BTSは6月10日、新曲3曲と、2013年のデビュー以降のシングルや未発表曲をCD3枚組みにしたアンソロジーアルバム「PROOF」を発表した。
14日夜にはYouTubeの公式チャンネルでデビュー9周年を祝う映像を配信し、今後の活動について語った。
そのなかでRMは「今後の方向性について話そうと思う」と切り出し、「(2020年発売した)Dynamiteまではチームが自分の手の上にあった感じだったんだけど、その後は僕たちがどんなチームなのか良く分からなくなった」と語った。
作詞を担当することも多く「何か言うべきこと、メッセージを伝えることが自分にとっては何より大事なのに、それができなくなった」と告白し、「個人として語りたいことはたくさん積み上がっているけれど、(リーダーとして)語るべきことはすべて話してしまった」と打ち明けた。
国連、ホワイトハウス…プレッシャーも
本来の計画では20年に大規模な世界ツアーをする予定だったが、新型コロナの流行でツアーが中止になり、何か新しいことをしようとして発表したのがDynamiteだったという。
英語歌詞のDynamiteは韓国人歌手として初めてビルボードのジングルチャート1位になり、世界的に人気が爆発した。その年のグラミー賞にノミネートされたほか、その人気は音楽活動以外にも及んだ。
BTSは昨年、国連総会に招かれ、SDGsについて若者代表として演説をした。先月はアメリカのバイデン政権に招かれてホワイトハウスを訪問。アジア系住民に対するヘイトクライムに反対し、多様性の尊重を訴えるなど、これまでのアイドル・アーティストを超える活動を見せてきた。
これについてRMは次のように語った。
「世界的にとても責任感を持つようになったけれど、自分はそれに相応しくないんじゃないか、そんなに大した人間じゃないのにと思うこともあった。でもBTSのことを考えるとそこにはいつもARMY(BTSのファン)がいたので。皆さんを分けて考えることはできなかった」
アイドルというシステムが考える時間を与えない
RMはまた、「K-POP自体もそうだし、アイドルというシステム自体が、物理的に人間を成熟させるのを許さない。人間的に成長する時間がない。考える時間を与えてくれない」と、忙しすぎるスケジュールについて触れた。
「去年から『この活動だけ終えれば』と思って先延ばしにしてきた。ファンたちに申し訳ない気持ちもあるけれど、一度休んで考えてまた戻って来たい」「BTSを長く続けるためには、自分が自分として残っていないといけない」とグループ活動を休む理由を明かした。
今後の活動については、それぞれのメンバーがソロ活動をすることを発表した。
メンバーのJ-hope(28)は7月、アメリカのシカゴで行われる音楽フェスティバル「ロラパルーザ」へのソロ名義での参加が決まっている。またJ-hopeを筆頭に、各メンバーがソロアルバムを準備しているという。
J-hopeはこう語る。
「BTSの第2章を始めるために必要なステップ」「あまりネガティブに受けとめるのではなく、健康的なプランだと思っていただければ」
V(26)も「自分の音楽をする機会が欲しいと思っていたのでたくさんお見せしたい」とソロ活動への意欲を見せた。
解散するわけじゃなく、戻ってくる
グループでの音楽活動は休止するが、独自のネット配信のバラエティー番組の制作は続けるという。
Jimin(26)はこういう形での発表になったことについて「どういう形であれ僕たちはファンのことを考えずにはいられない」「伝えたいことはいろいろあるのに、全てを率直にお話しできなくて、それが辛かったです」と、ファンへの気持ちを語った。
メンバーのSUGA(29)は「解散するわけじゃない。ただメンバーそれぞれがやりたいことをして、幸せに活動を続けられたらいい」と話す。
また、Jung Kook(24)は「そういう時期、タイミングが来たみたいです。それぞれ経験を積んで、もっと進化した姿で戻ってきますので応援してください」とファンに語りかけた。
最年長のJin(29)は今年中に兵役につくことになっている。Jinを皮切りに各メンバーが兵役につく義務があり、韓国の国会では免除を含めた法改正が検討されているが、議論は進んでいない。
韓国のアイドルグループは人気のあるメンバーがソロでCMやドラマなどへの出演することが多く、また兵役を機にソロ活動やユニット活動をするグループも多い。一方BTSはデビュー以来メンバー個人の活動をほとんどしないグループだった。
韓国メディアは所属事務所Big Hit Musicが「BTSはチーム活動とソロ活動を並行する新しいチャプターを開始することになる」と公式にコメントしたと伝えた。ファンたちは配信後ツイッターで「BTSの苦労はARMYが知っている」というハッシュタグで理解を示した。