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新型コロナで韓国映画界は大打撃 テレビドラマは視聴率アップ

現地発 韓国エンタメ事情
映画「福岡」のワンシーン ©LU FILM

心待ちにしていた映画「狩りの時間」(ユン・ソンヒョン監督)が、2月26日の公開日に上映スケージュールを見ても、ない。おかしいなと思ってニュースを検索したら、「公開延期」だった。「狩りの時間」は、「パラサイト 半地下の家族」で半地下の長男ギウを演じたチェ・ウシクや、イ・ジェフン、パク・チョンミンら若手実力派俳優が出演、ベルリン国際映画祭でも好評だったと聞き、楽しみにしていた。とはいえ、一方でホッとしたのも事実。新型コロナウイルスの影響で、劇場で映画を見る人が激減したからだ。今公開したところで観客に見てもらえないなら、映画がかわいそうだ。

観客がほとんどいない京畿道高陽市のシネコン=成川彩撮影

「狩りの時間」以外にも、同じく「パラサイト」の半地下の長女ギジョン役パク・ソダム主演の「福岡」(チャン・リュル監督)、「パラサイト」のモノクロ版など、公開延期が続々発表されている。

実際、2月の劇場観客数は約735万人と、2004年以来最低だった。昨年2月の3分の1の水準だ。2月後半から新型コロナ感染者数が急増したことを考えると、3月はさらに落ち込みそうだ。

私が所属する東国大学日本学研究所も、3月から在宅勤務となった。韓国は新学期が3月に始まるが、2週間延期となった。その後も登校せずオンラインで講義となる可能性もある。2月末に研究所へ出勤したが、大学の入り口には「登校中止 マスク未着用時出入り禁止」と書かれた看板が立っていて、熱画像カメラの設置された仮設の建物を通って入る仕組みになっていた。37.5度以上の熱があれば、入れない。

熱画像カメラが設置された東国大学の入り口=成川彩撮影
東国大学入り口に立てられた「登校中止」の看板=成川彩撮影

3月3日現在、韓国内の感染者は4812人、死亡者28人。一方、累積の検査数は12万5851人と、世界でも飛びぬけて多い。感染者の経路なども随時、詳細が発表され、地図で分かりやすく示してくれるアプリもあって、情報の透明性には安心している。

個人的には、監督や俳優にインタビューを申し込むのも難しい雰囲気で、研究所も在宅勤務となった今は、比較的感染者の少ない近所で買い物をしたり、近所の友人と食事をする以外は、自宅にいる時間が長くなった。結果、テレビドラマを見る時間が増えた。

放送中のドラマでは、SBS「ハイエナ」、JTBC「梨泰院クラス」がおもしろい。「ハイエナ」はキム・ヘス、チュ・ジフン主演で、二人は敵対する弁護士の役。キム・ヘス演じるチョン・クムジャ弁護士のハイエナっぷりがすごい。狙った獲物は、どんな手段を使っても逃さない。男をだます時のセクシーなお姉さんスタイルと、事務所でのジャージ姿のギャップも楽しい。

ドラマ「梨泰院クラス」のポスター=JTBC提供

「梨泰院クラス」は、パク・ソジュンと、キム・ダミ主演で、同名の人気ウェブ漫画が原作だ。主人公のパク・セロイ(パク・ソジュン)が飲み屋を出す場所が、ソウルの梨泰院(イテウォン)。SNSで若者に人気のインフルエンサー、チョ・イソ(キム・ダミ)が店のマネージャーとなり、セロイの敵、大手飲食企業「長家(チャンガ)」会長に挑んでいく。

やはり家でドラマを見る人が多いのか、2月29日の放送回は、首都圏で「ハイエナ」11.1%、「梨泰院クラス」16.2%と、高視聴率を記録した。一方、キム・テヒ主演のtvNドラマ「ハイバイ、ママ!」は、スタッフがコロナ感染の疑いがあるとされ、撮影が中断した。

ただでさえ、Netflix(ネットフリックス)をはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)の普及により、映画を劇場で見ずにテレビやパソコン、スマートフォンで見る傾向が強まっていた。新型コロナの影響でますます拍車がかかりそうだ。感染拡大を食い止めるのが最優先ではあるが、経済的打撃がどこまで広まるのかも心配ではある。特にチケット収入が売り上げの大半を占める映画産業は、事態が長期化すれば危機的な状況に陥る可能性がある。それを食い止める手立ても一緒に考えていく必要がありそうだ。