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成功のイメージを作るために、休む みやぞんが「イッテQ」で体得した「休みの哲学」

LifeStyle
鬼室黎撮影
鬼室黎撮影

■苦しいときは、やり方が間違っている

――「イッタっきり」では、ちょっとやそっとじゃできない技をマスターするまで日本に帰れません。練習を続けても結果が出ない時、みやぞんさんが「休日」をとり、次の日に高い確率で成功していることに気づきました。なにか、秘訣みたいなものがあるのですか?

 あるとき、気づいたんです。意識して「休み」を取った方が良いって。ぼく、がんばりすぎちゃうところがあるんです。「イッタっきり」では、短期間でプロフェッショナルな技に習熟しなくてはなりません。繰り返し同じ技を練習していると体が痛くなったり、感覚が分からなくなってきたりするんです。そうすると、いざ本番に技を披露しなくちゃいけないときに、実力が出せなくなってしまう。そんな時こそ、ベストなコンディションに持っていくために、意識して「休日」をつくります。リフレッシュしてから、再チャレンジすると、なぜかできてしまうことが多い。そう、「やらない勇気」が必要なんです。

思うんですけど、人間って努力とかがんばるとか、大好きですよね。とくに日本人は。でもぼくは正反対のタイプです。できるって思い込んで成功を引き寄せていく感じなんです。だから、もちろん努力はしますけど、練習でつらいとか苦しいとか感じるときは、それは神様がやり方が間違っていると教えてくれていると思うことにしています。何でもうまく行くときって、良い風がスムーズに吹きますよね。逆に、「くそっくそっ、できない」ってやっていると負の連鎖になってしまう。成功のイメージを作るには、いったんやめちゃって、大丈夫、大丈夫という気持ちで、楽しむことが大事だと思うんです。これも、逆に勇気がいることですけど。 

――そういう考え方は、独自に編み出したものなんですか? それとも誰かに教わったとか?

 よくポジティブですねって言われるんですが、もともと気楽に生きるのが好きなんです。そうしていないと、あんまり良い結果も出ないと思っています。教訓になっているとすれば、小学校から高校までずっと続けたスポーツの影響が大きいと思います。とくに高校時代に打ち込んだ野球。だって、打てないと思って打席に立つバッターもいないでしょ?

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鬼室黎撮影

野球の練習では長時間、いくら暑くても水を飲んではいけないと言われました。当時はやれと言われればやりましたけど、心の中ではそうじゃないってずっと思っていました。水を飲んで頑張るぞ! 疲れたら無理するのではなく、いちどリセットする。その方が良いに決まっています。それなのに、どうしてできないのか、分かりませんでした。 

今になって思うことは、日本人は休んだり、楽をしたりするとき周りの目を気にしますよね。ぼくは自分にすごく甘いので、全然そんなことはありません。自分に優しい分、他人にも優しくできると思っています。自分に厳しいと、人にも厳しくしてしまうもの。自分は一生懸命やっているのに、「あいつはなんだ」と相手を責める気持ちが起こる。完璧主義になってしまうと、相手にも完璧を求めてしまうんです。できなければ、また次やればいいじゃないですか。 

――「イッタっきり」で休みをとった日は何をしているのですか。海外ロケですから友達もいないし、なかなか気晴らしも難しいのでは?

 できるだけ街や市場を見に行ったり、その国の文化に触れられるような場所に足を運んだりするようにしています。たとえば、サーカスの難しい曲芸をマスターする時に、ホテルとテントを往復する毎日だったら、日本にいるのと何も変わらないですよね。でも、異国の文化に触れることで、技を教えてくれる現地の先生とコミュニケーションをとるうえでも助けになります。 

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愛犬ラブちゃんを抱いて、満面の笑みのみやぞんさん=浅井企画提供

あ、でも、「休みには気晴らしが必要」と言いたいわけではありません。休みは自分の時間ですから、そこは好きに使えばいい。眠たければ思いっきり寝ればいいし、ゲームをやりたかったらやればいい。逆に仕事をしているのが楽しければ、休まずに仕事をすればいいと思います。ただ、ひとつだけ言えることは、仕事はやっぱり楽しくやりたいですよね。だって、生きていくのって案外つまらないじゃないですか。どうです、楽しいですか? 人生って、たぶんつまらないんですよね。だからこそ、自分から楽しく作っていかないといけないんじゃないでしょうか。何もしなかったら、つまらないままだと思うから。 

■スマホ、嫌いだったんです

――インターネットやスマートフォンなどテクノロジーの発達で、仕事とプライベートの境界線がどんどんあいまいになっています。終業後や休みにも仕事のメールをチェックしてしまう人が増えていると言われています。 

ぼくは、昔スマホが嫌いだったんです、仕事を家に持って帰れてしまうので。コンビの相方と漫才のネタのやりとりをするのも、スマホがあれば、家に帰ってから夜でもできてしまいますよね。ぼくは今日の仕事が終わったら、そこでハイおしまい、あとはもうなにもしないよというのがいいんです。グダグダと終わりなく仕事を続けるのが嫌でした。だから、みなさんがストレスを抱えている気持ちはなんとなく分かります。 

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鬼室黎撮影

ただ、今は少し考えが違います。スマホが全てストレスになる時代かと考えると、全然そうじゃない可能性もあるでしょう。例えば、江戸時代はクーラーもないし、携帯電話もなかった。どこかに集合しようにも、すぐには連絡がつかない。でも今なら一瞬でつながることができる。そういう良い部分を忘れてしまって、悪い部分だけを抜き出してクローズアップするのはよくないと思います。 

――みやぞんさんは、スマホやSNSからどのぐらいの時間、離れていられますか? 

ぜんぜん、いけますよ。スマホもSNSもなければ、いくらでも離れていられると思います。だって、つながっている人とはもう、心でつながっていますから。別にラインでとか、SNSでとか、そこは気にしません。

■インタビュー後編「「今年の休みは半日だけ」超多忙みやぞんが語る、気持ちをコントロールする技」

 

 ■みやぞん 1985年、東京都足立区生まれ。本名は宮園大耕(みやぞの・だいこう)。幼なじみのあらぽんと2009年にお笑いコンビ「ANZEN漫才」を結成。歌ネタを得意とし、ギターの弾き語りを担当。