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北朝鮮に新型コロナ感染者?「コロナが闘争と前進の障害になりうる」と明かす

東亜日報より 更新日: 公開日:

北朝鮮は11日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が主宰する労働党中央委員会政治局の会議で、新型コロナウイルス感染症の対策を最優先として議論した後、「闘争と前進の障害となる可能性がある」と明かした。これまで「感染者はいない」としていた北朝鮮だが、新型コロナの事態に影響を受けているという解釈も可能な内容で、今後、国際社会の防疫に協力するのかが注目される。

労働新聞は12日、会議の結果を報じ、「昨年末に発生したウイルス伝染病が世界的に急激に拡散し、全人類的大災難になっているのが現実。ウイルス感染の危険が短期間に解消されるのは不可能だ」と伝えた。新型コロナを中長期的リスクと判断した北朝鮮の首脳部は、党中央委、国務委、内閣の名義の共同決定書を出し、「国家的対策を徹底して立てること」を促した。これらの機関が共同決定書を出すのは初めてと、政府当局は見ている。

北朝鮮は、今回の会議で「一部の政策的事業を調整、変更するにあたっての対策や問題を研究、討議した」とし、金委員長が昨年末「マラソン全員会議」を通して決定した政策の変更まで示唆した。今年、国家経済開発5カ年計画終了と、党創建75周年に合わせて立てた経済的成果目標値などを下方修正した可能性が指摘されている。慶南大学のイム・ウルチュル教授は「新型コロナの事態が長期化することを前提に、経済と国防関連の政策的事業や国家予算の収支を相当部分調整せざるを得ない状況になっているようだ」と話した。

北朝鮮は「新型コロナの感染者ゼロ」を主張しながらも、実際には事態が続く可能性に言及しており、防疫協力の可能性が高まったとの見方もある。7日(現地時間)、ロイター通信によると、北朝鮮は新型コロナの検査を709人に対して実施したが、感染者はいなかったと世界保健機関(WHO)に「中間報告」し、防疫の情報を異例的に公開した。また、韓国内の民間団体が1億ウォン(約890万円)分の手の消毒剤を北に支援する「契約書」作成に応じ、これを根拠に統一部が承認した。ある北朝鮮情報筋は、「北朝鮮は防疫の支援も支援だが、中国との国境封鎖による経済の悪影響が深刻化していて、中国をはじめ国際社会の経済的支援の可能性を打診しているようだ」と分析している。

今回の政治局の会議では、金委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が政治局の候補委員になり、北朝鮮ナンバー2の立場をさらに確固たるものとしたと見られる。昨年2月のベトナム・ハノイの米朝首脳会談決裂後、4月に党全員会議で候補委員を解任されたと見られたが、今回復帰したようだ。「おびえる犬ほど吠える」などと、たびたび青瓦台に対して本人名義の談話を発表し、評価が上がったと見られ、今回はそれに見合う人事の措置ということだ。この日、政治局の会議の席上には、組織指導部長を解任された李萬建(リ・マンコン)とみられる人物がいたが、組織指導部長に復帰とはならず政治局委員の資格のみ維持したと見られる。北朝鮮専門家の間では、金与正が組織指導部第1部部長として事実上組織指導部を掌握しているという評価が優勢だ。

1月初め、外務相に任命された李善権(リ・ソンクォン)も今回政治局候補委員になったが、前任の李容浩(リ・ヨンホ)のように政治局委員まではなれなかった。軍の序列2位、朴正天(パク・ジョンチョン)総参謀長は、政治局委員になり、金委員長の信頼を得ていることが再確認された。

このような中、金委員長は西部地区襲撃機連隊を視察したと労働新聞が12日に報じた。迫撃砲訓練を視察後、2日ぶり(報道日基準)の軍事的な行動だ。ある情報筋は「今年初めての空軍指導として通常の視察のようではあるが、ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官が『コロナの発病により、北朝鮮の航空機が飛べないでいる』と話したことに対する反駁の意味もあるようだ」と話した。

(2020年4月13日付東亜日報 ファン・インチャン記者)

(翻訳・成川彩)