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欧米系だけじゃない「お手頃インター」目指すインド系やネパール系 日本勢も続々参入

World Now 更新日: 公開日:
「グローバル・インディアン・インターナショナルスクール東京」の中学1年生のITクラスの授業風景=2022年11月8日、東京都江戸川区、織田一撮影

日本はいま、インターナショナルスクール開校ラッシュだ。

全国に70校余りあると言われている。欧米系だけでなく、インドやネパールといったアジア系、日本の企業や学校法人も参入。裾野が広がっている。

2006年に生徒50人で開校したインド人学校「グローバル・インディアン・インターナショナル・スクール(GIIS)東京」(東京都江戸川区)が急拡大中だ。

2017年に二つ目、2019年に三つ目のキャンパスを江戸川区内に開いた。今年4月には四つ目ができる。

生徒は未就学児から高校3年生までの約1100人にまでふくれあがった。生徒の構成も様変わりした。この数年で日本人が急増し、60%を占める「多数派」になり、インド人は3割強にとどまる。

昨年11月上旬、キャンパスを訪ねた。小学5年のクラスは、組み立てた車輪付きロボットの速度と進行方向をパソコンでプログラミングする「ロボティックス」の授業の最中だった。英語で声を掛け合うなかで、あちこちで日本語の会話も聞かれた。

相場より100万円ほど安い学費も魅力

GIISはシンガポールに拠点を置く非営利団体「グローバル・スクール・ファウンデーション(GSF)」が運営している。

GSF日本法人トップのミシュラ・スミット氏によると、GIIS東京は2020年まではインド人が多数派だったという。新型コロナの感染拡大でインド人の来日が難しくなったことから、日本人の生徒の取り込みに注力した。「『ITと数学に強いインドのインターナショナルスクール』とのイメージの浸透に成功した」という。

日本でインターナショナルスクールを相次いで開校するシンガポールの非営利団体「グローバル・スクール・ファンデーション」のアトゥル・テムルニカール会長=2022年11月23日、東京都江戸川区、織田一撮影

授業は英語で、世界の有力大学が入試に活用している「国際バカロレア(IB)」と英国式の教育プログラムも採り入れているのに、学費は高学年で年120万〜130万円と、「相場」より約100万円ほど安いのも魅力に映った。

GSFGIIS以外に四つのブランドでインターを世界9カ国で展開している、急成長中の国際教育提供機関だ。

その一つ、シンガポールの「ワン・ワールド」が今年秋、大阪市生野区に開校する。生徒は日本人や同市に多い在日コリアンらを見込む。東日本にも進出を計画中で、学費はGIISと同水準にする予定だ。

GSF会長アトゥル・テムルニカール氏は「質の高い『お手頃価格』の教育を提供し続ける。質では妥協しない。今後も各国でインターを傘下に収め、日本でGSFグループの生徒は5年後には5000人になるだろう」と話す。

ネパール国外で世界唯一の政府公認カリキュラム

同じように日本人生徒を増やそうとしているのが、「エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン」(東京都杉並区)だ。

10年前、在日ネパール人が増えているのを受けて、日本の大学で学んだネパール人の元留学生らが「ネパール文化を伝える学校を」と創設した。ネパール国外では世界で唯一、ネパール政府公認のカリキュラムで教えているネパール人のための学校。生徒13人でスタートし、いまは未就学児から高校3年生までの約400人。ほとんどネパール人だが、日本人も3%いる。

「エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン」の生徒のほとんどはネパール人。今後、日本人生徒を増やしていくという=2022年9月9日、東京都杉並区、織田一撮影

生徒の急増で、教師はネパール人だけでなくインド人やフィリピン人、米国人、日本人などと多国籍化した。副校長のラジェンドラ・タマング氏は「これを機に本当のインターにしようと決めた。これから増える生徒の半数は日本人にする」と話す。英国式カリキュラムを導入し、IBの教育プログラムも採り入れることを検討している。一方で授業料は高学年で月44000円。「『この教育の質の高さでこの値段、お得だ』と言われる学校を目指す」と副理事長のメガ・ラジ・ネパール氏は意気込む。

日本の学校法人による「ローカルインター」も相次ぎ開校

日本の学校法人や経済人らによる「ローカルインター」の開校も相次ぐ。

幼小中一貫の「沖縄アミークスインターナショナル」(沖縄県うるま市)、日本初の全寮制国際高校「ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン」(長野県軽井沢町)、日本初の全寮制小学校「神石インターナショナルスクール」(広島県神石高原町)、全寮制の私立校「国際高等学校」(愛知県日進市)などだ。