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恋愛&結婚「外国に住もうよ」と言われたら【知っておきたいハーグ条約】

ニッポンあれやこれや ~“日独ハーフ”サンドラの視点~ 

近年、国境を越えた人の移動が多くなり、パートナーが外国人だったり、結婚相手が外国人だという人も数多くいます。筆者自身、国際結婚カップルの間に生まれたいわゆる「ハーフ」(筆者は父親がドイツ人、母親が日本人)ですが、国際結婚を間近で見てきた者として、皆様に様々な「あるある話」をお届けしています。もっとも、ほかの家庭がそうであるように国際結婚家庭にも各自楽しいことや大変なことがあり、家庭によってそれは様々ですので、一概に「この場合はこう」と言い切れるものではありません。それを踏まえた上で今回は「国際結婚だからこそ気を付けたいこと」について≪女性の視点≫から語りたいと思います。

外国人の彼に「外国に住もうよ」と言われたら

一昔前は国際結婚というと、日本人女性が留学などで外国に渡り、現地で出会った男性と結婚というパターンが目立ちましたが、近年は日本国内で外国人のパートナーと出会い結婚に至ることも多くなっているようです。昔と比べ、留学や仕事などで、外国人が日本に住むことも増え、そんな中で日本人との出会いも数多くあり、外国人にとって日本という国は以前よりも身近になっています。そうはいっても、日本に骨を埋める気で来日した外国人ばかりではないので、日本で日本人女性と結婚をしても「ゆくゆくは、母国(日本人の妻にとっては外国)で暮らしたい」と考える外国人もいます。

恋人や配偶者から「結婚したら、外国(男性の母国)に住もう」と提案された場合、女性自身がその国に興味を持っていたり、現地の言葉が話せたりする場合、彼と一緒にその国に住むことを視野に入れても良いかとは思いますが、一つ念頭に置いておきたいものがあります。

最初に住む国が実は肝心!?

それは子供を作る予定がある場合「最初に住む国が肝心」だということです。

日本は2014年にハーグ条約に加盟していますが、夫婦間においてはもちろん、離婚をした後であっても、配偶者または元配偶者(女性側から見ると、子の父親)の同意を得ずに子を国外に連れ出してはいけないとしています。具体的にいうと、たとえばフランス人の旦那さんと一緒にフランスに住む日本人女性が現地フランスで出産し子育てをしていく中で、「離婚をして子供を連れて日本に帰りたい」と思っても、フランス人である旦那さんの同意がない場合、子供は日本に帰れないということです。同意を得ないまま子供を日本に連れて帰ってしまうと、それは誘拐の扱いになってしまいます。

ですので、日本人の女性の立場から考えてみると、自分自身が「子供と一緒に将来は日本に住みたい」という気持ちが心の中にある場合、外国人のパートナーには予めその旨伝えた上で最初から日本に住んだほうが安心かもしれません。

というのも、ハーグ条約は、基本的には子供の住む国について現状維持が一番だとしており、子供を住み慣れた国から引き離すことはよろしくない、という考えのもとにできていますので、言葉は悪いですが、「最初に子供とその国に住んだが勝ち」の部分があるのです。そこを意識しておく必要があります。

サンドラヘフェリンハーグ条約

欧州では離婚後も「共同親権」が基本

そもそもハーグ条約は子供を守るためのものです。親の不仲や離婚により、子供が母国から離れざるを得なくなってしまう状況を防ごう、離婚後も子供が母親と父親の「両方」とかかわりを持てるようにしよう、という発想に基づいた条約です。そしてドイツを含むヨーロッパ諸国ではDVや犯罪などの理由がない限りは基本的に「離婚後も共同親権」であることが子供にとってベストだとされています。前述のとおり日本は2014年にハーグ条約に加盟しましたが、考えてみると、日本国内においては今でも離婚後は単独親権が原則となってしまっている現状があるわけですから、「ハーグ条約」と「日本の国内法(民法)」との間で矛盾が生じているといえるでしょう。在フランス日本国大使館の「フランスと日本の親権制度の相違点について」の項目3に書かれている「いわゆる子供の連れ去りの問題」の説明がわかりやすいです。

「実家に帰る」という考え方

日本では、最近は昔よりもその感覚がうすくなってきてはいるものの、結婚は「家と家のつながり」を重要視している部分があり、逆に離婚をした後は、子供も片方の「家」とは縁が切れてしまって仕方ないという考え方が容認されています。

逆にヨーロッパの感覚だと、子供は両親が離婚した後も両方の親や、可能な場合は両方の親戚とかかわることが望ましいとされています。

日本の小泉元首相が離婚時に長男と次男を引き取り、母親のもとで育てられた三男とは長年交流がなかったことが報道されたとき、欧米人の間では「同じ子供なのに、なんて残酷なんだろう」と話題になっていました。

「実家に帰る」(実家に帰るのは「女性」が多いのですが)という考え方も、とても日本的なものだと思います。筆者が子供の頃に読んでいた日本の漫画には「夫婦げんかの際に、母親が「実家に帰らせていただきます」と言いながら、トランクをゴロゴロ引いて、子供の手を引いて実家に帰る」とう図が出てきたと記憶しています。「実家に頼る」という考え方も「あり」だとは思いますが、問題は、海外に住み現地で結婚している日本人女性の場合「何か問題が起きたら、子供を連れて日本の実家に帰る」というのを実践してしまうと冒頭の通り誘拐になってしまう点です。

文化の違いを意識することが大切

こればかりは文化の違いなのだと思いますが、国際化している今の世の中、そして何よりも日本もハーグ条約に加盟した今では、このあたりのことを日本の従来の感覚で進めてしまうと違法になってしまう事は念頭に入れておきたいです。

ではどうすればよいのかというと、繰り返しになりますが、(ハーグ条約に加盟している国出身の)外国人との結婚の際は「ハーグ条約」を予め頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

これから家庭を築こうとしている幸せなカップルに対して「子供ができて離婚した後のことを考えよ」というのは酷な気がしないでもないですが……何事もそうですが【備えあれば憂いなし】です。