「the bird is freed」
アメリカの電気自動車大手テスラの最高経営責任者(CEO)で実業家のイーロン・マスク氏が28日、自らの公式ツイッターアカウントで、こうつぶやいた。
the bird is freed
— Elon Musk (@elonmusk) October 28, 2022
世界に2億以上のユーザーを抱え、ロゴに青い小鳥がデザインされているSNS大手、ツイッターを「解放した」という意味にも取れる。
マスク氏が、かねて「表現の自由の原則を守れなければ根本的に民主主義を損なう」
と不満を表明していたツイッター社買収の動きに出たのは2022年4月。
株式の9%を取得して最大株主になったことが判明後に、ツイッター社を買収する意向を表明。総額440億ドル(約6.5兆円)で買収することで同社と合意した。
だが、マスク氏は5月、ツイッターが持つ2億以上のアカウントのうち、ボット(自動)アカウントや偽アカウントの割合に疑義があるとして買収の停止を表明。
Twitter deal temporarily on hold pending details supporting calculation that spam/fake accounts do indeed represent less than 5% of usershttps://t.co/Y2t0QMuuyn
— Elon Musk (@elonmusk) May 13, 2022
7月には買収の撤回を書簡で申し入れた。買収撤回の背景には、ボットアカウントなどツイッターの開示した情報への疑義のほかに、ツイッター社の株価が下落したことも理由と報じられた。
これに対して、ツイッター社は合意した買収の履行を求めてマスク氏を提訴し、マスク氏もツイッター社を訴える泥沼の状況に。だが10月になってマスク氏は訴訟の取り下げと引き換えに、再び買収交渉に入っていた。
買収交渉期限の前日の27日には流し台(シンク)を抱え、笑顔でサンフランシスコのツイッター本社の玄関ロビーに入る自身の動画を投稿。自身のツイッターのプロフィール名を「Chief Twit(ツイッター責任者)」と書き換えた。
Entering Twitter HQ – let that sink in! pic.twitter.com/D68z4K2wq7
— Elon Musk (@elonmusk) October 26, 2022
動画に添えた「let that sink in!」という言葉の真意についても、臆測が飛び交った。一般的には十分に理解させる、浸透させる、といった意味合いだが、イギリスBBCは、「”kitchen-sinking”はビジネス用語で『会社で徹底的な行動を取る』と意味もある」と伝えた。
ロイター通信によると、マスク氏は買収完了後にパラグ・アグラワル最高経営責任者(CEO)ら、ツイッター幹部を相次いで解雇した。
マスク氏のもとで、巨大SNSプラットフォームはどう変わるか。
アメリカのメディアによると、マスク氏はツイッター社がユーザーの表現の自由を制限しているとたびたび訴えてきたため、オーナーになったことで、投稿への制約や介入が大幅に減るとの予測が出ている。
暴力を誘発するおそれがあるなどとして2021年1月の米連邦議会襲撃事件後にアカウントが永久凍結されたトランプ前大統領のアカウントの復活も取りざたされている。
また、現在はいったん投稿した後はできないツイートの「再編集」機能の追加、ユーザーごとにツイートの表示内容や順位を変えるアルゴリズムの公開、広告モデルから有料サブスクリプションモデルへの移行なども挙がっている。
投稿管理などに当たる人員を含め従業員の約75%を削減する計画があるとも報じられた。
マスク氏は27日、ツイッターの広告主あてのメッセージをツイッター上で公開。「私たちのプラットフォームはみなさんを温かく歓迎するものになるはずだ」としている。
Dear Twitter Advertisers pic.twitter.com/GMwHmInPAS
— Elon Musk (@elonmusk) October 27, 2022