってキャプテンに「白くてとてもきれいだったけど、何あれ」と言ったら、「白化現象で死ぬ直前なんだよ」と聞いて衝撃を受けました。それからは、ちょっと落ちついてきれいになったと思ったらまた白化し、また良くなっての繰り返し。

昔のような大きなテーブルサンゴは減ってしまいました。

サンゴの保護活動をする田中律子さん
サンゴの保護活動をする田中律子さん=アクアプラネット提供

2006年に「アクアプラネット」を立ち上げたのも、食い止めなければいけないという危機感からです。

水中の世界に社会がもっと目を向けてほしい。100年後の子どもたちにもきれいなサンゴ礁を見てほしい。主な活動として、企業や個人の支援を受けてサンゴの苗を養殖し増やしています。

白化で減っている石垣島のサンゴの保全、再生事業です。去年も水温が上がり、途中で結構白化したので、養殖場を水深15~20メートルの深場に移しました。すると元気になるんです。あまり深場に行くと光合成ができず成長が遅くなる。難しいです。

いまはサンゴを増やす方に重きを置いている段階です。昨年、クラウドファンディングで植えた1000本のサンゴの赤ちゃんも一生懸命育っています。卵から育てるのではなく、マザーコーラルを育てて、その先をちょっと折って土台となるコンクリートに固定して育てる、無性生殖を利用した養殖です。1種類だけだと駄目なので、枝サンゴを中心にいろいろな種類を育てています。

養殖したサンゴがもう産卵するようになり、うれしいです。その卵から石垣の海にまたサンゴが増えてくれるといい。でも、温暖化が進んでしまうとせっかく増えたサンゴがまた死んでしまう。何もやらなかったらもっと死んでいってしまう。

サンゴの保護活動に取り組む田中律子さん
サンゴの保護活動に取り組む田中律子さん=アクアプラネット提供

私たちの活動でサンゴが自然に生きていける環境を取り戻すのは不可能ですが、少しでも多くの人が環境に目を向けてくれることにつながればいい。

夢をかなえて沖縄県恩納村に家を買い、11年前から東京との2拠点生活をしています。目の前が海で、海を散歩したり、バナナを育てたりしています。毎日自然の中で生活していると心も豊かになる。グレートバリアリーフやモルディブ、タヒチ、カリブ、パラオなど、世界中で潜りましたが、どこも温暖化による白化が進んでいます。モルディブでもサンゴの移植をしてきました。

子どもたちとサンゴの苗作り、次世代に海の素晴らしさ伝えたい

子どもたちには、サンゴの苗作りも一緒にやってもらっています。

実際にサンゴを手で触ってもらい、「これがお魚たちのおうちになるんだよ」と教えています。「お魚が食べられるのもサンゴ礁のおかげだよ」とか、「サンゴ礁が防波堤になっているから大きな波がビーチに来ないんだよ」と教えると、子どもたちは目を輝かせます。教育を通じて海の素晴らしさを伝えていきたいです。

でも、サンゴがなくなってしまったら「昔はね」っていう話になってしまうので、伝わりにくい。子どもたちのためにも、残せるサンゴは残していかないといけない。

地球温暖化にしても、海洋酸性化にしても、地球規模ですごい変化が起きていて本当におかしくなっている。地球の悲鳴を聞いてあげないと、50年後、100年後の世界は、どうしようもない状況になってしまう。

でも大人たちに危機感がない。都会の便利な生活の中で、海の中や山の中がどうなっているのか目を向けていない。本当に切実に考えて欲しいと思います。