アフリカ西部にあるナイジェリア最大都市のラゴス。毎日のように大勢の人でにぎわう市場を訪れると、道路沿いに捨てられていた大量のポリ袋が目についた。雨が降れば排水溝を詰まらせ、浸水被害をもたらす原因にもなりかねない。別の場所でも、道路脇に放置されたままのペットボトルが大量にあった。車から投棄されたもののようだ。
ニジェールやモーリタニア、マダガスカルを訪れた時も、道路脇の一角に放置されたままのポリ袋を見かけた。誰かがポイ捨てしてそのまま放置された場所に、また誰かが捨てていく。放牧されている牛やヤギは、路上に放置されているポリ袋の近くで草を食べていた。
そんなアフリカ諸国で、ポリ袋の規制が広がっている。国連によると、アフリカ54カ国中、30カ国近くがポリ袋の使用や製造について規制をかけているという。多くのアフリカ諸国では、日本のようにゴミ処理場の性能が高い訳ではないし、プラスチックごみの再利用も進んでいない。だからこそ、使用の制限などをもうけて、対策を取る必要があると言える。
ポリ袋規制の先進国と言えば、アフリカ中部のルワンダだ。他国に先駆けて2006年に使用などを禁止し、政府も「クリーン」であることをPRする。これまでに4度出張で訪れているが、道路の清掃作業をする人たちをよく見かける。そのきれいさは、日本とさして変わらないように見える。
ポリ袋規制の罰則で有名になったのは、アフリカ東部のケニア。2017年8月から、スーパーなどで配布されるポリ袋の輸入や製造、使用を禁じ、違反者には最長4年の禁錮刑か4万ドル(約430万円)の罰金を科すことにしたのだ。
ポリ袋禁止を求める活動をしてきた写真家のジェームズ・ワキビアさんによると、規制が始まる前には、使用後に捨てられたポリ袋が道路や河川に散乱していた街もあったという。当時、ケニアのポリ袋の年間消費量は1億枚以上。家畜の誤食死も相次いでいた。
当時環境相だったワクフング氏は「ポリ袋などのポイ捨てが横行し、美しい自然風景が損なわれていた。人々はゴミを捨てる権利があるかのように振る舞っていた」と振り返る。反対意見も出る中、危機感を覚えた彼女はポリ袋規制を決定。本気度を示すため、「世界一厳しい」とも言われる罰則を設けた。
規制から2年近くがたち、街中では自前の買い物袋を持ち歩く人が明らかに増えた。規制が完全に実施されているかの評価は分かれるが、ポリ袋を使うことが当たり前だった国民の意識は確実に変わっている。