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英語を学ぶなら、まず「話す」から

英語が拓く世界
オンライン英会話を取り入れている学校も増えてはいるが…(写真はイメージです)
オンライン英会話を取り入れている学校も増えてはいるが…(写真はイメージです)

世の中には英語学習方法があふれかえっています。書籍、ウエブサイト、アプリ....これほど英語学習の教材があふれている国も、あまりないのではないでしょうか?

ところが不思議なことに、大多数の日本人は英語がほとんどできません。

読むのも書くのも、聞くのも話すのもできません。中学高校と6年間も英語を勉強し、大学受験の必須科目になっているにも関わらずです。そして、「日本人は英語ができない」と、僕の記憶にある限り言われ続けています。おそらく戦後70年間、ずっと言われてきたのではないでしょうか?

要するにこういうことです。日本の英語教育は完全に壊れています。

どこか一部分がちょっと悪いのではなく、全体的にとてもダメなのです。だから、少しばかりある部分を直しても、何も改善しません。土台が歪み、柱が曲がり、屋根瓦が落ち、雨漏りがする家があったらどうするでしょうか? そう。壊して建て直した方が早いのです。日本の英語教育はそのくらいダメです。

しかし、このひどい教育制度のおかげ(?)で得する人もたくさんいます。例えば学校の英語教育にはさっさと見切りをつけ、自分で勉強した人です。あるいは交換留学制度などを利用して、英語を身につけてきてしまった人です。周りの人がほとんど英語ができないので、ちょっと英語ができるだけで確実に優位に立てます。

僕も英語ができるというこの1点だけで、今から22年ほど前にアップルの日本法人に就職を果たしました。確かにプログラミングもできましたが、英語ができることで相当得をしたのは否めません。

その後も、まだ就職1年目にして上級副社長の前でプレゼンをする機会に恵まれたことがあります。これも、英語ができたからです。英語は日本国内において、かなりパフォーマンスの高い技能になりうるのです。

今までの常識は捨てよう

話は割と簡単です。「まず単語を覚えて、文法を学習して....」という今までの常識は捨てて、一番最初から会話練習をすればいいんです。文法のクラスを履修してから英語を話し出すネイティブスピーカーは存在しません。みんな親や兄弟やテレビ番組の真似をしながら、喋るところから始めるのです。

こういうと「母国語と外国語の習得は違う」「文法を先に勉強をしないと正しい英語は身につかない!」という反論を必ずいただきます。しかし、この文法や和訳を中心とした英語学習法を日本全国津々浦々、過去70年間以上にわたって実施され、その結果、英語がさっぱり喋れない人々がずっと量産され続けてきた実績については、どのように説明してくださるのでしょうか? その説明を英語でしていただければ、私も少しは納得ができるかもしれません。

よく使う200の文章を暗記してしまおう

実際にやり直すとして、どこからスタートすればいいのでしょうか?

以前の記事で中学の教科書を丸暗記することをオススメしたことがありますが、もう少し具体的に、お話ししてみたいと思います。

まずはよく使う文章を200ほど暗記して、それを使って話してみましょう。話す相手はオンライン英会話の先生とかで大丈夫です。そして、発音がおかしかったり、間違って言ってしまったりしたらその都度直してもらいましょう。

なおこの200の文章ですが、

How are you?

Nice to meet you!

My name is XXX.

I am 20 years old.

I like swimming.

It is 5 o’clock.

こんな感じのでいいんです。

まず自分のことが言える。趣味や生活習慣が説明できる。見たものや、行ったところが説明できる。日常生活に密着したことが言える。ここからスタートです。これができたら、次は簡単な質問文を覚えたらいいでしょう。

200と言うと多いと感じるかもしれませんが、1日10ずつ覚えればたったの20日で済みます。くれぐれも日本語とペアにして覚えないようにしてください。引き出すスピードが遅くなるからです。英語を話すのに日本語は全く必要ありません。英語を話す能力と翻訳する能力は、まったく別の能力です。

これは、僕らが母国語を最初に覚えた時と同じやり方です。子供が発音や文法を間違って言うと、親がその場で正しい発音や文法で言い直してくれますが、要するにあれと同じことです。この教え方は”Recast”という正式な名前があり、言語の教授法として一般的に用いられています。

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オンラインで発音を練習するのは、世界では当たり前の光景だ=2013年、シンガポール

また、並行してフォニックス(Phonics)の本を買ってきて一冊読みましょう。

フォニックスというのは英語圏では幼稚園〜小学校1年生あたりで必ず教えらえる、スペルと発音を関連づけるルールです。本当はローマ字なんて一切やらずに、最初からフォニックスだけをやれば十分なんです。オンラインの先生に発音の手本をやってもらってもいいでしょう。

翻訳癖は害しかありません

なお、会話では遅くても2秒以内で返事をすることを心がけてください。会話の相手を待たせるのは失礼なことです。中には文法を考えて、頭のなかでグルグル考えて5秒も6秒も相手も待たせる人がいます。その時間だけ相手を苛立たせているんです。

これだけ聞くとバカバカしいヨタ話のように感じる人もいるかもしれませんが、僕らの頭の中には文法やら構文やらカタカナ英語やらローマ字やらが詰まっていて、子供のように素直に話すという実に簡単なことができないのです。

本当に、翻訳癖というのは害しかありません。

日常会話の8割くらいは中学英語で間に合います。ところが僕らの頭の中には英語を英語のまま引き出す回路が一切できておらず、その代わりに日本語とペアにして憶えた英単語や構文や文法などを用いた、実に効率の悪い翻訳回路が出来上がっています。

このため一流大学を出た人ですら、学会に行くと貝のように押し黙ってしまう、というようなことが起きるのです。中には「英語が流暢なのは母国語が崩壊した発展途上国の連中だろう」なんて言い出す人さえいますが、母国で英語をまったく必要としない中国人や韓国人の研究者の方が、日本人よりずっと流暢に話します。

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韓国の語学学校での英語の授業の様子。英語熱は高い=2012年、ソウル

日本の英語教育は本当に根本的に破綻しています。英語は英語のまま覚えればいいんです。難しい理屈なんて必要ありません。簡単なことを滑らかに言えるようになったら、少しずつレベルを上げながら、たくさん読んで、たくさん聞いて、作文して、喋る。これを繰り返すだけです。作文と会話はオンライン講師などにその都度直してもらいます。

これを2年もやれば相当流暢に話せるようになります。読む本はネイティブが読む絵本から初めて、少しずつレベルアップすれば、自然と難しい本を読めるようになっていきます。文法書さえも要りません。どうしても文法をやらないと心配な人は、実際に少し話せるようになってから、わからないところだけ調べてみましょう。腑に落ちることがたくさんあると思います。

日本の英語教育は多分変わらない

日本の英語教育は、多分今後も変わりません。

日本における英語教育の在り方は、戦後どころか、私の両親がまだ中学生だった戦前からほとんど変わっていません。教える側の教師たちの多くも、これまでの教え方しか知りません。

一部の私立の中学や高校では文部科学省のやり方に見切りをつけ、もっと実践的な英語学習法に舵を切っていますが、大半の学校はそうではありません。小学校の英語教育導入も、教員側の十分な準備もないままに進められています。また、大学受験の4技能試験導入もいまだに議論が続いており、なかなか変わりそうにありません。

変わるのを待っていてもどうにもならないのです。いま子育ての最中の親御さんたちには悩ましい問題だと思いますが、受験英語や学校英語をやっても、英語を使えるようになりません。

英語は実際に使って覚えるのが一番近道です。多読、多聴、作文、会話。これ以外に特にやることはありません。問題集も必要ありません。特別なアプリもいりません。近くに英語教室があったら、実際に英語を使いながら発音と作文を直してもらえば大丈夫です。

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スイスの小学校の英語の授業の様子=2005年

すでに大人の方は、スカイプ英会話レッスンやフィリピン留学などを利用してもいいでしょう。やることは子供も大人も一緒です。2年踏ん張れば、そこそこしゃべれるようになります。

是非やってみましょう。Good luck!