世界を狙うAIセキュリティ革命 AcompanyがスタートアップW杯東京優勝

同社は、機密データを暗号化した状態で計算や分析ができる高速秘密計算エンジンを開発し、暗号化したデータを元の読めるデータに戻すことなく活用できる秘密計算AIクラウドを提供。個人情報の漏洩から安全保障リスクまで世界的にデータ保護規制が強化されるなか、グローバルに需要が伸びている分野での事業展開などが高く評価された。
スタートアップワールドカップは、米シリコンバレーを拠点にスタートアップ企業への投資を手がける「ペガサス・テック・ベンチャーズ」(アニス・ウッザマン創設者兼CEO)が2017年から主催し、毎年3万社以上のスタートアップ企業がエントリーする。
7回目の今回は、世界100以上の国と地域で予選が行われ、日本では九州(5月23日、熊本)、東京(7月18日)、東北(8月22日、仙台)の3地域で開催。合計で8000人以上の投資家や企業関係者らが会場やオンラインで参加するという。
各地域予選を勝ち抜いた3社は、日本代表として世界決勝戦(10月15~17日、米サンフランシスコ)に出場し、そこで世界チャンピオンになれば、100万ドル(約1億5000万円)の出資を受けることができる。
今回の東京予選では、書類審査を経た11社の代表が登壇し、自社の技術やビジネスモデルを3分30秒の枠内でプレゼンテーションした。
2位はロケットの開発・製造・打ち上げサービスまで手がける「インターステラテクノロジズ」(北海道大樹町)、3位は独自AIを活用したタクシーのシェア乗りサービスを展開する「NearMe」(東京都中央区)が選ばれた。
優勝したAcompanyの高橋CEOの東京予選プレゼンの主な内容は以下の通り。
皆さん、AIに十分に活用できていますか?
AIを効果的に活用しようすると、自社の固有な情報が必要です。だから情報を(AIに)与えたい。そこで頭をよぎるのが機密情報の漏えい。機密情報を保護するためのマスキングは手間がかかりますし、人的ミスも起きやすい。私たちはこのような課題を解決します。
私たちが提案するのは、社内情報の不足と情報漏えいという企業のAI活用の2大障壁を解決する、生成AIの安全装備SaaS(ソフトウェアをネットワーク経由で利用するサービス)、オートプライバシーAIです。自動マスキングと圧倒的なUX(ユーザーエクスペリエンス=顧客体験)で、最高レベルのセキュリティを、ユーザーの使い勝手を落とさずに提供します。
私たちは、セキュリティと利便性をトレードオフにさせることなく、利用できるようなサービスを提供しています。オートプライバシーAIでは、皆さんがお使いの生成AIサービスに後付けできる、いわば生成AIの安全装備です。しかし、このように思う方もいるかもしれません。結局、アカンパニーに機密情報を送らないといけないのでは?と。
ご安心ください。これこそが私たちが解決した最大の問題です。これを実現しているのが、我々のコア技術である「コンフィデンシャル・コンピューティング」です。コンフィデンシャル・コンピューティングでは、全てのデータが暗号化されたまま処理されます。言ってしまえば、アカンパニーでも見ることができない「金庫」の中で、データが扱われるようなものです。
では、このようなすごそうな技術、なぜ我々が実用化できるのか? それは私たちが世界有数のチームだからです。インテルやエヌビディアなどの世界トップ企業と協業を実現しています。この世界トップクラスのチームの技術で、我々が本当に成し遂げたいこと、それは単なる一つのアプリケーションの提供にとどまりません。
私たちは、サービスの心臓部であるコンフィデンシャル・コンピューティング・プラットホームそのものをパーツとして、あらゆるソフトウェア企業に提供します。そして、この壮大な戦略はすでに始まっています。私たちは日本一だけでなく世界一に挑戦します。