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アンドロイドだっていいじゃないか! ロシアでもiPhoneは人気だけど

迷宮ロシアをさまよう
ロシアにはいわゆる「アップル・ストア」はなく、主に「re:Store」というチェーン店でアップル製品が販売されている。(撮影:服部倫卓)

日本での異常なiPhone人気

新型iPhoneのシリーズが発売されたということで、アップル・ファンの皆さんは盛り上がっているところでしょうか。

聞くところによると、日本の若い世代の間ではスマホと言えばほぼiPhone一択であり、女子高生がアンドロイド機を持っていたりするとクラスでいじめられる(!)などという酷い話もあります。また、先日、ツイッターで気になるツイートが回ってきました。「おじさんの7不思議」の一つとして、「携帯がなぜかAndroid」とされていたのです。

かく言う筆者は、アンドロイド派です。それには理由があって、まず数年前にスマホを導入した際に、ハイレゾ音源が聞きたい、ノイズキャンセルに対応していてほしい、海外出張先でも使えるようにSIMフリー機がいいということで、当時はiPhoneではそれらは不可であり、アンドロイドしかありえなかったのです。現在は別のアンドロイド機を使っていますが、それはデュアルSIM端末であり(日本とロシアのSIMを両方入れている)、これも今のところiPhoneでは望めないスペックです。

このように、筆者は自分なりに吟味を重ねて、自覚的にアンドロイドを選択しているのです。何も考えずに、単に周りからの同調圧力でiPhoneを選んでいるタピオカ女子の類に、馬鹿にされる筋合いはありません!

だいたい、有名な話ですが、iPhoneのシェアがこんなに高い国は、世界的に日本くらいです。下の図に見るとおり、米英など英語圏の国でこそiOS(iPhoneのOS)のシェアは50%前後となっていますが、他の国では30%以下に留まっています。確かに、iPhoneは完成度の高い端末で、アップルが提供するエコシステムは魅力です。iPhoneの方がアクセサリが充実しているとか、下取りが有利だといった要因もあるでしょう。でも、iPhoneが7割という日本の市場は、あまりに極端だと思います。

ロシアではiPhoneにまだ拡大の余地も

さて、お隣の国、ロシアのスマホおよびiPhone事情をちょっと覗いてみましょう。上の図に見る通り、ブルームバーグの資料によれば、ロシアのスマホ市場におけるiOSのシェアは26%とされており、主要先進国などと比べてやや低い数字となっています。しかし、この数字が示唆する以上に、ロシアでアップル製品の人気は高いような気がします。新型iPhoneが発売されるたびに、店の前に徹夜組の行列が出来るのも、すっかり恒例となっています。

個人的にも、以前、ロシアでのiPhone人気を痛感する出来事がありました。最近でこそ、ロシアでは主要国と同じタイミングで新型iPhoneが発売されるようになり、今回のiPhone 11も9月20日発売ですが、以前はロシア発売は少し遅かったのです。ある日、私がモスクワの空港で自分のデバイスをいじっていると、ロシア人の男性から、「おお、それは新型iPhoneか? ちょっと見せてくれないか。どうなんだ、使い心地は?」と、興味津々の様子で尋ねられたのです。実は筆者が手にしていたのはiPhoneではなく、音楽プレーヤーのiPod touchだったので(筆者だってスマホがアンドロイドなだけでアップル製品は色々使っているのです)、先方の関心には応えられなかったのですが、「なるほど、ロシアにもこんなアップル信者がいるんだなあ」と、強く印象に残りました。

ロシアの「世論基金」という調査機関が、2018年9月に、ロシア国民のパソコンおよびスマホの使用状況に関する調査を行いました。その中で、回答者がどんなOSのスマホを使っているかを尋ねた設問がありましたので、その結果を抜粋して下に見るような図を作成してみました。出所が違うので、前掲のブルームバーグの資料とは、iOSとアンドロイドの比率がかなり異なっている点は、ご容赦ください。

下図に見るとおり、ロシアでもiPhone(iOS)は若い世代ほど人気があり、モスクワや大都市ほどそのシェアが高いという傾向が見て取れます。また、所得水準が高いほどiPhoneの比率が高いのですが、その傾向に矛盾するように、無所得・低所得ではiPhone比率が高くなっています。容易に想像されるように、これはまだ自分のしかるべき所得がない学生や若者の間で、iPhoneの人気が高いからでしょう。

つまり、iPhoneが大都市圏の若者を中心にお洒落なアイテムとして人気を集めている点は、ロシアも同じです。ただし、ロシアの場合には先進国と比べると所得水準が劣るので、iPhoneに憧れても高価で買えない人たちも多く、彼らはアンドロイドOSの安価な端末で我慢し、それゆえ結果的にiPhoneのシェアも低目の水準に留まっている構図でしょう。

ロシアの消費者の声を聞くと、「金銭的に余裕があれば、アンドロイド機からiPhoneに乗り換えたい」と話す人たちが、少なからずいます。先進国では一部で「iPhone離れ」が指摘されていたりもしますが、もしかしたらロシアでは経済成長次第でiPhoneのシェアがまだ伸びる余地があるのかもしれません。ただし、現実にはロシアの景気は絶賛低迷中ですが。

ロシア独自のスマホおよびOS事情

上図に見るとおり、ロシアのスマホ市場では、iOSとアンドロイドという二大OS以外のOSも、わずかながら見られます。その大部分はウィンドウズフォンですが、実はロシアには同国独自のOS「オーロラ」というものもあります。

経済のイノベーション化、輸入代替を目指すロシアは、デジタル関連のハードやソフトに関しても、なるべく国産化していきたいという意向を有しています。そこでロシア政府は、オーロラ・タブレットを使って国勢調査を実施したり、「イノーイ」という廉価版スマホをオーロラ仕様にして公務員に配布することを計画したりと、オーロラOSをプッシュしているわけですね。

ロシアのスマホ関連の話題で言えば、OSはアンドロイドですが、YotaPhoneというロシア開発のスマホが、話題をさらったことがありました。スマホの裏面にも簡易なスクリーンがあるという斬新なデバイスで、初号機は2013年に発売。しかし、値段が高くデザインもまずかったため、市場には受け入れられませんでした。第2世代のYotaPhoneはデザインが改善されましたが、やはり市場には浸透せず、結局、2世代合わせて10万台も売れなかったということです。

最近では、ロシア随一のIT企業「ヤンデックス」が提供する「ヤンデックス・テレホン」が注目を集めています。これもアンドロイド機で、ヤンデックスのサービスをプリインストールした廉価スマホです。ヤンデックスの各種サービスはロシア国民の生活に深く浸透しているので、こちらの方は将来性があるかもしれません。