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セネガルでも豪雨で家が「浸水」 アフリカで実感する気候変動

世界どこでも住めば都、国連職員ニョコボク日記
ダカール市内の至るところで大きな木や看板が根こそぎ暴風で倒れていました

台風や豪雨による被害を受けられた皆様に、心からお見舞い申し上げます。

ダカールは9月から雨季に入りました。ここの雨季は日本の梅雨とは違ってかなり激しいゲリラ豪雨が降ります。例年より雨季が遅かったので、農作物にとっては「望みの雨!」なのでしょうが、私の家では雨漏りするようになりました。普段は雨はほとんど降りませんし、これまで大きな問題はありませんでしたが、今年は状況が急激に悪化し、一晩中雨が降ると、朝にはリビングルームの床が一面水浸しになるということが続きました。おまけに天井には亀裂が入り、リビングルームは電気もつかなくなってしまいました。

私の家は外国人やセネガル人の富裕層が多く住んでいるいわゆる「高級住宅地」にありますが、実際住んでみて感じたのは「高級住宅地然」としていても、いろいろ問題が多いということです。たとえば断水。セネガルは雨季が始まる前、水不足を緩和するために定期的に組織的な断水が行われます。大きなアパートですと貯水タンクがあって、断水があっても基本的には問題ないことが多いですが、うちのような一軒家だと貯水タンクがなかったり、あっても私の家のように「ちゃんとつながっていない」(一応あるけれど、断水の時に使えない)ことがあったりします。地域によっては断水は丸一週間以上続き、水道がつながる夜の一時間だけの間にありとあらゆるバケツに水をためてしのぐ人もいます。

そして電気の配線。私の家は電球が切れやすいので調べてもらったら、セネガルの一般の電力は230Wですが、私の家の内部の電力は120wもないことがわかりました。そして、ずっと120wが安定供給されているわけではなく、いきなりすごい電流が流れてしまうこともあるようで、いろんな電化製品がだめになったり、つけかえて3日くらいで電球がまた切れてしまう、という不都合が多々起こります。建付けが悪く、しっかり押さないとドアが閉まらないとか、網戸をしても蚊やハエが入るとか、日本ではあまりない構造上の問題もありますし、排水がしっかりしていないので、大雨が降るとうちの前の道路も、ものすごい量の水が溜まります。

自宅の被害状況をまとめた文書

雨漏りも天井の亀裂も尋常ではなく、「天井が落ちる可能性があるから早急に避難した方がよい」という忠告をたくさんもらったので引っ越しをすることにしました。普通に考えて、地震があるわけでもない場所で天井が落ちるの?!と思いましたが、どうやら建築基準もあってないようなもので、ずさんな工事をする業者も多く、一見瀟洒に見えても構造的に問題がある雑な家がかなりあるようでした。

私が問題を友人や同僚に話すと「実はうちも……」という体験談が次から次へと出てきました。家に問題があって、引っ越しを余儀なくされた友人も1人2人ではありません。

地球温暖化や環境悪化の実例は世界各地で聞かれますが、アフリカも例外ではありません。むしろ貧困層が多く暮らす地域では地盤がしっかりしていなかったり、私の家もそうですが建物の構造や基盤がちゃんとしていなかったりすることが多いので、昨年の大雨のあとの地滑りで500人がなくなったシエラレオネのケースのように、大雨に町のインフラが対応できず大災害になってしまうこともあります。

外国で廃車になるレベルの車がたくさんマーケットに入ってきて、大気汚染の悪化も相当ひどいですし、スモッグで町全体がかすんでいて、そういった意味では先進国よりダイレクトに日常生活の中で被害を受けることが多いように思います。ダカールも数カ月前までは大気汚染がひどく、現地の気象調査グループが発表している空気の質が「外に出るのは危険」というレベルまで上がった日が何度もあり、雨季が始まる時期が大きく遅れたり、暑さが尋常でなかったり、今年のように豪雨のあとに排水がしっかりできないために洪水になってしまう地区が大きく出たり、大きな木や看板が暴風でなぎ倒され道路封鎖になったり故障した車がいたるところに止められていて普段すいているときであれば20分で行く通勤路が3時間半(!)もかかったりしたことも何回かありました。

ダカール郊外では一階が水浸しに……

大きな道路は舗装されていますが、小さな道は赤土のところも多く水はけが悪いので、大雨が降った次の日はいたるところに真っ茶色の水をなみなみとたたえた水たまりができています。インフラの整った日本ですら台風であれだけの被害を受けるのですから、インフラが整っていない途上国で予期していない自然災害の猛威に対処するのはとても大変なことです。

今年はTICADや気候行動サミットなどが開催されて、アフリカの開発や全世界の環境問題に大きく焦点が当てられていますが、本当にこれはハイレベルの政治家のみが取り扱うべき問題ではなく、いろんなレベルで人々が積極的に関わっていかねばならない「待ったなし」な状況だということを身に染みて感じています。大気汚染、温暖化、異常気象、台風が毎年「史上最大」になっていく恐ろしさ。国際防災の日(10月13日)に寄せてアントニオ・グテ―レス国連総長がメッセージを出しましたが、その中に

世界は今後10年間、新たな住宅や学校、病院その他のインフラ整備に数兆ドルを投資することになります。気候変動に対するレジリエンスと防災を、この投資の中心的要素としなければなりません。 このような措置には、大きな経済的合理性もあります。気候変動に強いインフラ整備の便益費用比率は、およそ6対1になり得ます。つまり、1ドルを投資するごとに、6ドルを節約できる計算になります。 これは、気候レジリエンスへの投資が、雇用を創出し、資金を節約することを意味します。しかも、それは正しいことでもあります。人間の苦難を緩和、予防できるからです。アントニオ・グテ―レス国連総長

という一節があります。人々はどんな場所でも強くたくましく生活していますが、多分に「人災」の側面が強い環境問題に対応するためには、政府だけでなく民間や一般市民が取り組んでいかないといけないと思います。排水、排気ガス、ごみ問題、道路や建物の危機管理他、世界のいたるところで地球が悲鳴を上げているようにすら感じる今日この頃。

ダカール市内の様子

気候変動対策と防災は、これからの開発を考える際に不可欠な視点となるでしょう。経済的な発展だけを目指すのではなく、レジリエンス(強靭性)、持続性をもつ社会にしていくために取り組んでいるセネガルの民間の努力について次回は触れてみたいと思います。