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チェルノブイリ原発で停電、放射性物質拡散の恐れ

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チェルノブイリ原発
チェルノブイリ原発。2018年11月撮影(2022年 ロイター/Gleb Garanich)

国際原子力機関(IAEA)は、停電で安全性に重大な影響が及ぶことはないと表明。ただチェルノブイリ原発のシステムに詳しい専門家は、原発への電力供給停止は危険をはらむとし、早期復旧が重要との見方を示している。

国営原子力発電会社は声明で、使用済み核燃料が温まると「大気中に放射性物質が放出される可能性がある。放射能を含む雲が風でウクライナ国内やベラルーシ、ロシアや欧州に運ばれる可能性がある」と表明。

電力供給が止まると換気設備も稼働せず、発電所の職員が大量の放射能を浴びることになると指摘した。

IAEAは8日、チェルノブイリ原発の放射性廃棄物施設からのデータ送信が途絶えたと明らかにしていた。

ウクライナのクレバ外相は9日、復旧作業ができるよう、ロシアに一時停戦を即時に順守するよう要求した。

クレバ外相はツイッターで「チェルノブイリ原発の予備電源がもつのは48時間だ。それを過ぎると、使用済み核燃料の冷却システムが止まり、放射能漏れが起こることが予想される」と指摘。「ロシアに対し停戦と電力供給の復旧を緊急に要求するよう国際社会に呼び掛ける」と述べた。

IAEAは、チェルノブイリ原発の停電により安全性に重大な影響が及ぶことはないと表明。声明で「チェルノブイリ原発の使用済み燃料貯蔵プールの熱負荷と冷却水量は電力供給がなくとも効率的な熱除去が十分可能」とした。

ただ、国営原子力発電会社によると、チェルノブイリ原発には停電時に冷却できない使用済み燃料集合体が約2万体あり、それらが温まると「大気中への放射性物質の放出」につながる可能性があるという。

首都キエフから約100キロ離れた地点にあるチェルノブイリ原発は旧ソ連時代の1986年4月に爆発事故を起こし、大量の放射性物質が飛散した。

同原発のシステムに詳しい専門家は、状況を懸念しているとし、電力の早期復旧が重要になると指摘。「停電で貯蔵施設の水が蒸発し、使用済み燃料棒が露出する可能性がある。そうなれば使用済み燃料棒が溶融し、重大な放射線の放出につながる恐れがある」と警告した。

ロシアのインタファクス通信によると、ロシア国防省はウクライナ軍がチェルノブイリ原発の送電線と変電所を攻撃したと指摘。「危険な挑発行為」と非難した。

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