曖昧な表現は誤解を招く
日本人同士でしたら、否定的なことを直接的に言うのをどうしても避けてしまいます。何故かというと、直接的過ぎる物言いは、失礼に値するからです。日本の社会では、相手が歓迎しない否定的情報をオブラートに包まず伝えると、人間関係に悪影響を与える可能性があります。そのため、日本人同士で使われる「ノー」の代わりになるソフトな表現は、一見肯定的に見えます。日本人同士で使う場合、行間を読んで実は「ノー」の意味であるということを察することができます。しかし、外国人にとっては、日本人が否定的なことを言ったつもりでも、それを肯定的なものとして捉えてしまいます。
葵の「I’ll see what I can do(. 善処します)」はその典型的な例です。又、マイルドな否定的発言の場合、本人が赤信号を出しているつもりでも無視されてしまう危険性があります。例えば、「That willbe a bit difficult.(それはちょっと難しいです)」は日本人が「不可能」のつもりで言ったのに、外国人は「ちょっと頑張る必要がありますが、十分可能です」と解釈してしまいがちです。
そのため、外国人とコミュニケーションをする時、日本人同士で通用するような控えめな表現や曖昧な表現をそのまま英語に訳すのは止めておいた方がいいでしょう。その代わり、より明確に「ノー」というメッセージを伝えなければなりません。
NO を丁寧に言うことは可能
「ノーを直接的に言えば、相手が居心地悪く感じるのではないか」と心配する日本人は多いと思いますが、言葉を上手に使えばその問題を避けることは可能です。そのためのコツをここで紹介します。
まずは、突然ノーを言うのではなく、前置きをその前に言いましょう。前置きでは、否定的なことを言うのは自分は恐縮に感じているという気持ちを伝えます。例えば、今回葵が顧客から1ヶ月の納期を依頼された時、まずはこういったことを言うのが理想的でした:「I really wish that were possible, but …(それは可能であればとても嬉しいですが、~)」や「I’m sorry to disappoint you but …(がっかりさせてしまうのは大変恐縮ですが、~)」。
そのように恐縮であるという気持ちを伝えた後、「We aren’t able to do that.( それはできません)」とはっきり言うべきです。そう
すると、十分相手を気遣いながら、同時に誤解がないよう明確に伝えることができます。
この記事は『マンガでわかる 外国人との働き方』(ロッシェル・カップ、千代田まどか共著、えんぴつ作画、株式会社スポマ編集、秀和システム)の転載です。