「(ウクライナは)いわゆる『汚い爆弾』を使う計画も知られている」
プーチン大統領は10月26日、ウクライナが「汚い爆弾」を使う懸念があると一方的に主張した。
プーチン氏は、ウクライナ側がチェルノブイリ原発で「汚い爆弾」を使い、それをロシアによる攻撃にしようとしていると述べた。
ロシア側はこれまでも「ウクライナが『汚い爆弾』を使おうとしている」などと、ウクライナによる使用の可能性を主張し続けており、インドや中国側にも懸念として伝えているという。
プーチン氏が言及した「汚い爆弾」とは何か。
アメリカ合衆国国土安全保障省によると、英語ではDirty Bombで、核爆弾ではないものの、通常の爆発を利用して放射性物質をまき散らす兵器という。
「汚い爆弾」は核爆発に比べれば熱線や爆風などの被害は限定的で、放射性物質が拡散する範囲も核爆発より狭く、数ブロック、十数キロ平方メートル四方の範囲となるという。
ただ、地形や気象状況、使用される放射性物質の種類によっては、被害が大きくなる可能性もある。
爆発する「汚い爆弾」以外でも「RDD(放射性物質拡散装置)」と呼ばれる兵器もある。
いずれの兵器も、目的は直ちに健康被害や死亡などの被害をもたらすことよりも「人々が住み、働く施設や場所を汚染し、生命と生活を破壊」し、「被爆している、あるいは被爆していると思われる人々に不安を与える」ためだと指摘している。
「汚い爆弾」は実際の戦闘などで使われたことはないが、テロでの使用などが懸念されてきた。
ウクライナ側はプーチン氏の主張に対し、「ロシア側が『汚い爆弾』を使用する準備をしたという意味だ」としている。
BBCによると、ゼレンスキー大統領は「ロシアこそ、こうした放射性物質を使った攻撃を計画しているという意味かもしれない」と指摘した。
ウクライナは10月24日、ロシア側の主張に根拠がないとことを示すため、国際原子力機関(IAEA)に査察を要請した。IAEAも査察官を派遣する予定だという。