「俳優のマネージメントは宿命のような責任が伴う。他でもない新人発掘だ。演技力を認められた既成の俳優を安定的に管理するのが『体系的システム』の領域だとすれば、新人の潜在力を読み、スターに育てるのは『動物的感覚』の領域だ」
(新人発掘は)短編映画1、2本のフィルモグラフィー、時にはまったく平凡な顔から可能性を見出さなければならない。
そういう点で、俳優マネージメント社「エンドマーク」は、業界で頭角を現した会社だ。映画「The Witch/魔女」のジャユン、JTBCドラマ「梨泰院クラス」のチョ・イソを演じたキム・ダミ、「未成年」のジュリ役、ネットフリックス「キングダム」にも出演したキム・ヘジュンは、エンドマークのクォン・オヒョン代表(39)が発掘した原石だ。キム・ダミとキム・ヘジュンはそれぞれ「魔女」と「未成年」で2018年と2019年の青龍映画賞新人女優賞を受賞した。一つの事務所が2年連続新人女優賞受賞者を輩出したのはエンドマークが唯一だ。
現在、エンドマークには、強烈な存在感でドラマや映画で活躍するパク・チンジュ、チャン・ヨンナム、ハ・ヨンスら9人の俳優が所属している。
「マネージメント社で働く人にとって、新人発掘は外科医に似ている。医師の間でも最も医師らしい仕事として認められているが、最も難しい領域というのが共通点」
ソウル市江南区のエンドマークの事務所で、7月21日に会ったクォン氏はこう語り始めた。2003年、イ・ビョンホンの所属事務所だったプレイヤーエンターテインメントにマネージャーとして入社し、ファンタムエンターテインメント、BHエンターテインメントを経てキム・ミニやハン・ヒョジュのマネージャーを務めた。マネージャー歴13年目になった2015年、「直接新人を育てたい」という思いで、「マネージメントAND」を作った。34歳の時だった。
「以前勤めた事務所では既成の俳優たちをトップスターにすることに重点を置いていましたが、新人段階から自分の色を出したいという気持ちになりました。マネージメント社は最終決定権を持つ人の色になる傾向が強いんです」
キム・ダミとキム・ヘジュンを発掘し、連続ホームランを放ったクォン氏が俳優を見る時に最も重視するのは何か。クォン氏は眼差し(目の輝き)だと、即答した。
「重要な映画で主演に抜擢した新人がいるから会いに来たら」と、「魔女」のパク・フンジョン監督の紹介でキム・ダミと最初に会った時も、「SNLコリア」に出演していたキム・ヘジュンにイ・ウォンソク監督の紹介で会った時も、クォン氏を一瞬でとりこにしたのは、二人の目の輝きだった。
「ダミが2時間のミーティングの間に話したのは「いいですね」「大丈夫です」くらいでした。でも、目から出ている「ルック(Look)」は強烈でした。一瞬でそういう感覚を与える俳優は本当に珍しいので、二度目にあった時には契約書を交わしていました。ヘジュンも目尻に力のある独特な目に惹かれました。悲しい顔と、あっけらかんと健康的な顔の両方があります」
ダイヤモンドではない、原石を選んだからには、発掘同様「細工」も重要だ。契約前には必ず親に会い、会社について説明し、親を通して俳優の弱点や強みを把握する。一定期間ごとに外見、演技、メディアへの露出範囲、スワット(SWOT-強み、弱み、機会、脅威)分析を共有する。評価とデータを通して俳優の内面、外面を見極めるが、クォン氏が最も重要だと考えるのは、「最高に育てられる」という本人の確信だ。
「私が俳優を最高だと思えなければ、他人は思えるわけがない。私に自信がなければ、誰が俳優を信頼しますか?完璧な俳優はいません。皆欠けているところがいっぱい。それを私達の実力で埋めようという自信が大事です」
エンドマークは2020年は様々な面で分岐点だ。コンテンツ製作で事業を大きくしようと最近「エンドマークスタジオ」コンテンツ事業部を新設した。200億ウォン(約17億7千万円)規模の映画をはじめ地上波とオンライン動画サービス(OTT)ドラマ、ウェブドラマ各1本ずつを企画開発し、進めている。社名も「エンドマーク」に変えた。既存のAND(Artist And Different)に「一流」を意味するフランス語の「MARQ」をつけた。トップスター1、2人で代弁されるような所ではない、会社そのものがブランドになるという目標を込めた。
コンテンツを説明しながらクォン氏が最も目を輝かせた瞬間があった。新たに迎え入れた新人俳優について話す時だ。
「まだ一般には公開されていない新人俳優が男女一人ずついます。素晴らしいスター性を持った俳優です。エンドマークの本質は俳優マネージメントです。それを疎かにすれば終わりです」
(2020年8月3日付東亜日報、キム・ジェヒ記者)
(翻訳・成川彩)