オリンピック後半戦でなんといっても注目されるのが陸上女子やり投げだろう。昨年8月に行われた世界陸上選手権で優勝し、世界の頂点にたった北口榛花選手(26)はやり投げ種目の本場、チェコで修行を積み、花の都に乗り込んできた。
これまでの日本陸上界のオリンピック成績を振り返ると、マラソンや競歩などの種目では好成績を残しているが、陸上スタジアムで行われるトラック&フィールド種目ではメダル獲得は数少ない。
日本人女子選手でトラック種目で表彰台に登ったのは、1928年アムステルダム大会女子800メートルで銀メダルに輝いた人見絹枝さんのみ。
フィールド種目は走り幅跳び、棒高跳びなどの跳躍種目、ハンマー投げ、やり投げなどの投てき種目の2種目に分けられるが、実はこれまでにメダルを獲得した日本人女子選手は誰もいない。もし北口選手が表彰台に上がれば、日本陸上界史上初の快挙となる。
英ブックメーカー大手はこぞって北口選手を優勝候補にあげる。ピナクルでは、北口選手の金メダルオッズは2.07倍(6日午後3時現在、低いほど優勝すると予想する人が多い)。ライバルのフロルデニス・ルイスウルダト選手(コロンビア)が3.91倍、マッケンジー・リトル選手(オーストラリア)は5.05倍となっている。
ウィリアム・ヒル(以下ウィリアム)では8月6日午後3時現在、北口選手が1.5倍となっており、ライバルであるルイスウルダト選手(4.5倍)とリトル選手(2.75倍)を引き離す。
女子やり投げは日本時間8月7日に予選、11日に決勝が行われる。これまで数々の大会で逆転優勝を飾った北口選手。パリのフィールドで歓喜の咆哮となるか?
陸上競技で注目されるのは男子400メートルリレーの日本代表チームだ。東京大会の日本代表チームはバトンミスで残念な結果に終わったが、ここ最近の大会ではメダル獲得の常連だろう。
英ブックメーカー「ベット365」の事前優勝予想オッズ(8月6日午後3時現在)は、日本代表チームは51倍と全体の6番目につけている。
アメリカ代表(1.4倍)、ジャマイカ代表(3.50倍)、イタリア代表(7.5倍)と数字上では劣っているが、練習でスキルをあげたバトンパス力を十分に発揮すれば、メダル獲得の可能性は、他チームとのオッズ格差ほどはないだろう。男子400メートルリレーは日本時間8月9日に予選、11日未明に決勝が行われる。
金メダル獲得が期待されるのはパリ大会新種目となったダンススポーツのブレイキンだ。ニューヨーク・ブロンクス発祥の「ブレイクダンス」との名称でなじみのある人も多いだろう。
床に手をついた状態で脚の動きを組み合わせる「ダウンロック」や、身体的な強さや柔軟性の高さを見せるアクロバティックな「パワームーブ」などの技があり、プレーヤーの「Bボーイ」(男子選手)、「Bガール」(女子選手)がそれぞれの技を披露し、1対1のバトル形式で競い合う。
選手はそれぞれダンサーネームで出場するのもこの種目の特徴の一つだ。
16人が出場する「Bボーイ」は三つどもえの戦いが予想されている。開会式で日本人選手団の旗手にもなったシゲキックス(半井重幸)選手はウィリアムで優勝オッズが4倍となっている。ライバルで過去2回の世界選手権覇者のヴィクター・モンタルヴォ選手(アメリカ)は2.25倍、オリジナリティーあふれるダンスを見せるフィル・ウィザードことフィリップ・キム選手(カナダ)は3.25倍と開きは僅差だ。
「Bガール」も日本人女子選手の活躍が期待される。2019、2022年の世界選手権覇者のAMI(湯浅亜実)選手はウィリアムで3倍の全体2番目の優勝確率オッズ(8月6日午後3時現在)。41歳とベテランのAYUMI(福島あゆみ)選手は2021年世界選手権覇者で、今大会は5.50倍と全体の4番目につけている。
ブレイキンでの日本勢のメダルラッシュはなるか? パリ大会の競技会場はアーバンスポーツの会場となっているコンコルド広場で、女子は8月10日未明に決勝、3位決定戦、男子は11日未明に決勝、3位決定戦が行われる。
コンコルド広場の特設会場では日本の新たなお家芸となったスケートボード競技が行われている。前半戦のスケートボード・ストリート競技で、日本選手団全体に勢いをもたらした10代メダリスト、吉沢恋(14、金メダル)、赤間凜音(15、銀メダル)の両選手に続く快挙となるか?
日本時間8月7日未明に行われる女子パークでは、東京大会で当時12歳という日本最年少メダリストになった開心那選手(16)が出場する。
ピナクルの優勝予想は僅差となっており、8月6日午後3時現在、開選手の優勝確率オッズは5.2倍。同様に有力金メダリスト候補のオーストラリアのアリサ・トルー選手(14、2.24倍)、英国のスカイ・ブラウン選手(16、4.89倍)に迫っている。
また、昨年アジア大会覇者の草木ひなの選手(16)は8.73倍で全体の5番目。東京大会で金メダルに輝いた四十住さくら選手(22)は10.68倍で6番目。トルー、ブラウンの両選手はいずれも母親は日本人。表彰台は日本にゆかりのある選手が独占する可能性もある。
8月5日から始まったスポーツクライミングでは、9日に決勝ラウンドが行われる男子ボルダー&リード種目に昨年のW杯ボルダー、リード年間総合優勝を果たした安楽宙斗選手(17)と、東京大会4位でオリンピック連続出場となる楢崎智亜選手(28)が出場する。
ピナクル(8月4日午後1時現在)は安楽選手を優勝確率オッズ2.28倍として、金メダル最有力候補にあげる。楢崎選手は12.85倍で全体の6倍で、他のライバルたちとどう戦うか?
10日に決勝ラウンドが行われる女子ボルダー&リード種目では、2023年世界選手権のリード種目で優勝を果たした森秋彩選手(20)がどうコースを攻略するか?森選手はウィリアムが優勝確率オッズ14倍(8月6日午後5時現在)をつけ、全体の4番目に設定している。
男子、女子ともまずは予選から調子をあげていき、パリの空に歓喜の笑顔を浮かべてほしいと願う。
前半戦の柔道に続き、後半戦のレスリングでは日本人選手のメダルラッシュが期待される。
女子レスリングで、ピナクルは選手全員にオッズをつけるのではなく、金メダル最有力の日本人選手が優勝するか否かに絞り、二者択一のオッズを展開している。日本人選手の優勝確率が断トツすぎて賭けにならないからだろう。
8月8日未明に決勝が行われる女子フリースタイル50キロ級には東京大会の金メダリスト、須崎優衣選手(25)が出場する。ピナクルの二者択一の優勝確率オッズは8月6日午後5時現在、1.128倍で、銀メダル以下の5.72倍をはるかに上回る。
さらに8月9日未明に決勝が行われる女子フリースタイル53キロ級に出場する藤波朱理選手(20)も断トツの優勝候補。三重県出身の藤波選手はオリンピック初出場だが、公式戦は中学校2年生から負けなしで連勝記録を133に伸ばしており、女子レスリング界のレジェンド、吉田沙保里さんもその実力を認める。
英ブックメーカーももはや賭けにならないことを優勝確率オッズで示しており、ピナクルでは8月6日午後5時現在、優勝するか否かの二者択一のオッズで、金メダルが1.25倍。銀メダル以下が3.4倍のかけ率をつけている。
女子フリースタイル57キロ級に出場するのは高知県出身の桜井つぐみ選手(22)。3年連続世界選手権で優勝しており、この階級でライバルを寄せ付けていない。ピナクルは8月6日午後5時現在、金メダルか否かの二者択一のオッズをつけており、こちらは金メダルが1.704倍、銀メダル以下が2.07倍と拮抗する。それでも、断トツの金メダル候補であることは、英ブックメーカーも認めている。
パリ・オリンピックは8月11日に閉会式が行われるが、大会後半戦にもまだまだ日の丸掲揚、君が代斉唱の場面は多くみられるだろう。