選挙で移民を争点化 背景には海外からのSNSによる論争工作も
昨夏の参院選前後では、埼玉のクルド人へのヘイト問題に加え、外国人と生活保護の話題が盛んにSNS上で発信されました。排外的な言説を受け入れやすくなっている背景には、経済的な不安定さを抱える人々の不満があります。そこに排外主義的な主張を前面に出すポピュリスト政党が出てきて、他の保守政党も影響を受け、SNSとの相乗効果が生まれていきました。
ただ、こうした現象が人々の不安や、政治があおっているだけで生まれているかというと、それだけとは言い切れません。私の研究では、クルド人や、外国人と生活保護についてのSNSでの拡散の一部は、海外からの影響工作によるものだと分析しています。
クルド人のようにすでに何年かにわたってSNS上で問題化されていること、また生活保護のように国内で論争を引き起こせそうなことに焦点があてられることが多いですが、SNSの大量のアカウントで再投稿やリプライをする形で、争点化したい情報を拡散していくのです。つまり個々人が「危ない」「課題だ」と心配しているつもりでも、実は社会の不安定化をめざす海外勢力による影響工作に踊らされてしまっている側面があることも否めないわけです。
最近SNS上で、モスク建設などイスラムに関わる話題が目立ちます。イスラムがターゲットとして設定されやすくなっているのでしょう。生活様式が異なることもあり、影響工作に利用されやすい面があるのでは、と思います。
そうした影響工作は、世界各国で行われ、実際に政治や社会に大きな影響を与えています。有名なのは、第1次トランプ政権が発足した、2016年の米大統領選での、ロシアによる選挙介入です。24年の米大統領選では、まさに移民に焦点が当たりましたが、ロシア、中国、イランが介入していました。
どうすればいいのか。その情報は正しいのか、書き手にどのような意図と目的があるかなどを確認するリテラシーを個々人が持つことは重要です。また、プラットフォーマーに対しては、選挙期間中に街頭演説の切り抜き動画などから収入を得ることを禁止する。発言に責任をもつという意味で、SNS上の匿名をなくしていくことが大事だと考えています。