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英語で取材できると何がいいの?……レベルチェックの面接でタジタジ

育休ママの挑戦~赤ちゃん連れ留学体験記~ 更新日: 公開日:
セブでの留学生活が一カ月経ったころ。朝、コンドミニアムを出発して「登校」する子どもとシッターさんたち。手前の黄色いTシャツを着たのがシンシン(当時1歳7カ月)だ。大人も子どもも朝9時から授業が始まるため、コンドミニアムを出る時間はだいたいみんな同じ時刻だ=2018年10月、今村優莉撮影

育休ママの挑戦~赤ちゃん連れ留学体験記~⑧ 1歳3カ月差の年子(兄・シンシン、弟・ルールー)を育てるアラフォーママ(この春、新聞記者に復帰)です。育休中に敢行した親子留学の体験をあるがままに綴っています。最初の留学地・フィリピン・セブ島についた私たち母子3人の「留学生活」が始まりました。初日のレベルチェックを兼ねた面談で私は、先生からドストレートな質問をされ、しどろもどろになりました。

これまでのお話はこちら

■子どもも一緒に登校

フィリピンのセブ市に到着した翌日の月曜日。さあ、登校だ。

午前8時40分。私たち母子とシッターのJosefa(以下ジョセ)さんの4人は部屋を出てコンドミニアムのロビーへ向かった。学校スタッフが用意してくれたレンタルのB型ベビーカーにシンシン(当時1歳6カ月)を乗せ、ルールー(同3カ月)はジョセさんが抱っこしてくれた。ロビーには学校スタッフとリサさん(31)がいた。前の晩、私と同じタイミングでセブ入りした女性だ。毎週月曜日は、その直前の週末に到着した生徒が初登校する日なので、初めての生徒に限って待ち合わせをして一緒に学校へ行くのだ。

コンドミニアムから通学先となる親子留学専門学校「kredo kids(クレドキッズ)」が入るオフィスビルは、ゆっくり歩いても6~7分。ところどころ、道の舗装がはがれてコンクリートのかけらが転がっていたり、大きな水たまりがあったり。歩道のコンディションが良くない場所もあったが、私の足取りは軽かった。

なぜって?

だって、ジョセさんがルールーを抱っこしてシンシンが乗ったベビーカーを押してくれるんですもの。身が、軽いのです!

登校の様子。ルールー(当時3カ月)を抱っこしたジョセさん(右)と、1人で頑張って歩こうとするシンシン(左、当時1歳6カ月)=2018年10月、今村優莉撮影

私は今回、午前中だけシンシンの授業も申し込んだ。もともと子どもの英語教育には何の関心もなかったので、子どもに「英語レッスンを受けさせる」というよりは、ジョセさんと一日コンドミニアムで過ごすよりは、同年代の子どもと歌ったり踊ったりしたほうが楽しいのではないかと考えた……というのはタテマエで、ホンネは、シンシンに体力を消耗してもらい、夜はさっさと寝て欲しいと思ったからだった。そんな訳で、シンシンも一緒に登校することになったのだが、2歳以下は教室に入るのに保護者(シッター)同伴が必要というのが学校のルール。ジョセさんも一緒に登校することになった。

もっとも、kredo kidsは「親子留学専門」と銘打っているように、親だけでなく0歳の赤ちゃんも同じ校舎で学べる、というのがコンセプトだ。日本語も話せない1歳半に英語なんて、と思ってはいたものの、せっかく子ども向けの英語レッスンがあるのなら、試してみたいという気持ちもあった。

ちなみにリサさんは一人で申し込みをしたため、長男(8カ月)は部屋でシッターさんと留守番をするという。(kredo kidsは現在、一家庭につき最低2人以上が授業を受けることが条件となっている)

学校はオフィスビルの6階にあった。同じフロアだが、親と子では教室は別だ。我々親子は二手に分かれ、子どもはジョセさんと一緒に子ども用の教室へ入っていった。

■面談で「英語で取材できると何が良いの?」

午前9時から一斉に授業が始まり、「在校生」たちは先生が待機する各ブースに着席していった。初日の私とリサさんは、別室で説明会に参加した。フィリピン人の学校スタッフから、ゆっくりではあるが英語でマンツーマン向けの授業の案内や、オンラインでアクセスできる教材の説明などを受けた。授業は原則すべてマンツーマンで、1コマ50分。文法、トピック別英会話、ビジネス会話、TOEIC対策、TEDレッスン、時事英語、発音矯正からIT英語まで。決められた内容から自分が学びたいものを選び、それに沿って先生が割り振られる。コースは週単位で変えることも可能だ。日本人スタッフからは留学生活の注意点などを伝えられた。学校が終わって出かける際は安全面からバスではなくなるべくタクシーを利用してほしい、なんてことも言われた。

次にレベルチェックを兼ねたフィリピン人教師との面談を受けた。私の担当はNic(ニック)先生。24歳の青年で、社会人1年目の先生だ。大学では創作文学を専攻していたといい、小説や詩を書くのが好きだという。子だくさんな家庭が多いフィリピンでは珍しく一人っ子。「先生を目指したのは、小さい頃から誰かの面倒を見たり何かを教えたりすることにあこがれていたんだ。きょうだいがいなかったからね。オンライン英語の先生をやったこともあるけど給料が割に合わなくて。それで、オフラインの仕事を探したのさ」とざっくばらんな自己紹介をした。私に自己紹介をして、と言うので、自身の生い立ちや記者の仕事についてなどを話した。次に

「なぜ英語を学びに来たの?」と聞かれたので、海外特派員を目指している、と伝えると彼は

「英語を使って自分でインタビューをするのと、プロの通訳を伴って日本語で取材するのとは何が違うの?」

と聞いてきた。いきなり深い。思えば私は、英語で取材したことなんてほとんどないわけだから、それによってどんな違いがあるのかなんて考えたこともなかった。私は、面接で予期していなかったことを聞かれてテンパる就活生のような焦りを覚えながら、言葉が通じることで相手の心を開くことが出来れば、より良い発言を引き出せてインタビューが豊かになるのだ、みたいなことを身ぶり手ぶりで伝えた。Nic先生はほかにも

「英語を学ぶことで、仕事や人生がどう豊かになると思う?」

「英語を使って他の国の人々のことや文化を学んだ経験があれば話して」

などと尋ねた。一度テンパると総崩れ型の私は、単語と単語を組み合わせただけであとは完全にノンバーバルコミュニケーション。ウンウンと大きくうなずいていたNic先生がくれた判定は、
Intermediate(中級). Broken English

だった。

***親子留学専門学校の「クラスメート」はみんな子連れのママたちです。さまざまな事情や思いを抱えて日本からセブ島に来ていました。次回は、そんなママたちの話をしてみたいと思います。

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