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コロナで対面で外国語を練習する機会がないあなたへ。おすすめの場所、お教えします

世界でビジネスをするための外国語習得術 更新日: 公開日:

 

まちゃんさん、質問ありがとうございます。

この2年半、コロナ禍で対面での会話練習が大変難しくなっていますよね。同じような悩みは多く聞きます。外国語はやはり、その言語が使われる土地で、現地の方と実際に話して、言語を体に染み込ませることが大事です。

私も、エジプトでアラブ人と会話し、苦労しながらアラビア語を習得していったので、それがベストの方法であることは疑いないと思います。いつか再びそういう日が来ることを祈りつつ、今できることを日々積み重ねていきましょう。

このコラムで一貫して強調しているのは、まずは「あなたが何を話すのか」を起点に考えることです。特に外国人との会話では、同じ言語の国、地域の方との会話とは違い、あなたが何者で何を考えているのかを、「見える化」して、コンパクトに伝えることがより重要になります。

ましてやビジネスの現場ではそうです。私は、外交官を辞めた現在はビジネスコンサルタントの仕事もしていますが、アラブ人とアラビア語で商談をする際も、最初の1分間の自己プレゼンが重要と再認識しています。

1分間であなたを表現するために、私がこのコラムでも提唱している「自己発信ノート」をぜひ作成してみてください。

これは、母国語で書いてもいいですし、すでにあなたが現在トライしている外国語でも結構です。そして、話す相手に応じて使い分けるために、それを最低3パターンぐらいは用意しておきましょう。

その次に、それを声に出して言う練習がとても重要です。

私は、よく自宅の風呂場で発声練習をしていましたが、声を出さずに自分の頭の中で考えているだけでは、本番では、脳からの発信が思ったようなスピードにはならず、「えー」「あー」の連発で役に立ちません。

ですから、必ず発声してください。おすすめは、「一人カラオケ」です。カラオケルームで、自分が、いつか会う外国人を想定して、あるいは本番のビジネスシーンでのプレゼンをイメージして、あなたが用意した自己発信文を「大きな」声で発声してみてください。必ず役に立ちますよ!

ペロシ下院議長の台湾訪問。あなたの意見を話してみよう

今回は8月上旬のアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問について、あなたの考えを英語で話してみましょう。

台北市の松山空港に到着し、出迎えを受けるペロシ米下院議長=2022年8月2日、台湾外交部提供

まず日本語を読んで、ここから自分ならどの単語や表現を使って、自分の意見を言おうかと考えてみてください。英語でなく、日本語で考えましょう。

そして自己発信文を、私が提唱する「自己発信ノート」に書いてみてください。一人称で考えることが重要です。

次に、日本語の記事の英語の原文を見ます。あなたがイメージした英語と違っていても、まずは原文の英語をそのまま引用して、自己発信文を英語にしてみましょう。

このように選んだ題材の文章を少し加工するだけで、自分の意見を表す文章が完成しました。

自己発信文に戻ると、英単語はいくつかのバリエーションを持っていくことが、語学力を高めるコツになります。これらを踏まえた「オリジナル単語帳」のイメージは下記の通りです。

 みなさんに「宿題」です

次の日本語からいくつの外国語(英語)が言えますか?少し日本語を言い換えても構いません。バリエーションの訓練が、ビジネス本番で必ず役に立ちます。さきほどもお伝えしたとおり、大事なことは、伝えること。思いつく限りの想像力でトライしてみてください。回答は次回、お伝えします。

86 だます

87 延期する、遅れる

88 隠れる

89 誇張する

90 協議する

前回(レッスン16の回答

81 維持する keep, maintain, sustain

82 破壊する destroy, damage, break up, demolish

83 従う obey, comply, abide by

84 調査する survey, investigate, look into, scrutinize

85 修正する correct, modify, revise, amend

 「会話は途切れてはいけない」グローバルビジネスの心得

「ビジネスも、最後は『心』の信頼関係が大事だ」と上司に言われた経験のあるビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。しかし、外国人とのビジネスとなると、「信頼関係」と同時に「言葉」の重みが格段に増します。

自分が何者なのかの「見える化」に加え、自分が売り込みたい商品の知識と、その背景にある教養までもが問われます。

それら、すべてを外国語で表現し、顧客の矢継ぎ早の質問にも的確に答えられなければなりません。その間、会話のキャッチボールが成り立たなくなった時点で、商談は終了となります。

多忙な顧客ほど、「時は金なり」。ですから会話が途絶えた瞬間に、「用件は終わりましたか」と切り出されてしまいます。「沈黙は機会の終わりなり」です。そこから食い下がって、顧客にしつこいと思われる営業パーソンが、成功することはあまりないでしょう。

私の長年の経験から言うと、欧米のビジネスは本当にシビアです。特に私は、アメリカのワシントンD.C.の日本大使館で、ホワイトハウスや国務省などアメリカの要人から情報収集をする仕事もしていたので、多忙な方からの情報収集と商談の厳しさを身をもって感じてきました。

日本では、重要性がしばしば強調される「聞く力」も、世界のビジネスでは通用しません。「3分間一本勝負」くらいの心構えで、先手必勝、集中力の勝負です。

日頃から、自分や自社の商品、背景をいかに外国語でコンパクトに「見える化」するかを心掛けていただければと思います。