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100万本の木を植えたニューヨーク 植樹に熱心なアメリカ、狙いは環境だけじゃない

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コロナ禍の2020年6月、ニューヨークのブルックリンで木登りをする少女
コロナ禍の2020年6月、ニューヨークのブルックリンで木登りをする少女=ロイター

緑のマイルストーン:10,000本の植樹
A Green Milestone: 10K Trees Planted
New Haven Independent, April 26, 2022
2022年4月26日付 ニューヘイブン・インディペンデント

ニューヨーク前市長のマイケル・ブルームバーグは2007年、市内に100万本の木を植えるという野心的な取り組みを開始した。目的は、都市をよりレジリエントにし、気候変動問題にgird against(身構える)ことにあった。プログラムの支援者である俳優のベット・ミドラーは、プログラムの最初の植樹式で、「ほとんどがアスファルトで、夏はsteaming(蒸し暑い)ニューヨークを、オールシーズン通して涼しく、緑豊かでrefreshing(爽やか)な場所に変えていこうと思います」と語った。

予定より2年早い2015年、100万本目の木が植えられ、プログラムによって市内の木の本数は20%増加した。それから7年経った今、ニューヨークの5つのboroughs(行政区)の区長たちは、現市長のエリック・アダムスに、2030年までにさらに100万本の木を植えるよう働きかけている。

ボストン、デンバー、ロサンゼルスなど他の都市も近年、植樹キャンペーンを進めており、この傾向はフレズノ、アルバカーキ、ニューヘブンなどの中規模都市にも及んでいる。
アメリカの都市が木を増やそうと優先して取り組んでいる理由はたくさんある。

■環境面

木は夏に日陰を作る。木が生えている密度は周囲の気温に明らかな影響を与える。都市空間における樹木は、暑さのピーク時に気温を下げ、ヒートアイランド現象を軽減することができる。樹木の根は雨水を吸収し、洪水を最小限に抑えることができる。

また、樹木は空気フィルターとしての役割も果たす。木は、空気中の二酸化炭素やその他の汚染物質を除去し、空気の質を良くする。家の外にある樹木は、道路交通による汚染物質の最大50%を吸収する。1本の大きな樹木は、4人の1日分の酸素を供給できる。

地球温暖化に対する意識が高まっている今、二酸化炭素を吸収する能力も重要だ。

また、交通量の多い場所での騒音対策としても、木は重要な役割を担っている。

さらに、鳥やpollinators(花粉を運ぶ動物)、その他の昆虫や野生動物にとって重要な生息地となり、食料源にもなっている。

■心の健康

樹木医であるダスティン・ティリス・マーシェロは、「木と一緒に過ごすことは、交感神経系(ストレスホルモンを分泌する脳のネットワーク)を落ち着かせるだけでなく、副交感神経系(免疫を維持し病気のfight off(撃退)に役立つ)も高めることが、多くの研究により明らかにされています」と語っている。

マルチェロは、「多くの人々が日々のストレスから解放されるために、森林地帯や庭園を訪れ、安らぎを得るために自然を求めるのもit’s no wonder that(不思議ではありません)」とコメントしている。近所によく手入れされた木や低木があれば、家からそれほど遠くへ行かなくても、自然の中でその恩恵を受けることができるのです」彼は、「健康な木は、健康な人間を生み出す」と結論付けている。

パンデミックが最も深刻だった時期には、都市公園は都市生活者に数少ない安全なrespites(休息)の場所を提供した。特にその頃には、レクリエーションやcontemplation(瞑想)のために都市の緑地がいかに重要であるか、多くの人が認識することになった。

■社会正義

都市の樹木の話題は、米国の多くの事柄と同様に、人種や社会経済的な差異の問題にも関係する。非営利の自然保護団体アメリカン・フォレストが行った分析によると、全米の都市では、白人が多く、よりaffluent(裕福)な地域には木が多く、低所得者や有色人種が多い地域には木が少ない傾向があることが分かっている。さらに、都市のヒートアイランド現象(緑地や公園がないために周囲より暑い地域)に関する研究では、都市で最も暑い地域に住む人々は貧しい傾向があることが示されている。

この問題に取り組もうとしているのが、ロチェスター市長のマリク・エヴァンスだ。彼は昨年、「すべての地域で環境正義を推進し......(同時に)ロチェスターを環境にやさしい未来型都市にする」という公約を掲げて選挙戦に臨んだ。

彼は、市内の富裕層と貧困層の間で樹木の数にdisparity(格差)があることに着目し、植樹によってそれをalleviate(緩和する)ことを目指している。

同様に、フレズノ市では年間1000本の植樹を計画しているが、これは「木の公平性」を実現し、すべてのフレズノ市民が木とそのcanopy (樹冠)がもたらす健康上のメリットを享受できるようにすることを目的としている。植樹は、緑地へのアクセスが悪く、貧困が集中している地域に優先的に行われる予定だ。フレズノ市議会副議長のタイラー・マックスウェルは、「木という単純なものがないために、『ひとつのフレズノ』が『ふたつのフレズノ』『複数のフレズノ』になってしまうことがよくあります」と語り、この植樹計画の目的はそれを是正することだと述べた。

マックスウェルは、新しい樹木政策が、フレズノの南北地域間の「樹冠のstark(著しい)コントラスト」の橋渡しになることを期待している、と語った。「時には、窓の外を見るだけで、自分が住んでいるのがどちらのフレズノなのかがわかってしまうこともありますが、それは許されることではありません」

■未来のため

植樹に力を入れているアメリカの都市は、何よりも未来を見据えています。ロチェスター市長のエヴァンスはこう指摘する。「木は教訓を与えてくれるものです。木には根があり、私たちにも根がある。今からその恩恵を受けることはできるが、将来の世代はより大きな恩恵を受けることができる。私たちのために木を植えてくれた人がいて、私たちは今もその恩恵を受けているのです」。さらに、「自分が植えたものが、正しく育てられれば、何年にもわたって恩恵をもたらすことを認識することは、素晴らしいことだ。正しく手入れをすれば、自分よりも長生きするうえに、孫よりも長生きするかもしれない」と。本当にその通りである。私達が住んでいる街の樹木を是非大切にしたい。


緑のマイルストーン:10,000本の植樹
A Green Milestone: 10K Trees Planted
2022年4月26日付 ニューヘイブン・インディペンデント


街路樹の植樹が本格化
City Tree Planting Efforts In Full Bloom
2022年4月25日付 ペーパー (アルバカーキ)


木は日陰を作るだけでなく、大気汚染を軽減し、生息地を作り出します
Trees provide more than shade; they also reduce air pollution, create habitats
2022年4月23日付 コロンバス・ディスパッチ


彼女の仕事とは?ニューヨークで毎年何千本もの木を植えています
Her Job? Planting Thousands of Trees Every Year in New York City.
2022年4月22日付 ニューヨーク・タイムズ


フレズノの十分なサービスを受けていない地域に数千本の木?市指導者の意見です
Thousands of trees for Fresno’s underserved neighborhoods? Here’s what city leaders say
2022年4月20日付 フレズノ・ビー


オレゴン・シティの樹木医:樹木と心の健康は相互に関連している
Oregon City arborist: Trees and mental health are interconnected
2022年4月6日付 ポートランド・トリビューン


「格差が現実にあることがわかりました」ロチェスター市長にとって木は正義の問題だ
’I now see the disparity is real.’ For Rochester’s mayor, trees are a justice issue
2022年4月5日付 デモクラット・アンド・クロニクル(ロチェスター)


ニューヨーク市にさらに100万本の木を より緑豊かな樹冠を求めるリーダーたち
A Million More Trees for New York City: Leaders Want a Greener Canopy
2022年2月12日付 ニューヨーク・タイムズ


100万本の植樹を冠するブロンクスでの植樹式
Bronx Planting Caps Off a Drive to Add a Million Trees
2015年10月20日付 ニューヨーク・タイムズ


ブロンクスの1本から始まる100万本植樹への挑戦
Bid for a Million Trees Starts With One in Bronx
2007年10月10日付 ニューヨーク・タイムズ