昨年9月に亡くなった英国のエリザベス女王は、ロンドン郊外にあるウィンザー城の礼拝堂に埋葬された。棺は鉛で裏打ちされており、密閉性が高いとされる。
夫のフィリップ王配、両親のジョージ6世とエリザベス皇太后も同じ一角に埋葬され、妹のマーガレット王女の遺灰も納められている。王女は、父と同じ埋葬場所を望んだが、スペースに限りがあったため、火葬を選んだと言われる。
日本の皇室はどうか。宮内庁が歴代天皇とする124代122人(神話時代も含む)では、土葬が73人、火葬が41人、不明が8人とされる。1989年1月に亡くなった昭和天皇は、東京都八王子市にある武蔵野陵に土葬された。
宮内庁は2013年、御陵用地の制約や、国民の間では火葬が一般化している現状をふまえた天皇・皇后(当時)の意向を受けて、火葬へ転換する方針を発表した。
南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)政策の撤廃運動を率い、1984年にノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ツツ元大主教(2021年12月死去)は環境にやさしい葬法を希望したとされ、南アで一般的な土葬ではなく、アルカリ溶液で遺体を分解する水火葬が行われたことが話題を呼んだ。遺灰はケープタウンの大聖堂に納められている。
旧ソ連のレーニンや北朝鮮の金日成(キムイルソン)をはじめ、国の指導者の遺体が保存され、崇拝の対象とされることもある。中国の毛沢東やベトナムのホー・チ・ミンは火葬を希望したと言われるが、遺体は防腐措置を施され、今も保存されている。
米当局が2011年、国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者を殺害した際は、遺体を清めて白いシーツに包み、水葬した。引き取る国が見つからなかったことや、埋葬場所が聖地化することを懸念したためとされる。イスラム教では土葬が慣習で、宗教者らから非難も上がった。