ソウル市江南区のA小学校は、「4月新学期」を前に給食の対策に悩んでいる。新型コロナウイルス感染症の拡散を防ぐ方法を練っているが、適当な案が浮かばない。これまでこの学校ではランチルームが狭く、2学年ずつ3交代制で給食の時間を振り分けてきた。新学期から給食時の感染防止のために児童が間隔をあけて座ると、6交代制となってしまう。校長は「そうすると午後2時、3時になっても給食が終わらない」と心配している。
政府は小中学校と幼稚園の新学期開始を4月6日に延期したが、感染を心配する保護者は少なくない。このため、教育部や各市・道の教育庁は、学校のランチルームや教室内での新型コロナの感染を防ぐための様々な指針を打ち出している。しかしながら、学校現場では「根本的な解決策ではなく、実現が難しい」という指摘もある。
仕切りなど給食対策の実効性は
学校は集団行動の多い特性上、感染者が一人でも出れば、2次、3次の感染につながる可能性が高い。教育当局は「児童間の感染→家庭内感染→地域社会へ」という拡大の元を遮断するため新学期開始を何度も延期してきた。
学校内で感染可能性が高い場所は「ランチルーム」だ。仁川市教育庁は先週管内の学校に昼食の時間を1時間から30分以上延ばすか、仕切りを設置するか、どちらか一つを選ぶよう指針を示した。給食の時間を長くすれば、同じ時間帯にランチルームに集まる児童の数を減らせるということだ。慶南道教育庁は「教室での昼食」「ランチルームで間隔をあけて座る」など、児童同士の接触を減らす給食運営計画を考えるよう各学校に指示した。
教育現場では、このような対策は非現実的だと指摘する声もある。保健教育フォーラムのウ・オクヨン理事長は「感染防止のためには児童生徒は1メートル以上離れなければならないが、ランチルームではそれだけの間隔を維持するのは難しい。子どもたちの積極的な取り組みなしには根本的な解決策にならない」と話した。
昼食の時間を延ばすのにも限界がある。全校児童が千人を超えるある小学校の関係者は「ランチルームが狭く、すでに4交代制でやっているので、これ以上昼食時間を延ばすのは難しい。子どもたちがお弁当を持参して自分の机で食べる『教室での昼食』は、比較的安全な方法」と話した。しかしながら、それぞれ家庭の事情があるので、学校側が弁当を持参するよう指示するのは現実的に難しい。
「机の間隔」をあけるのも難しい
教育当局は、防疫の指針として机の間をあけることを指示している。ぴったりくっつけていた机の間隔をあけ、感染の危険性を減らす趣旨だ。しかしながら、人数の多いクラスでは適用が難しいと指摘されている。
ソウル市陽川区に住む保護者は「そうでなくとも児童数が多くて先生一人で管理するのが大変なのに、新学期から心配」と話す。子どもがソウル市江南区の小学校に通う保護者は「1クラスあたりの児童数が30人を超え、机の間をあけるのも限界がある」と心配する。1クラスあたりの児童数は小学校の場合、平均23.1人(2017年基準)だ。
教育当局は、教室内での感染を防ぐため、マスクの普及に力を入れる。ソウル市教育庁はKF94レベルの防疫マスクの購入が難しい状況で、フィルター取り換え式の綿マスクを管内のすべての小中学校や幼稚園の児童生徒・園児に支給する方針だ。だが、新学期を2週後に控える現在まで供給業者の選定すらできていない。ソウル市教育庁の関係者は「現在業者の申請を受けていて、25日に業者選定委員会を開く計画」と話した。
追加の「新学期開始延期」主張する声も
教育当局は新学期開始後の様々な防疫指針を出しているが、限界があると指摘されている。校内の集団での活動が続く限り、感染の危険を根本的に遮断するのは難しいためだ。授業のやり方を変える必要があるとの意見も出てきた。新学期開始以降も当面はグループ形式の、あるいは討論形式の授業は避けるべきだとの意見だ。最近の授業現場ではグループごとの学習が多いが、接触回数を減らすような授業案を再構成するべきだという見解もある。
「2部制授業」を代案として挙げる専門家もいる。小中学校の授業を午前、午後に分けて、一つの空間に集まる子どもの数をできるだけ減らすという趣旨だ。嘉泉大吉病院感染内科のオム・ジュンシク教授は「技術的に難しい面はあるが、予防効果を高めるには2部制の授業を検討する必要がある」と話す。
一部では、追加の新学期開始延期を検討するべきだという声もある。翰林大聖心病院呼吸器内科のチョン・ギソク教授(前疾病管理本部長)は「子どもが集まればどうしても感染の危険は高まる。地域社会に広まる危険性が低くなるまで新学期開始は延期するのが望ましい」と話した。
(2020年3月23日付東亜日報 キム・スヨン、イ・ソジョン、カン・ドンウン記者)
(翻訳・成川彩)