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女の子は家事時間が長い 世代を超えて引きずる格差のパターン

ニューヨークタイムズ 世界の話題
Agnes Lee/©2018 The New York Times

ずっと以前から、女性の方が男性より報酬は低く、家事労働が多いというのは事実である。このパターンは、早くも子ども時代から始まるのだ。

男女間の格差は縮まる兆候が見えるが、さまざまなデータによると、家事に費やす時間は女の子の方が男の子より依然として長いことがわかっている。しかも、その対価は女の子の方が低く、小遣いも少ない。

たとえば、ある最新の研究報告によると、15歳から19歳の男子が家事をする時間は約30分だが、女の子は約45分だった。女の子の場合は10年ほど前と比べると時間がやや短くなってきているが、男の子にはほとんど変化がみられない。

男性と比べて、女性は報酬が低く、昇進も遅いが、それは家事の責任がより重くのしかかっているからだと研究者たちはみている。こうした格差をなくすには、女の子にも有給の家事労働を用意するだけでなく、男の子には無給で家事をすることを教え込むべきである。研究者は、そう主張している。

「小さいころから家事を手伝わせることで、子どもたちはそのやり方がわかるようになる」と米メリーランド大学の社会学者サンドラ・ホファースは指摘する。彼女は今回の最新研究報告の共同執筆者で、子どもたちの時間の使い方について研究している。「進歩主義者たちは、自分自身の男の子たちには家事をもっと手伝うようしつけてきたと思い込んでいる。しかし、家事労働における男女格差が縮まったことを示すエビデンス(科学的証拠)は何もない」と彼女は言っている。

ホファースの研究は200314年を調べた「アメリカの時間利用調査(ATUS)」を基にしている。15歳から19歳までの高校生6358人について調べた。ここでいう家事とは、炊事、掃除、ペットの世話、庭の手入れ、家や車の維持管理などを指す。

この研究では、両親の学歴が差異をもたらすことが判明した。大学教育を受けた親の子どもたちは、全般的に家事労働に費やす時間が少ないが、差異があるケースをみると、ほとんどが女子の間で起きている。大卒の親の娘たちが家事に費やす時間は高卒未満の親の娘たちより25%少ない。とはいえ、息子たちと比べると、11分多い。高等教育を受けた親は、娘たちに変わることを期待しているようだが、息子たちに対してはそうでもない、とホファースはみている。

家事をすることで、男の子は女の子よりも多くの駄賃をもらっている。これは、家事のアプリ「BusyKid(ビジーキッド)」を活用している1万家族について調べた最近の分析結果だ。このアプリを使っている男の子は、家事の手伝いで女の子より2倍も多くの駄賃を受け取っている。つまり、週の平均額で言えば、男の子が13ドル80セントなのに対し、女の子は6ドル71セントだ。

BusyKidによると、男の子は歯を磨いたりシャワーを浴びたりといった自分の個人的な衛生管理をすることでお小遣いをもらい、女の子の場合は家の掃除をすることでもらうケースが多い。

家事労働における子どもの男女格差は世界でみられる。多様な経済水準にある16カ国(アメリカを除く)12歳児を対象にした最近の調査だと、どの国でも女の子の方が男の子より家事にかかわる時間が長いことがわかった。

同じ家事でも、家の中か外かでも男女間に違いがある。女性は炊事や掃除、洗濯など家の中での仕事が多い。一方の男性は庭の芝刈りやゴミ出しなど屋外が主だ。これまでの研究によると、こうした役割分担はすでに子ども時代から行われていた。

「家事をするのは成人してからの生活に向けた訓練であるから、世代間で引き継がれていく」。子どもとジェンダーについて研究している米ケンタッキー大学の心理学者クリスティナ・スピアーズ・ブラウンは、そう指摘する。

しかし、成人の間でみられるように、家事における子どもの男女格差は縮小し始めている。特に、その一例を挙げれば、きょうだいや高齢の親戚といったファミリーメンバー(家族の一員)の介護などの世話は、男の子も女の子と同じようにやっている。研究者たちが言うには、この傾向は将来の世代に影響をもたらす可能性がある。つまり、ファミリーメンバーのケアをしながら育った男の子は、将来、より家事に関与する父親になる準備をしているというのである。

ホファースの研究分析によると、ファミリーメンバーのケアでは、男の子は女の子と同じぐらいの時間を割いている。10年余り前は、この分野で費やす男の子の時間は女の子の半分だったが、以降はその差が縮まりつつある。

世界的にみても、男の子たちが介護にかかわる時間が増えている。国際的な研究によると、子どもたちがファミリーメンバーの介護を手伝う時間は男の子と女の子の間に差がほとんどなくなっており、特にノルウェーの場合は男の子の方が介護を手伝う時間が長い。

家事に関する別の研究――こちらは研究対象のデータが少ないが――によると、家事一般についても男女格差が縮んでいることがわかった。13歳から18歳の男の子が家事に費やす時間は1日に30分弱で、女の子は30分強だった。2002年から14年までの間に、男の子の家事時間が29%増え、女の子が27%減った結果による格差縮小だ。これは1968年以来、家族関係を継続的に調査している米ミシガン大学の「所得動態パネル研究(PSID)」で判明した。

この変化は成人の変化を反映している。PSIDの研究結果からわかったことは、既婚男性が家事に費やす時間は1983年が1日に55分だったが、現在は66分に増えた。一方、既婚女性の場合は、228分から132分にまで減った。それでもまだ、既婚女性は既婚男性の2倍長く家事に関わっている。

子ども時代にどう育てられるかが成人後に反映することを調査研究が示している。

ある調査の結果では、職に就いている母親たちの息子は大人たちがするように家事や子どもの世話に費やす時間がより長いことがわかった。また、別の調査だと、両親の仕事の分担、とりわけ父親が家事にどう関わるかによってヤングアダルト(訳注=10代後半や20代前半の若者)の家事に費やす時間配分への考え方を推測できることもわかった。

先述した社会学者サンドラ・ホファースは、経済的に自立している若い女性は、家事を分担しない男性にはパートナーとしての魅力を感じないかもしれないと指摘する。そうこうしているうちに、家の中は乱雑になってしまうかもしれないとホファースは言う。「若いカップルは家事を下請けに出すようになるか、両親たちの時代と比べて、より混沌(こんとん)、混乱した生活を送ることになるかもしれない」。そうホファースはみている。(抄訳)

(Claire Cain Miller)©2018 The New York Times

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