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韓国と北朝鮮の「共同警備区域」をこのまま非武装化するのか?

一期一会
北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が韓国側を訪問する際に使う板門店の通路。奥に見えるのは北朝鮮側施設「板門閣」。軍事停戦委員会の会議室(手前の二つの建物)の中央に軍事境界線が延びている=李聖鎮撮影
北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が韓国側を訪問する際に使う板門店の通路。奥に見えるのは北朝鮮側施設「板門閣」。軍事停戦委員会の会議室(手前の二つの建物)の中央に軍事境界線が延びている=李聖鎮撮影

「本当に戦争になったら我々も――。お互いに撃ち合うのか」

2000年秋、友人たちと鑑賞した映画「共同警備区域JSA」で出てくる、胸が痛むセリフだ。すでに軍を除隊していた私は、映画に登場する細かなシーンについて、自分のおぼろげな軍生活の記憶をつなぎ合わせて、一緒に出かけた女友達に解説した記憶がある。

今年4月中旬、映画の舞台になったJSAを、南北首脳会談を控えた機会を利用して訪れた。昔、訪れた時とまったく同じ、時間が止まったような光景が眼前に広がっていた。濃いサングラスに目深にかぶったヘルメット。腕には「憲兵」の腕章、腰には拳銃を携帯した韓国軍兵士。北朝鮮軍兵士たちは隊列を作ってせわしなく勤務していた。

「必ずルールを守って、行動してください」。在韓米軍担当者の呼びかけを聞きながら、決められた区域を移動し、軍事境界線上に設けられた軍事停戦委員会の本会議場に移動した。

JSAで唯一、軍事境界線を越えて北朝鮮側区域に足を踏み入れられる場所。そこで窓の方向にカメラを向けた。向こう側に、鋭い視線を感じてひるんだ。いつの間にか現れた北朝鮮軍兵士が窓の向こうから、鋭い姿勢をこちらに向けていた。

この秋、そのJSAに変化が現れた。韓国と北朝鮮が9月の首脳会談で、JSAの非武装化に合意したからだ。JSA区域内に埋設された地雷が除去され、哨戒所から兵士の姿が消え、火器も撤去された。

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今年10月、板門店の共同警備区域(JSA)で勤務する北朝鮮軍兵士。非武装化に伴い、拳銃の携帯を取りやめた=東亜日報提供

現在、JSAの新たな運営方式を巡る協議が進んでいる。完了すれば、1976年に監視の邪魔になるポプラの木の剪定(せんてい)に携わった米軍将校2人が、北朝鮮軍兵士に殺害されたポプラ事件以来、南北の区域を自由に往来できるようになる。

4月の南北首脳会談で文在寅韓国大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が一緒に超えた南北軍事境界線を表示する高さ5センチ、幅50センチのコンクリートも撤去されるだろう。趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相も5日の国会答弁で「早ければ今月中にも、観光客が自由に往来できるようになるのではないか」と語った。

韓国と北朝鮮は4月の板門店合意で「軍事的緊張を緩和し、戦争の脅威を解消する」と宣言した。双方は現在、敵対行為の禁止など、多様な政策を急ぎ推進している。

だが、現在の朝鮮半島情勢はどうだろうか。「恒久的な平和定着」の大前提となる北朝鮮の非核化が進んでいると言えるだろうか。政権維持を狙い、単純な「平和定着」アピールのため、JSAを「平和と和解の場所」としても良いのだろうか。

今、文在寅政権がアピールする「緊張緩和策」は、北朝鮮の非核化や韓米同盟の維持よりも南北政策を優先した結果ではないか。そうであれば、我々だけが武装解除して我々の安全保障への深刻な脅威となるかもしれない。

JSAだけに限った、観光客向けの「演出された平和」に夢中になる余り、本当の平和を失う事態になってはならない。