こんにちは。質問いただきありがとうございます。
幼少期にイギリス、大学時代にスペインに留学なんてうらやましい限りです。
私は、大学に入るまで海外経験なし、大学時代もアジアをちょこっと観光程度でしたよ。そして、24歳で外務省に入ったら、いきなりアラビア語習得を命じられました。実はスペイン語が第1希望でした。でも、今ではアラビア語で良かったと思っています。
日本人に本当になじみのない世界、あるいは価値観の違う世界を知るには、その国の現地語を学ぶ必要があります。
イスラム世界を知るにはコーランがその原点。コーランはアラビア語で書かれているので、やはりアラビア語にチャレンジしなければなりません。
アラビア語は世界で最難関と言われる言語ですが、頑張ってふたを開けて見ると、外からは知り得ない世界が広がっていました。
今年に入り、ロシアによるウクライナ侵攻で世界は大きく変わろうとしています。
残念ながら、日本や欧米のような民主主義陣営と、ロシア、中国のような覇権主義、専制主義の陣営に分かれようとしています。あるいはどちらにも属さない第3の道もできそうです。
私は、これからは民主主義陣営で主に話される英語だけではなく、それ以外の世界、価値観を知ること、そのための現地語にトライすることが、真のグローバル人材への道だと考えています。
英語が国際語だから、英語さえできればいいという考え方は、今や「時代遅れ」です。
ですからぜひ、ロシア語や中国語、アラビア語など、日本とは価値観が大きく違うと思われる言語をおすすめします。「仕事で使うかどうか」という基準ではなく、「あなたの価値観を広げること」を大事にしてほしいと思います。
「世界は本当に広い」。これが私の実感です。そして、それが結果的にはビジネスの、あなたの人間の「幅」を広めることにもつながると思いますよ。頑張ってください。
外務省が専門語学として採用している言語をお伝えします。あなたの選択の参考になれば幸いです。
核兵器のない世界へ、あなたの意見を外国語で発信しよう
さて、今回は6月21日~23日、ウィーンで開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議を取り上げます。日本政府は参加しませんでした。なぜでしょうか。核兵器のない世界へ、世界で唯一の戦争被爆国である日本と、日本人の立場について、あなたの考えを話してみましょう。
まず日本語を読んで、ここから自分ならどの単語や表現を使って、自分の意見を言おうかと考えてみてください。英語でなく、日本語で考えましょう。
そして自己発信文を、私が提唱する「自己発信ノート」に書いてみてください。一人称で考えることが重要です。
次に、日本語の記事の英語の原文を見ます。
あなたがイメージした英語と違っていても、まずは原文の英語をそのまま引用して、自己発信文を英語にしてみましょう。
このように選んだ題材の文章を少し加工するだけで、自分の意見を表す文章が完成しました。
自己発信文に戻ると、英単語はいくつかのバリエーションを持っていくことが、語学力を高めるコツになります。これらを踏まえた「オリジナル単語帳」のイメージは下記の通りです。
みなさんに「宿題」です
次の日本語からいくつの外国語(英語)が言えますか?少し日本語を言い換えても構いません。バリエーションの訓練が、ビジネス本番で必ず役に立ちます。大事なことは、伝えること。思いつく限りの想像力でトライしてみてください。回答は次回、お伝えします。
81 維持する
82 破壊する
83 従う
84 調査する
85 修正する
前回(レッスン15)の回答
71 減らす、削減する reduce,cut down,lessen,diminish
72 衝突する clash,hit, bump, collide, conflict
73 断る、拒否する refuse,reject,decline,turn down
74 主張する、論争する insist,argue, assert, advocate
75 軽視する、軽蔑する despise, make light of, contempt, play down, look down on
76 促進する promote,enhance,acceralate, foster,
77 取り組む tackle, cope with, work on
78 困惑させる trouble, annoy, upset, dismay
79 混乱させる confuse, disrupt, perplex
80 妨害する obstruct, hinder,interrupt, hamper, impede
謙虚さは無用。コミュニケーションでは「個」の勝負を楽しもう
日本人の間では「以心伝心」が良しとされますね。
何も言わなくても心が通じ合うことはすばらしいことだと思います。また日本人の誇るべき「謙虚さ」というと良い意味ですが、悪く言えば、「引っ込み思案」。何事も誰かが発言してからでないと自分の意見は言えないし、選ぶこともできません。
しかし残念ながら、グローバル・ビジネスは甘くはありません。欧米社会でも、そうでない途上国の世界でも、コミュニケーションは、あなたの言語で、あなたが何者かを語ることから始まります。
私がこのコラムで「自己発信ノート」を日本語でいいから作成してほしいと強調しているのはそのためでもあります。
海外に行くと、よく日本人は中国人と間違われます。欧米でも、私がアラビア語の勉強をした中東でも、中国人かとよく聞かれました。そこで、「私は日本人です」というアラビア語をまず覚えました。そういうところから外国語はスタートするのです。
もう一つ、日本では、「ワンチーム」が良しとされます。組織の和を乱す人間は厄介者扱い。しかし、海外でビジネスをすると分かるのですが、頼れるのは上司でも同僚でもなく、あなただけです。
あなたの語学力で、あなたのこれまでのすべての経験、知見を集結させて、ビジネスなら顧客に、海外旅行なら出会った人に、自分のことを全力で語りたいですよね。
そのためにも、日本にいる間に、日頃から、あなたは何者で、何を考えているのかを「見える化」する努力が必要です。これは大変骨の折れることですが、必ずビジネス本番で役に立ちますよ。