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真鍋淑郎氏の会見発言、英語の原文は? 「同調圧力」や教育問題を明快な表現で指摘

People 更新日: 公開日:
ノーベル物理学賞受賞決定後の会見で、耳に手を当てて質問を聞く真鍋淑郎さん=10月5日、アメリカ・ニュージャージー州のプリンストン大、藤原学思撮影
ノーベル物理学賞受賞決定後の会見で、耳に手を当てて質問を聞く真鍋淑郎さん=10月5日、アメリカ・ニュージャージー州のプリンストン大、藤原学思撮影

ノーベル物理学賞を受賞することになった真鍋淑郎さんは自らの研究に集中するため、アメリカに渡り、国籍も変更した。その理由を記者会見で問われ、日本の「同調圧力」の問題について指摘し、注目を集めた。英語で語られた簡潔明瞭なスピーチについて、日本に関わる部分を原文で紹介する。(敬称略。英文は原則、発言通りに記載)

日本の教育・研究について

記者 日本では「頭脳流出」が大きな問題になっています。アメリカ政府から大きな支援があったとおっしゃっていましたが、日本の大学や研究機関の研究環境の改善策についてご意見をお聞かせ下さい。

(原文)

My question is a little bit more serious. In Japan, brain drain is currently a major problem. You mentioned earlier at home the U.S government has given you a lot of support. What are your thoughts on how to improve in the environment of universities and research institutes in Japan?

真鍋 それは深い質問ですね。私は教育には詳しくありませんが、最近の日本における研究は、以前にくらべて好奇心に駆られた研究が少なくなってきているように思いました。

そして、日本の教育をどのように改善するかを考えてほしいと思います。日本では、科学者が意思決定者に助言する方法、科学者と政策決定者の間のチャンネルというものについては、双方がコミュニケーションを取っていないと思います。

アメリカでは、国立科学アカデミーが政府に非常に効果的な形でアドバイスをしており、はるかにうまくいっていると思います。

政策決定者と研究者がどのようにコミュニケーションをとるのか、もっと考えるべきではないかと思います。

(原文)

That’s a profound question. And also I'm not much of an educator. But I thought that recently, Japanese research, I think they are doing less and less curiosity-driven research than before.

And I really hope that they would think how to improve Japanese education now. And I think the way scientists something advise decision-maker in Japan, this channel between scientists and policymakers……They are not communicating with each other. And I think the US is doing much better with the National Academy of Science, which is advising the government very effectively.

And I think that they should think about more how decision-makers and research scientists communicate with each other. that is what I think.

日本の教育・研究について語る真鍋さん(すぐに再生します)=プリンストン大のYouTube公式チャンネル

国籍変更について

記者 日本からアメリカに国籍を変えた主な理由を教えて下さい。なぜあなたは国籍を変えたのですか?

(原文)

Can you tell me what is the main reason for you to change your nationality from Japan to the United States? Why did you change your nationality?

真鍋 面白い質問です。日本では人々はいつも他人を邪魔しないようお互いに気遣っています。

彼らはとても調和的な関係を作っています。日本人が仲がいいのはそれが主な理由です。ほかの人のことを考え、邪魔になることをしないようにします。日本で「はい」「いいえ」と答える形の質問があるとき、「はい」は必ずしも「はい」を意味しません。「いいえ」の可能性もあります。(会場から笑い)

なぜそう言うかというと、彼らは他人の気持ちを傷つけたくないからです。だから他人を邪魔するようなことをしたくないのです。

アメリカでは自分のしたいようにできます。他人がどう感じるかも気にする必要がありません。実を言うと、他人を傷つけたくありませんが、同時に他人を観察したくもありません。何を考えているか解明したいとも思いません。私のような研究者にとっては、アメリカでの生活は素晴らしいです。

アメリカでは自分の研究のために好きなことをすることができます。私の上司は、私がやりたいことを何でもさせてくれる大らかな人で、実際のところ、彼はすべてのコンピュータの予算を確保してくれました。

私は人生で一度も研究計画書を書いたことがありませんでした。自分の使いたいコンピュータをすべて手に入れ、やりたいことを何でもできました。それが日本に帰りたくない一つの理由です。なぜなら、私は他の人と調和的に生活することができないからです。

(原文)

That’s interesting question, but in Japan people always worry about not to disturb each other. You know, they have a very harmonious relationship. And this is one of the important reasons why Japanese people get along so well with each other.

You know, they keep thinking other people, don’t do something which disturb other people. In the U.S., in Japan, if you ask some questions you get answer “Yes”, or “No”. When Japanese say “Yes”, it does not necessarily mean “Yes”, it could be “No”. Because they don’t want to hurt other people’s feeling much more than anything else. And so, you don’t want to do anything which is disturbing to other people.

And U.S. I can do things that I want like. I don’t worry too much about what other people feel. Because as a matter of fact, I don’t want to hurt other people’s feeling, but I’m not observing enough other people to figure out what they think. I found living in the U.S is wonderful!

And probably research scientists like me, I can do whatever I please in my research.

My boss was generous enough to let me do anything I want to do. And he, as a matter of fact, he got all computer expenditure.

I never wrote single research proposal in my life. So I got all computer I want to use, and do whatever I pleases. So that is one reason why I don’t want to go back to Japan, because I’m not capable of living harmoniously.

国籍について真鍋さんが語る場面(すぐスタートします)=プリンストン大のYouTube公式チャンネル