JR東海ツアーズ総務人事部によると、チラシは新横浜支店が作成。9月29日から公式サイトで電子版を掲載し、10月上旬には支店周辺の住宅のポストに入れる形で、少なくとも数万枚のチラシを配ったという。
チラシは「新横浜駅近隣にお住いのお客様へ」と題し、「訪日外国人が少なく風情ある各地へのご旅行を、ぜひこの機会にご検討されてはいかがでしょうか」と、以下(全文)のようにPRしていた。
新横浜駅近隣にお住いのお客様へ
拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染が国内で確認されてから、来年1月で2年が経とうとしています。
現在では、ワクチン接種もすすみ、感染予防に気をつけながら ご旅行をお楽しみいただくお客様も少しずつですが増えてきております。JR東海ツアーズでは、密を避けながらご旅行をお楽しみいただける「ずらし旅」を推奨し お客様の安心・安全なご旅行を全力でサポートさせていただいております。
訪日外国人が少なく風情ある各地へのご旅行を、ぜひこの機会にご検討されてはいかがでしょうか。新横浜駅近隣にお住まいのお客様限定で、おトクなチケットもご用意しておりますのでJR東海ツアーズ新横浜支店のご利用を心よりお待ちしております。
敬具
このチラシの写真が10月15日、Twitterに投稿されると、コメント欄に「酷い言い方」「外国人排斥だ」「『おもてなし』の正体」などと、差別表現への批判が殺到した。
“訪日外国人が少なく風情ある各地へのご旅行を、ぜひこの機会にご検討されてはいかがでしょうか?”
@JR_Tokai_tours pic.twitter.com/zbWSagalKv
— Sublight Monster Mash (@SublightMonster) October 14, 2021
チラシの写真をツイートした東京在住のアメリカ人男性は「混雑していないと言えば済む話なのに、わざわざ訪日外国人だけに言及した意図が理解できません。このような表現に惹かれる日本人客がいるということでしょうか。私は国内旅行をよくしますが、チラシを見て悔しい気持ちになりました」と語った。
批判を受け、JR東海ツアーズはこの日、公式サイトで「お詫び」と題する文章を掲載した。
【お詫び】不適切な表現がございましたことを深くお詫び申し上げます。
当支店のキャンペーンにおいて、チラシや10月15日まで公開されておりましたホームページの表現で、大変ご不快な思いをさせてしまうような内容が含まれておりました。 ご不快な思いをさせてしまったことを深くお詫び申し上げます。
今回の件を、弊社として重く受け止め改善策を講じ、再発防止に努めて参ります。 引き続き、皆様にはご愛顧を賜ります様お願い申し上げます。
同社の総務人事部は、取材に「コロナ禍で、日本人や訪日外国人の方など含めて全体的に観光客が少なく、ゆったり旅行して頂ける時期だという趣旨でした。もちろん差別する意図はありませんでしたが、ご不快な思いをさせる不適切な表現だったのは間違いありません。深くお詫び申し上げます」とコメントした。
また、今後の再発防止策として、人権研修やチェック体制の強化を挙げた上で、こう答えた。「これまで、人権研修は、入社時のみでしたが、定期的に全社員向けに行う予定です。チェック体制を整えるとともに、社員の意識向上を図って参ります」