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韓国ドラマ「ヘチ」に除隊後初主演 俳優チョン・イルさんにインタビュー

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チョン・イルさん=倉持アユミ撮影

最後にチョン・イルさんにお会いしたのは入隊直前の2016年11月。2年半ぶりに会ってみると、元来の育ちの良さを感じさせるノーブルな穏やかさが漂う好青年っぷりに、さらに知的な洗練が加わった、という印象になっていた。

作品は李氏朝鮮時代の21代国王である英祖の若き日の姿を描いたもの。チョン・イルさんはヨニングン(英祖の即位前の称号)を演じ、不遇な王子時代から仲間に支えられて王になり、現代でいう検察組織を改革して世の中を立て直していく。題名となっている「ヘチ」は、善悪を見極める力を持つ伝説の動物のことを指す。

除隊後の最初の作品に何を選ぶかは、とても気を遣うもの。チョン・イルさんは、「キム・イヨン作家と一緒に仕事がしたくて」「これまでたくさんの英祖に関連する作品や本を読んできて関心もあったので、一度挑戦してみたいと思った」と「ヘチ」を選んだ理由を説明してくれた。これまでも「美賊イルジメ伝」「太陽を抱く月」「夜警日誌」など数々の韓国時代劇で気品漂う韓服姿を披露していたが、日本的表現で言うといわゆる品のある「公家顔」だけに、今回の英祖という王様役はまさにぴったり。

役作りは脚本家のキム・イヨン氏と話し合って進め、「チョン・イルのカラーが非常にたくさん反映されているキャラに出来上がった」とのこと。さらに、1カ月で13キロも体重を落としてこの役に臨んだとか。ちなみに、笑いながらそう答えたチョン・イルさんは、「食べずに一生懸命運動すれば痩せますよ」と涼しい顔でサラリ。

「本当に様々な演技をしました。回が進むにつれて、すこしずつ演技も深みを帯び、英祖の魅力にハマっていくと思います」と作品の魅力を語ってくれた。

倉持アユミ撮影

チョン・イルさんインタビュー

――軍に入隊する前と入隊してからでは何か気持ちの変化がありましたか?

軍に入隊する前の20代は未来についての焦りや不安が多かったですが、除隊後は前に比べて余裕が出ました。

――それは何かきっかけがありましたか?

軍では療養センターで主に認知症のご老人を担当していました。人生の終わりにいらっしゃる方々をケアすることで、一日一日生きていること、今現在に対して感謝しなければならないと思うようにマインドが変わりました。軍生活を通して自分自身が本当に井の中の蛙だったと思ったし、俳優としてではなく一人の人間チョン・イルとして人生を眺められる、そんな価値観を持つことができました。

――入隊中に英語を学んでいたとか?

昔から英語を勉強したいと思ってましたが、2年という時間を与えられたので、充実した時間を過ごすために学びました。以前に比べれば英語を話すのが楽になりました。日常生活を送るには問題がないくらいかな。

――海外にも問題なく行ける感じ?

それは…いえ、やはり海外に行けば不便は感じてしまいます。だから今も勉強しています。これからも英語と日本語を継続的に一生懸命勉強していこうと思っています。

――軍隊では3食ちゃんと食べなくてはいけないから太ってしまうと聞きます。
そうそう、僕も太りましたよ(笑)。復帰して「ヘチ」の撮影前に本当に一生懸命ダイエットして、元の姿に戻ることができました(笑)。

――どのくらいの期間で?

1カ月たたずに13キロ減らしました(笑)。

――え、どうやって?

食べずに一生懸命運動すれば痩せますよ!

――チョン・イルさんは目標をたててしっかりセルフコントロールができるタイプなんですね。

う~ん、何らかの目標が定まるとそれを成し遂げようと一生懸命努力する、そういった
粘り強いところはありますね。

倉持アユミ撮影

――今何か立てている目標はありますか?

作品が決まればもっと明確になると思いますが、今はありません。仕事中は熾烈にやりますが仕事が終わればリラックスして気楽に過ごそうとするタイプです。というか体が疲れてしまうと何かを考えるというゆとりも無くなるんですよ。

――リラックス方法は?

歩くことです!歩くのがとても好きで、トレッキングやハイキングによく行きます。心を空にするのに役立つんです。

――「ヘチ」の撮影の初日はいかがでしたか?

緊張はすごくしましたが、僕自身が10年以上やってきた仕事なので体が覚えていて、慣れるのはそんなに難しくはありませんでした。

――アイデアマンとして有名ですが、撮影中はいかがでしたか?

実はデビュー以来、初めてのことですが、今回は脚本家のキム・イヨンさんといろいろコミュニケーションをとりながらキャラクターを作りました。キム作家もチョン・イルという人間を見てキャラ分析をしたようです。様々な状況についてたくさん話をしましたから、僕自身のアイデアもたくさん採用され、チョン・イルのカラーが非常にたくさん反映されているキャラに出来上がったと思います。「キャラクターのことは俳優がわかっていると思うから、思った通りに演じてみて」と僕の解釈を尊重して配慮してくれましたし、僕の解釈が少し違う、という時には、「少し変えてみたらどう?」と提案してくれたりもして。今までは自分一人でああでもない、こうでもないと迷いながら役作りをしてきたとすれば、今回は作家さんのおかげで、より役作りがしやすかったと思います。

――ドラマの中で対立する派閥の長老役のイ・ギョンヨンさんとのやり取りがしびれました。

イ・ギョンヨン先輩とは、以前作品でご一緒したことがありましたが、そのときは途中降板されたので少しの間しか共演できませんでした。今回またご一緒できてうれしかったです。本当にカリスマが溢れる方なんです。そして、実は僕の大学の先輩でもあります。ですから、本当に愛情を持ったコメントをして下さいましたし、演技をしながらも「息がぴったりとはこういうことをいうんだな」と思わせてくれました。

また対立関係にあるイ・タン役のチョン・ムンソン先輩は、劇中では常にぶつかっていましたが、撮影現場では演技に関する話をして、すごく仲のいい「ヒョン(アニキ)」でした。ドラマが終わっても連絡を取り合っています。本当に助けてもらったうちの1人です。

――王様になってみんなを鼓舞するカリスマ演技が何度も出てきて印象的でした。

大衆を説得したり、大衆の前に立ったりするのは勇気がいることで、それを演じる僕自身にも勇気が必要でしたが、彼は民のために王になろうと決めた人物だったので、民を理解し、コミュニケーションをとることに努力しようとしましたし、自信を持って立とうと努力しました。

――20ページにも及ぶセリフも話題となりました。特に記憶に残っている単語、またはセリフはありますか?

僕は、作品が終わると、セリフをすっかり忘れてしまって(笑)特に今作は、あまりにセリフが多かったので、毎日毎日戦場に向かう気持ちで撮影に臨んでいたんです。なので、セリフは……ちょっと……(出てきません)(笑)

――そうなると、クランクアップした瞬間、「終わった!解放された!」という気分になりそうですね。

明日からはセリフを覚えなくてもいいんだ!という開放感はありましたね(笑)

――最後に、チョンイルさん的ドラマの見所は?

英祖の千変万化の姿を見られるところです。本当に、本当に様々な演技をしました。回が進むにつれて、すこしずつ深みを帯びていく演技を見るうちに、英祖の魅力にハマっていくと思います。

■韓国ドラマ「ヘチ」は、CS放送「衛星劇場」で、619日より放送開始。



インタビュー・文 田代親世 <韓国エンターテインメント・ナビゲーター>

CSチャンネル衛星劇場で韓流番組のMC、ドラマ・ミュージカル解説をはじめ、韓流イベントでの司会などを務める韓国エンタメナビゲートの第一人者。「恋する韓流」(朝日新聞出版)「韓国ドラマが教えてくれる心が強くなる40の言葉」(中経文庫)など著書多数。
公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」、動画チャンネル「田代親世のほぼ3分でわかる韓国ドラマ」を運営。不定期で韓流サロン、韓国ミュージカルツアーを開催。