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ワインを飲むとき、なぜグラスをぐるぐる回すのか ワインにまつわる知識をまとめた

World Now 更新日: 公開日:
ワイングラスのイメージ写真
写真はイメージです=gettyimages

ブドウの横綱

赤ワインでは、カベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールが横綱だ。カベルネのワインは深みのある紫色で、渋みが強い。仏ボルドー地方が代表格。ピノは明るいルビー色で、軽やかな酸味がある。仏ブルゴーニュ地方が有名。

白ワイン用の横綱は、ブルゴーニュなどのシャルドネとドイツなどのリースリング。ソーヴィニヨン・ブランがこれらを追う。

ボトルの形

世界のワインボトルの多くは、いかり肩のボルドー型と、なで肩のブルゴーニュ型にわかれる。

ドイツワインはスリムで背が高い。緑や茶色のガラスが使われるのは、ワインが光で劣化するのを防ぐため。スパークリングワインのボトルもなで肩だが、内部の炭酸ガスの圧力に耐えるため普通のボトルよりガラスが分厚く重い。

ワインの色

赤と白、その中間がロゼ。珍しいところでは、黄(仏ジュラ地方の白ワイン)や緑(ポルトガルの白ワイン、緑は実際の色ではなく「若い」の意味)、灰色(仏アルザス・ロレーヌ地方などの薄いロゼワイン)、黒(仏南西部の濃い赤ワイン)がある。

赤ワインの場合、若いうちは紫やルビー色で、熟成するにつれて褐色がかっていく。

コルク

ワインが空気に触れて酸化しないよう、ボトルを密閉するため、弾力のあるコルクが使われてきた。一般に高級ワインほどコルクが長く、シャトー名や年号が刻印されている。

ボトルを寝かせて保存するのは、ワインでコルクを湿らせて気密性を保つため。コルクの表面にカビがはえていても、中身のワインに悪影響はない。カビを拭き取って抜栓すれば大丈夫だ。最近、合成樹脂の人工コルクやスクリューキャップも増えている。

グラスの効用

少量のワインを注いだ巨大なグラスを片手でぐるぐる。きざに見えるが、ワインの香りを楽しむためには欠かせない。ワインは空気に触れると香りが開く。グラスが大きいと空気との接触面が広く、それをぐるぐる回すことでさらに空気に触れさせる。

開いた香りはグラスの中にたまるので、鼻を突っ込んで楽しむ。安いワインでも、大きなグラスで飲むと風味が増す。逆に、高価なワインを普通のコップで飲むと、せっかくの風味を楽しめない。スリムで背の高いシャンパングラスは、立ち上る泡を楽しめる。

味わいの表現

ワインの複雑な風味を表現するのに、さまざまな「たとえ」が使われる。赤ワインでは、ブルーベリーやカシス、チェリー、シナモン、紅茶、トリュフなど。

白ワインでは、パイナップル、ライム、青リンゴ、ナッツ、バターなど。食品だけではない。火打ち石や土、枯れ葉、インク、たばこ……。ネコのおしっこやなめし革にたとえられる風味もある。

ワインの飲み頃

できたての新鮮さを味わうボージョレ・ヌーボー。20年も30年もたってから本領を発揮するボルドーやブルゴーニュの銘酒。

ワインも人間と同じで、若いうちに輝くタイプもあれば、年を取るにつれて味わい深くなるものもある。「若いのが好き」「熟れてこそ魅力がある」「枯れかけていないと」など、飲む側の好みもさまざまだ。

甘いワイン

白ワイン用のブドウに特殊なカビがはえると、果汁の水分が減って糖分が凝縮する。貴腐ワインという。ソーテルヌ(仏)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(独)、トカイ(ハンガリー)が有名。

17世紀にトカイ地方で、オスマン帝国の侵攻のためブドウの収穫が遅れ、カビが生えたのが起源という。凍ったブドウでつくるアイスワインも甘い。ドイツやカナダのものが有名。

パラドックス

フランス料理には肉やバターなど動物性脂肪が多いのに、心臓病で死ぬフランス人は少ない。これを「フレンチパラドックス」という。

フランス人は赤ワインをたくさん飲み、そこに含まれる色素ポリフェノールが、悪玉コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を抑えるらしい。ポリフェノールの一種が認知症の防止に役立つ、との報告も。健康のためにワインを飲むわけじゃありませんが。